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アプリ「書いて」で修行中→再掲。
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お題「香水」

お題「香水」

映画『ラストマイル』見てきました。
『アンナチュラル』も『MIU404』も大好きドラマなので、また少し広がったこの世界に浸りつつ、最終的にモヤっとする部分も抱えて帰って来ましたね。
そして今回、初めて匂いを感じた。
イシハラちゃんやイブキって、ここまでずっと無臭な存在だったのが、あの物流倉庫や配送車を介して認識し直すことで、空気に色がついた感じ。
きっといい匂いの部類ではないんだろうけど、やっぱり

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お題「現実逃避」

お題「現実逃避」

地獄の母子家庭で、唯一の安らぎが創作だった。
誰に言っても「地獄」は信じてもらえないけど、夫や娘は、なんとなく察してくれているっぽい。
学のない親から逃げる先に、わたしだけの世界を持つ。暴力も暴言もない。差別も搾取もない。
ああ、だから上手に年が取れないのか。
こっちの世界では、みんなまだ未成年でいるもの。

お題「溢れる気持ち」

お題「溢れる気持ち」

動物飼ってるとさ、画像フォルダにめっちゃ溜まるから、軽い気持ちでインスタに写真あげちゃうじゃない。
そうすると、「は、結構なご趣味で。他にこんな子もいますが、お好きですよね」って全然知らんヤツの投稿とか延々見せられんの。
もうね、片っ端からブロックだわ。
見たくねーっての。
ジャンルの機微も分からないようなマシーン汁、誰が浴びるか。

と、夫に怒ったことがあります。

お題「1000年先も」

お題「1000年先も」

現金はやがて消える。
通信機器の中で電子信号として存在する価値が、そこに取って代わる時代になった。
そこそこ身軽で、まだまだ危うい環境で。

芸術も、やがて変わる。
計算機械が創作するものは、人の感情を真っ当に捕らえる。生物が独自に形成する胸中の凹凸にも、自在に数値で寄せてくる。

宗教は、変わった。
関わる金も心も、ひと世紀前とは違う。進む道は広がったが、大きな原理からは遠くなった。

人間が作

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お題「良いお年を」

お題「良いお年を」

もうすぐ年神様がおいでです。
特別な供えなどお求めではありません。これはいつも言っていますね。
わたしたちは、新しい暦をいただく。そして、日々を丁寧に過ごす。崇高な目標を立てる前に、実直に生きる。清く、しなやかに進み続けることこそ、

「先生、あちらに…」
「ん、あ、あれ」

白いバニーガールのお姿ですが、年神様です。国政を憂いていらっしゃると聞いてはおりましたが、

「アルターエゴじゃねえ!! 

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お題「1年間を振り返る」

お題「1年間を振り返る」

今年、新しい仕事に就いた。
受注データを右から左へ流す業務に飽きて、在宅WEBデザイン系に乗り換えた。
クリエイティブなことって、絶えず勉強。
トレンドも社会情勢も留まらない。加えて、制作ツールもどんどんアップデートされていく。

そんで、どこの会社もだいたい当てはまるのが、異動ありで仕事している「正社員」は、この業務のスペシャリストになる必要はなく、場当たり的に舵取りするばかり。わたしたち「派遣

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お題「はなればなれ」

お題「はなればなれ」

母親に末期がんが見つかった。
いろいろな治療法を調べたが、本人の希望はただひとつ、「痛みを遠ざけながら穏やかに終わりたい」というものだった。
しかし同時期、妹にも脳腫瘍が見つかる。彼女には生まれたばかりの子供がいた。
母親は、自身の治療法を改め、抗がん剤を選んだ。妹が無事手術を終えて、子供のもとに戻るのを見届けたいと願ったからだ。

妹はほどなく快復した。
母親は安堵したものの、その後、抗がん剤の

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お題「また会いましょう」

お題「また会いましょう」

ここしばらく派遣社員をやっています。長くて3年、短期で半年、いろんな企業を転々として、いろんな仕事をちまちま片付けてきました。
契約満了で去るわたしに、送り出す人たちは「またどこかで会えるといいね」と言ってくれた。おそらく、会うことなんてないけどね。でも、テレビなんかで、かつての通勤路の辺りを見たりすると、懐かしさと共に、ふと思います。

やっぱ会いたくねーな。
たいした仕事しない●●とか、ハラキ

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お題「飛べない翼」

お題「飛べない翼」

閉じてはダメだ。
今は、飛ばなくていい。
でも、とにかく、開いておけ。
いいな?

黄色い口たちがかすかに頷くのを見て、両親はまた飛び立つ。
もう巣立ちは近い。この温まった家を出たら、強者だけの世界なのだ。

柔らかなその羽が、空を統べる日が来る。
さあ、開け。

「腹へったー」
「腹へったー」

※ツバメをイメージしてます。

お題「夫婦」

お題「夫婦」

休日の朝食時、夫が「しなもそ」と口走った。
わたしは、「ああ、つなもそ」と返す。

娘が小学生のころ、怒涛の商品展開を繰り広げていたサンリオキャラクターの、シナモロール。ふんわりとした水色の背景に、綿あめみたいな白い小犬がニコニコしている、あれだ。
女の子向けには赤やピンクの文具が大半だった時代に、パステルブルー系の小物は広く受け入れられ、学校の掲示物にも頻繁に登場していた。
覚えたてのカタカナで

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お題「一筋の光」

お題「一筋の光」

鍋に鰹出汁を温めます。
ニンニクは2片を薄切りに。
キャベツはお好みの大きさでザク切り。
キノコ類は、エノキ、シメジなど、手に入りやすいものを用意。石付きを切り落とし、小房に分ける。エリンギやシイタケは薄切りに。舞茸は手で割きます。

「せ、先生、あれは…」
「今日はお魚ですね。すぐたらいを用意して。一番明るく照らされている辺りに置いてください」
「たらい…たらい…バケツじゃダメですか」
「バケツ

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お題「鏡の中の自分」

お題「鏡の中の自分」

髪を切るときって、だいたいヘアカタログなんかを見て、こんな感じにしてください、ってオーダーするでしょ。
でも、仕上がってみると、それは望んだイメージとは違ってたりする。

服もそう。お店で見てるときや、試着のときって、場の雰囲気に乗っかって、似合い度が割増ししてる。家に帰るとその効果が消えてて、どこかガッカリ感がある。

一番近いからこそ、客観視がうまくいかない。
なりたい姿を追うのもいい。
同時

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お題「眠りにつく前に」

お題「眠りにつく前に」

今日、このアプリを開くのは、寝る前です。
ウサギのケージの隣に布団を敷いて、あとは電気を消すだけ、という体勢で書いています。
目的は文章の練習、特に、瞬発力を得たいと思っています。
若い頃はひょいひょい出来ていたことが、ちょっとサボっただけで、頭も手も動かなくなる。本当に、恐ろしい。
というわけで、スプラトゥーンの復習もやってから寝ます。最近は、バイトして、オープン参加して、ナワバトラーで2勝した

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お題「理想郷」

お題「理想郷」

(注釈)現在、男児出生の際には、すみやかにインケイを切除、フグリは発育状況を見て、後に二分の一、もしくは全摘出が推奨されている。(人科法による)

(注釈)現在、養育資格を保持する成人が、妊娠と出産を希望する場合、母性にのみ種子選定の権利が生じる。(保人法による)

(注釈)現在、子供を養育する期間、資格更新を基準として、その環境への補助が行なわれる。(内国法による)

長い混乱の果て、科学が導き

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