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【ホテルを輝かせる人たち VOL.1】瀬戸内リトリート青凪 ソムリエ 今津一里(前編)


みなさんこんばんは、ながおです!


始まりました!
初の連載「ホテルを輝かせる人たち」


「ホテルを輝かせる人たち」ではホテルに関わる人、特に個人にスポットを当て、どんな人がホテルで働いているのか、どんな人がホテルを作っているのかをゲストを招き、インタビュー形式で読者の皆さんにお伝えしていく連載です。



記念すべき第1回のゲストは!
瀬戸内リトリート青凪のソムリエ 今津一里さん。日本を代表するスイートラグジュアリーホテルの青凪に在籍する、素敵なソムリエでありホテルマンの方です。


青凪 紹介

瀬戸内リトリート青凪
所在地 : 愛媛県松山市
公式HP : https://www.setouchi-aonagi.com/
客室全7室、オールスイートの海を臨むスイートラグジュアリーホテル。
建物は建築界の巨匠、安藤忠雄氏が設計した元美術館をリノベーション。
株式会社 温故知新が企画・運営を行う。


世界的なアワードでも、数多くの受賞している青凪に勤めるソムリエとは、どんな方なのか。どんな道を歩んできたのか。ソムリエとして何を考えているのかを伺ってきました。


では早速インタビュー記事をどうぞ!

(以下、太文字が今津さん、太文字ではない部分がながおになります。)


原点は「喜んでもらう」こと

ソムリエイメージ


まず初めに。なぜサーヴィスの道へ進んだのですか?


小学生のころから料理をすること自体が好きでした。母親と一緒にキッチンに立つことも多々ありました。あとはボーイスカウトを当時していて、飯炊き係をしていたのですが、作るのも好きだったけど、料理を出して「美味しい」と言ってもらえるのがすごく嬉しくて。

なので自然と料理に関わる仕事をしたいと考えていましたね。



もともと料理を作るのが好きだったんですね。


そうですね。でも自分で作れるのは自炊レベルの物なので、作るのはプロに任せて、僕は料理を提供する側に将来就こうと思いました。友人にプレゼンをしたりするのも好きだったし、そういった体験がソムリエという職に就いた原点だったと思います。


いつから料理を出すのが好きという感覚が強くなったんですか?


中学生くらいですね。ボーイスカウトでも自主的な裁量で色々させてもらえるようになったんです。自分で食料を選んで調達して、今日の献立はこれ。明日の献立はこれにしよう。というのができるようになっていきました。自分で作った料理を提案して、みんなが食べて喜んでくれるというのが嬉しくて。

高校生になってくると家に友達を呼んで、料理を作ってみんなで食べたりしていたんです。そしたら自然と、自分は「料理を出すことで喜んでもらえることが好きなんだ」というのがわかってきました。



そのころからホテルで働くというのは考えていたんですか?


はい。料理を出す仕事をするにはどうすればいいんだろうと考えてみたんです。当時の僕にはレストラン・ホテル・居酒屋くらいしか思いつかなくて。その中で、新卒として初めて働く場所は、最上級の環境が良いと考えていました。最初に働く場所は、その後のキャリアの選択肢に大きく影響すると考えていたからですね。

そして僕の中の最上級のイメージがホテルでした。高校2年生くらいの僕には高級なレストラン=ホテルだったんです。それがきっかけで、地元の神戸にあったYMCAが運営するホテルの専門学校に入学しました。



なるほど。自分のキャリアをどこからスタートさせるかに重きを置いていたんですね。


そうですね。新卒の特権は採用されれば、いきなりレベルの高い場所に身を置けることだと思っていたんです。最初に大衆居酒屋から始まって、後々高級レストランなどに進んでいくよりもいいのかなと、高校生ながら何となく思っていました。そんな考えから高級レストラン、すなわちホテルで働いておくべきかなと僕なりに思ったんですよね。


高校生でそこまで考えて進学を決めていたのは素晴らしいなと思います。
専門学校に入学してからは考えや意識に変化はあったのでしょうか?


そうですね。入学時はホテルに対する知識は全くなかったのですが、講師として現役のホテルマンの方が来て下さっていて、その方々がとても格好良かったんですよね、立ち振舞いや話し方が。そこからホテルマンすごい!という気持ちが強くなっていって、真剣にホテルの勉強に取組みました。

自主的に週刊ホテルレストランなどを読み込んでいくと「※Tour d`Argent トゥールダルジャン」という世界的に有名なフレンチの名店をよく目にするようになって、「こんなすごい所があるんだ。じゃあここに就職しよう」と決めました。そう決めたのが4月に入学した年の8月頃でした。笑

トゥールダルジャン

※Tour d`Argent トゥールダルジャン
創業400年という歴史のあるフランス料理の最高級レストラン。
東京のホテルニューオータニにある日本支店が世界で唯一支店。



すごい早いですね。笑
他にも興味を持った就職先の候補は出てこなかったんですか?


正直に言うと全く迷わなかったです。


今津さんにはトゥールダルジャンの何がそこまで魅力的に映ったんですか?


当時は僕がワインを飲み始めた時期で。色々勉強しているとトゥールダルジャンの記事が出てきて、それを読んでみるとワインに関するエピソードがあまりに深いんですよね。

とある本で、トゥールダルジャンに当時勤めていて、世界コンクール3位にも輝いた石田博さんのインタビューがとても印象的で、かつ格好良かったんですよ。しかもインタビューで仰っていた言葉がとても素敵で。



どんな言葉か覚えていらっしゃいますか?


もちろん覚えています。
「お客様にはさりげなく、後輩には格好良く。」ですね。この石田さんの言葉とトゥールダルジャンの歴史に強く惹かれました。


たくさんの気付きを得た場所


トゥールダルジャン2


そこから本当にホテルニューオータニに入社して、トゥールダルジャンに配属されるんですよね?笑


そうですね。笑
面接でもバカの一つ覚えでした。笑 

人事「何故弊社に応募したのですか?」
今津「トゥールダルジャンがあるからです。」
人事「ではトゥールダルジャンが無ければ応募しなかったですか?」
今津「はい。応募していません」
人事「なるほど。では配属の希望は?」
今津「はい。トゥールダルジャンです。」

本当に良く採用してくれたなとも思います。笑 ただ振り返ってみればそれがよかったのかなとも今では思いますけどね。笑
そして後に石田さんともお会いして、この言葉を体現しているのを肌で感じました。


すごいですね。笑
本当にその志望理由の明確さが、採用に至った大きな理由にはなっていそうです。では新卒でトゥールダルジャンに入られたんですね。


いや、トゥールダルジャンには2年目に入ったんです。ニューオータニには配属のルールがあって、1,2年目では希望配属先とは違う部門を経験した後、3年目に本配属というのが決まりでした。

しかもトゥールダルジャンは、他のレストランでマネージャーをやっている人が1番下のポジションで入ってくるようなレベルの高い環境だったんです。入社7年目の先輩が銀器磨きをしているような所でした。



本当にすごいお店なんですね。勉強不足ですいません。


いえいえ。なので採用面接のときも、「1年目からトゥールダルジャンに入れるとは考えていないのですが、一早く配属されるように精一杯がんばります。」というのは伝えてました。そしたらまさかの2年目で配属されたんです。笑 これには自分でも驚きましたね。言ってみるもんだなぁと。笑


じゃぁ2年目での配属というのもかなりの異例だったんですね。
高校生から希望していたホテルという場所で、しかも専門学校に入ってすぐに、ここで働くと決めたトゥールダルジャンに配属される訳ですが、実際に在籍してみて驚いたことや印象的な出来事は何かありましたか?


一番は「チームとしての在り方」ですかね。青凪も似たところがあるのですが、トゥールダルジャンって職場ではなくてチームなんですよね。業務をこなせばそれでいいのではなく、求めらえる役割を果たす場所でした。スタッフ全員へらへらしないんですよね。もちろん休憩時間はちゃんと休むのですが、どんなに組数が少なくとも、全力で一瞬も気を抜かずサービスをするとうのがトゥールダルジャンでした。

一年目で配属されたレストランでは、ちょっと客足が少ない日だと、少し気を抜いてしまったり、裏でダラついてしまったりというのがあったのですが、トゥールダルジャンではそれが本当に無かったですね。そういう意味で仕事に対する姿勢はとても印象的でした。

あとお客様の話なのですが、トゥールダルジャンでは来店されたお客様の情報を管理しているんです。ある日、当日来店されるお客様の情報を確認していたら、当時2012年だったと思うのですが、1988年とかの来店履歴が残っているお客様が、それ以来の来店をされる予定になっていて、その方の対応を私がしたんです。

そしたら対応時に「25年前に結婚祝いで来て、25年経って今日は銀婚で来たんです。その時と席も同じだわ。」と仰っていて、これにはとても驚きと感動を覚えました。



素敵すぎますね。


25年前。当時の僕が生まれる前の事を、席まで覚えていらっしゃるというのが衝撃的で。その瞬間から、自分が運んでいるのはただの料理ではなくて、思い出を運んでいるんだなと気付かされました。

この料理を僕がどう持っていくか次第で、この人は25年先にどういう気持ちで、ここでの記憶を思い出すんだろうと考えると、「本気でお客様に向き合うということの意味」を頭ではなくて心で、この時に理解した気がしますね。



素晴らしい気付きと、体験だと思います。


信じられないような話ですが、本当にあった事なんです。当時の上司の方ですごいなと思ったのは、お客様の中では一晩で100万とか使う人もいるんです。対して頑張って貯めてきたお金を握りしめてきてくれた方もいて。その上司は後者に対して本当に誠実に向き合って対応するんです。この両者が並んでいると、前者へのサービスに偏りがちなることが多いんですけどね。

この方がいたことで、ただ単に払って頂く金額だけじゃなく、その人にとって、その「金額」がどれほどの「重さ」なのかを意識して仕事をしているんだなと一緒に働いて気付かされました。だからこそ25年経っても来てくれるお客様がいるんだなと思います。



金額の重さ。確かに大事なことですね。そこから25年経っても色あせない体験が生まれる。本当に素敵です。

憧れであったトゥールダルジャンで働き、色々な経験もされたと思いますが、トゥールダルジャンには結局何年間在籍していたんですか?


5年ですね。5年の間にソムリエの資格も取ったのですが、ソムリエという役職まではもらえませんでした。上には上がいるというもので、当時トゥールダルジャンにはソムリエが4人いて、アジアチャンピオンを筆頭にトップクラスの方々の下で働かせて頂きました。

その方々がいたからこそ、資格をとっても学び続けることの大切さに気付けたと思います。何のために資格を取って、資格を取ってから何をするのかを間近で見て学べたのはとても良かったですね。



トゥールダルジャンという場所は、たくさんの気付きを得た場所だったんですね。そんな素敵な体験をされた場所から、青凪配属に至るまでの経緯も教えて頂けますか?


ここからは笑い話なんですが、ニューオータニを退職してから今の温故知新に入社するまで、4年間空いていて。ニューオータニ退職後は、下北沢の居酒屋でアルバイトをしていました。

高級レストランだけではなく、レストランや大衆居酒屋の雰囲気も僕がとても好きで、そういったお店も経験したいなと思ったんです。それで一年半ほどアルバイトを続けていました。

トゥールダルジャンのような一発で印象的な感動を与えるのとは違った、日々の小さな楽しさを積み重ねていく面白みをそこで学びました。そしたらその経験が活きたのか、ソムリエ スカラシップという若手の登竜門と言われるコンクールで決勝まで進んだんです。

ちょうどその時に、過去にご縁があった方から、新宿でオープン予定のビストロで店長兼ソムリエのお誘いを受け、新宿で丸2年働きました。

この話長くなりますね。笑


全然大丈夫ですよ!笑


そのあとに今の温故知新に入社するきっかけとなる出来事がありました。その話の前に当時の僕の心境として、僕は愛媛県松山市で仕事がしたかったんです。


"思い出の地"と"偶然の出会い"


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ほお。笑 どうして松山なんですか?


母親の実家が松山で、子供の頃は毎年夏休みに母と松山に行って時間を過ごしていたんです。ただ祖父が亡くなってからは約20年ほど松山に行っていなくて。幼い時の記憶で「楽しい好きな場所」というイメージがあって、いつか松山で働きたいなと思っていました。

そう考えていた時に今の会社、温故知新の松山に出会ったんです。



どんな流れで松山社長とはお会いしたんですか?


たまたま僕がソムリエ協会から声を掛けられて参加した、ワインの大きなパーティーで出会いました。ソムリエ30人、ゲスト300人という規模でしたね。その時に僕がシャンパーニュをサーブしたのが社長の松山だったんです。

パーティー中は一言も会話は無かったのですが、パーティー後に休憩をしていたら、急に肩を叩かれて、振り返ったら松山が立っていました。「君さっきワインついでたよね?」と声を掛けられて、そこで「ホテルをやっていてソムリエを探してる。一緒に働かないか?」と誘われたんです。

どこの誰かもその時はわからなかったので、とりあえず「ホテルはどちらなんですか?」と聞きました。

社長:「松山なんだよ」
今津:「松山ですか!?ぼく松山行きたいってすごく思ってたんです!!」
社長:「え、そうなの!?松山って愛媛だよ??わかってる??」
今津:「はい!愛媛に行きたかったんです。」

この時にお互い名刺交換をしました。
この出会いが、僕が青凪で勤めることになったきっかけです。笑


・・・


ここまでが前編となります。


いかがでしたか?
前編では今津さんの少年時代から、瀬戸内リトリート青凪のソムリエになるきっかけとなった松山社長との出会いまでを書きました。


後編は、松山社長との出会い、そして入社するまでに起こった出来事から始まります。こちらもいきなりサプライズから始まる展開です。笑


続きをお楽しみに。

では。


・・・


青凪スイート寄り

瀬戸内リトリート青凪 公式HP
https://www.setouchi-aonagi.com/

瀬戸内リトリート青凪 公式Instagram

https://www.instagram.com/setouchi_aonagi/?hl=ja

瀬戸内リトリート青凪 公式Facebook
https://www.facebook.com/setouchiaonagi/



Tour d`Argent Tokyo トゥールダルジャン東京
公式HP https://tourdargent.jp/
1582年セーヌ川のほとりに誕生したフランス料理店 ”Tour d`Argent”
400年経った今でも変わらぬ場所にパリ本店はあります。
東京のホテルニューオータニにある日本支店が世界で唯一支店。



今津さん

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