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兵書『孫子』ー君は戦争を知っているか?①

 もう10年ほど前に、定時制2校目で、「何か教えてほしいこと取り上げて欲しいことはありますか」と尋ねると、一人の男子生徒が「兵法を教えて」と言いました。
 彼はゲームに出てくる布陣を知りたかったらしいのですが、中国の陣立は平野部の狭い日本ではあまり実用的ではない、と読んだことがあったので、授業ではそもそもの兵法から入ろうと、兵書で最も有名な書『孫子』を取り上げ、ピックアップして読んで行きました。

 ここでは、その時の授業を思い出しながら、『孫子』の兵法を紹介していきます。兵は武器の意味で使うことが多いのですが、兵書という場合の「兵」は戦争のことで、『孫子』は孫武による、戦争についての書です。全部で十三編あったことが知られています。

【第一「計」編】の冒頭
 孫子曰く、兵は国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざるべらかざるなり。

(孫子は言う、戦争は国の重大事である。生死を分ける地や、存亡の道を、察しなければならない)

☆戦争は国の重大事と言うのは、今も昔も同じであるが、そこからが孫子の本分だろう。つまり、生死を分ける場所や存続するか滅亡に至るかの道を、ぜひ考察すべきだと言っている。

 この続きは回りくどいので、簡単に説明すると、

・調べるのに五つのことがあり、実効のために計を用い、それで実情を探るのだ。
・五つとは道、天、地、将、法である。
・道は、民と上とを同じ気持ちにすること。
・天は、日陰日向、寒さ暑さ、時の制限である。
・地は、高低、広さ狭さ、遠近、険しさと容易さ、死生に関わる地形である。
・将は、智恵、信頼、仁義、勇敢、厳格である。
・法は、部曲・部署の制度、官僚の決まり、君主の運用である。
・この五つは、誰でも聞き知っているが、分かっている者が勝ち、分かっていない者は勝てない。そこで、これを実践するのに計を用い、それでその実情を探索するのである。

・孫子は言う、君主がどちらの国が賢いか、どちらができるか、天地はどちらが利を得ているか、法をどちらが行えるか、武器はどちらが強力か、兵士はどちらが熟練しているか、賞罰はどちらが明らかか。私はこれらを以て勝負を知るのだ、と。

☆当たり前と言えば、当たり前ですが、これをも分からずに国同士が戦争を始めてしまうこともありますよね。

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