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COO設置組織の三類型

とびきり優秀なNo.2が参画した途端、それまで大きな可能性を持ちながらそのポテンシャルを開放し切れていなかった会社が非連続に(あるいは安定的に)成長し始めるケースは珍しくないのではないかと感じます。

古くはSONYの盛田昭夫氏が、インターネット以後においてはDeNAの守安さんやメルカリの小泉さんが、近年のスタートアップシーンではラクスルの福島さんやSmartHRの倉橋さん等が好例を示してくれています。

No.2にも色んなタイプやポジションがあるとは思いますが(そして長い目で見ればNo.2に留まることなく活躍されているケースも多くありますが)、COOはその典型とも言えるポジションの一つではないかということで、今日は優秀なCOOが活躍しやすい組織の類型を整理してみたいと思います。

COOの職掌

COOが何たるかということについてはここでは多くを語りませんが、何に責任を持つポジションかといえば、Chief Operation Officerの文字通り会社の「オペレーション」に責任とコミットメントを持つポジションということになります。

企業組織においてトップの右腕として幅広いオペレーションを管掌するポジションがCOOであるとしたとき、組織類型の整理にあたっての重要な軸は二つに絞られます。一つ目はトップであるCEOの属性/強み、二つ目は事業の多角化有無です。

一つ目の軸:CEOの属性/強み

一つ目の軸については、CEOの属性や強みがどこにあるのかという区分です。これはプロダクト(エンジニアリング含)とビジネス(コーポレート含)の二つに大別されるように思います。

この二つを兼ね備えたCEOがいる場合はCOOの出る幕はないかもしれない、というのが一つの結論ではあるのですが笑、それはどちらかというと例外的なケースであり、大体はこのうちの一方に秀でていて、もう一方に関してはnot my cup of teaだ、というCEOが多いのではないでしょうか。

プロダクト/エンジニアリング、ビジネス/コーポレートは各々ものづくり、事業/組織づくりと言い換えることができます。

翻って、COOが「オペレーション」に責任とコミットメントを持つロールであることを踏まえると、COOの属性/強みは、0→1を生み出すものづくりというよりはどちらかというと生み出された1(あるいは0.1)を事業化、組織化してどうスケールさせるかという点(事業づくり/組織づくり)にあることが多いと思います。

以上のことから、CEOとCOOが各々の強みと弱みを補い合ってバランスさせることができるのは、CEOの属性/強みがプロダクト/エンジニアリング寄りである場合に多い、という帰結を得ることができます。

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CEOの強みや属性がビジネス寄りにある場合、上図のようにCOOとの重複が多くなってしまう一方で、プロダクト/エンジニアリングに強みを持つCEOがCOOを迎え入れる場合は下図のように綺麗に掛け算が効くためです。

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二つ目の軸:事業の多角化有無

二つ目の軸は、ワンプロダクト・単一事業なのか、マルチプロダクト・複数事業なのかという区分です。これに関してはシンプルにトップ一人当たりにかかる管掌・監督の負荷が変わるという話ですね。

当然、マルチプロダクトの方が管掌コストが大きくなるため、複数事業を俯瞰してボトルネックを抽出したりリソースを再配分したりする役割の重要性(≒ COOニーズ)が増します。

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反対に、ワンプロダクトの場合は追うべきKPIも管理すべきリソースも相対的に少なく済むため、役割の三遊間を縫うCOOというよりはどちらかというと単一事業の売上、収益最大化に責任を持つVP of SalesやCRO(Chief Revenue Officer)を設置する人事の方が合うのかもしれません。

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COOがCOOである所以

少々脱線しますが、「(COOを置くより)〇〇を設置する人事の方が合う」というのはセールスに限った話ではなく、技術(CTO)、ファイナンス(CFO)など、専門分化でCEOの役割を切り出しやすい職掌全般については一般的に当てはまることが多いのではないでしょうか。

この場合は、経営的視座を持つ当該領域のエキスパートを招き入れることで経営チームのバランスが調う、ということになるのですが、COOがCOOたる所以は、個別の専門機能を横断して組織の全体最適にコミットメントを持つという点にあります。

専門分化した機能の束に一滴の潤滑油を刺す職能、それがCOOの本分であり本質なのではないかと思います。そしてこれこそが、僕がCOO(あるいはまたCOOらしいロールを組織の中で担う人々)を敬愛して止まない理由です。

市場環境や事業の前提が目まぐるしく変化する企業経営の前線において、Chief Other Officerの異名を取るCOOが果たす役割は今後より一層大きくなると感じています。

COO設置組織の三類型

翻って、COOの設置が求められる、COOとの相性が良い組織タイプを図にまとめると、以下のようになるかと思います。○が付いている三象限においては、△が付いている左下の象限に比べて相対的にCOO設置の必要性が強く認められるという整理です。

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とはいえ、左下の象限であってもCOOを設置している(かつCEOと上手くシナジーを出せている)会社はあると思いますし、そうした組織のあり方を否定する意図は全くないことを書き添えておきます。

また既に一定の事業規模を獲得している成熟企業であれば、ほぼ全ての企業が複数事業を展開していたりCEOが数年単位で変わったりと前提条件が異なるため、今回の整理は主にスタートアップ企業・グロース企業に向けたものとなります。

おわりに

自社の組織類型と同じ企業のCOO同士で意見交換をしてみると悩みや課題が共通していて学びが得やすいということもあるかなと思うので、今後のCOO Nightではこの辺りも意識してコンテンツを企画していこうと考えています。

直近では、COO Nightの第二回を以下のテーマ・スピーカーで開催予定なので、ご興味がある方はぜひ奮ってご参加ください!
※本稿で「ビジネス」と「コーポレート」をセットで記載したのも、事業づくりと組織づくりの連動性を意図してのものです。イベント当日は豪華なゲスト陣と共にこの辺りを深掘っていきたいと思います。

<テーマ(タイトル)>
事業戦略は組織図に現れる。注目企業のCxOが語るハイパーグロースの裏側

<スピーカー>
ラクスル 取締役 COO 福島広造
SmartHR 取締役 COO 倉橋隆文
ユーザベース 代表取締役 Co-CEO 佐久間衡
ジェネシア・ベンチャーズ 相良(モデレーター)

※敬称略

<日程>
2021年3月18日 19:30-20:30

<場所>
オンライン@IVS 2021 Spring
※完全招待制ですが、自薦応募も可能とのことです:申し込みフォーム
※相良と面識のあるスタートアップ経営層の方で他薦を希望の方は個別でDMいただければと思います(トークセッションのリアルタイム中継@Twitterにご協力いただける方も募集しております)

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