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兵書『孫子』ー君は戦争を知っているか?⑦

 本日は『孫子』作戦編のまとめの部分。
 アニメなどで見る戦いとは、全く趣きを異にする。友人からアニメDVDをもらっていろいろ見たが、ガンダムにしろ、ソードアートオンラインにしろ、騎士の一騎討ちが基本になっているのが不思議で仕方がない。アーサー王物語などが下敷きになっているからだとは思うが、読者層、もとい享受層の人々の特性から来ているのかも知れない。
 アニメで孫子のような軍団の戦いに近いものは、銀河英雄伝説など無くはないが、勝ちについての考え方は異なるような気がする。

『孫子』第二 作戦編(5)

【本文書き下し】
 故に敵を殺す者は怒なり。敵の貨を取る者は利なり。故に車戦に車十乗已上を得れば、其の先づ得たる者を賞し、而して其の旌旗をあらため、車は雑えて之に乗らしめ、卒は善くして之を養はしむ。是を敵に勝ちて強を益すと謂ふ。
 故に兵は勝つことを貴び、久しきを貴ばず。故に兵を知る将は、民の司令、国家安危の主なり。

【現代語訳】
 このため、敵を殺す者は「怒」であり、敵の財貨を取る者は「利」である。だから、戦車の戦いで戦車を十両以上を手に入れると、まず、それを得た者を褒め、そうしてその戦車の旗印を自国の物に改め、戦車は混ぜてこれに乗らせて、兵卒は扱いを良くして養わせる。これを敵に勝って強さを増すと言う。
 したがって、戦争は勝つことを尊び、長引くのを貴ばない。つまり、戦争を知る将軍は、民衆の司令であり、国家の危機を落ち着かせる主である。

☆評釈☆
 戦いに勝つ、という意味を、孫子は定義している。敵の戦力を手に入れ、自国軍が使い、捕虜は大事にすることが、敵に勝って強さを増すことだ、と述べる。そして、その「勝」を貴び、戦争が長引くのを貴ばない。

 孫子の時代の戦いが、国同士の戦争と言っても、今でいえば地続きの中国国内だったから、ということもあるだろう。ロシア対ウクライナの戦争も地続きではある。しかし、この戦争でも、戦いに勝つ、という意味は、孫子とは異なるように思う。

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