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杞憂さんが来たぞ~根拠のない不安が膨れ上がる~

「杞憂」とは、無用な心配や考えすぎや取り越し苦労などのことを意味する表現。

実用日本語表現辞典

これを見た無用な心配や考えすぎや取り越し苦労、ありますか? 私はめっちゃあります。ありました。
仕事でちょっと慣れないことがあるとあっという間に杞憂が発動。ああなったらどうしようこうなったらどうしようと思い悩むことばかり。前日に何も手がつかなくなり、ひたすらごろごろお菓子を食べたり漫画を読んだりすることもしょっちゅうでした。

でもわかっているんです。「杞憂さん」と名前を付けるぐらい。
これは無用な心配で、思ったよりも現実は優しく終わる。
時々予想外に辛いことはあるけど、そういうときは杞憂なんて発動していません。辛いことこそ横っ面を殴られたみたいな感じで起こる。
「杞憂さん」がいるとき、本当に大変なことにはならないんです。

だからひたすら「杞憂さん」「杞憂さん」と呼んで区別をしました。そうしたっていなくなりやしないけど、「杞憂さん」だなぁと遠い目をしながらうだうだするだけでも、ただ振り回されるよりは楽で。
そうして、働く年数を重ねるうちに「杞憂さん」と呼ぶほど、強くやってくる無用な心配は顔を出さなくなりました。


だから、少し油断していたのでしょう。
今月に入って上司からの、急にお客さんを向かい入れてほしい、という初めてで無茶な要望。断り切れずに当日の段取りは引き受けても、悪いことが起こるのではと心配でたまらず、当日が近づくにつれて落ち着かない気持ち。
とうとう前日の夜はまったく動けず、ひたすら小説を読んで時間をつぶしていました。いや、こういうことをしても仕方がない気がするんだけどよっぽど心配なんだなぁ…でもそうだよなぁ……と遠い目。

自分の仕事にお客さんを向かい入れたら、いったいどうなってしまうんだろう。悪いことが起こるんじゃないか。とんでもないことをやらかしてしまうのでは。むしろしっかり断ったほうがよかったのでは。私がしっかりしていないからでは。いやでも断れなかったしな~~~~~。
前日の夜はここまで自覚できていませんでしたが、頭の隅ではこんなことを思っていた、と今振り返ると思います。

それでも何とか普段通りの時間には寝て、当日。段取り通りお客さんを向かい入れてみれば──なんてことはない、そこまで大きなことも起きずに終わりました。
というか、急にやってくるお客さんなんて急に動いても受け入れられると思うような輩だろくなものではないと思っていたのですが、当日お客さん本人と話してみて、単に思うままに動くタイプで裏はなさそう(それでうまくいってしまうのはお客さんの特殊性ゆえだけども)、かつそれゆえに予定通りに動けなくても仕方がない、と思う様子。
受け入れられるとは思っているわけではなく、急に動く分の受け入れられない可能性さえも含めているのであれば、なんだ、そこまで面倒なお客さんではなさそうです。

想定よりも肩の力を抜いて対応し、ばたばたっと当日が過ぎ去って家に帰って一息。そうしてようやく気付きました。

「杞憂さん」来ていたのか。

当日対応しかできない状態でそれでもああでもないこうでもないと考えてしまって動けなくなる、まさになじみの「杞憂さん」。久しぶりすぎてすっかり忘れていた、かのお騒がせの御仁が、実はやってきていたのでした。

振り返れば、どうなるか予想がつかない事柄というだけで、私が感じていたようなものすごーーくどうしようもない悪いことが起こりそうな予感を、具体的に起こしそうな人もものも特にない。
未知のお客さんに関しても、多少わがままにふるまう可能性こそあれ、どうしようもない悪いことを起こすのは、立場的に無理だと冷静になったらはっきりわかる。

今回は久々にしてやられた気分です。しばらく「杞憂さん」のことを思い出しもせずに過ごせていたから、すっかり油断していました。
まぁ気づいたからってやることは同じだったでしょうけど。わかっているのといないのとだと、だいぶ心構えが違います。

「杞憂さん」もう出てこなくなったと思ったけど、どうやら違ったようです。これはまた慣れないことのときに出てくるんだろうな。

なんてnoteを書いてると、どうもスーツに帽子をかぶった「杞憂さん」がにやりと茶目っ気まじりに笑ったような、そんなイメージが沸いてなりません。

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