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いたずら太陽とひらりとはためく懐かしさ


ひらひらっとはためく薄い青色。あれはなんだったんだろう。セミの鳴き声が鳴りひびくなか、ひらひらとまうように風がほおをなでる。

懐かしさののこるあの日。

そうだ。あれは、お昼ごはんを食べたあと。扇風機だけをまわした部屋でお昼寝をするのがすきだった。お気に入りの赤い模様とクマさんのかかれたブランケットをひきずってきて、横になる。

たいてい、母が2回目の洗濯を終えたころで。ベランダには、大きなシーツとか布団のカバーとかがはためいていて。

そのゆらゆら揺れるのをみながら、眠りについていたんだ。

開け放たれた窓、入ってくる風はすこしだけ涼しくて。チラリとみえる向こうの景色には、白い雲とひろがる濃い青の空。

きまぐれに扇風機が風をおくってくる。その音がどこか遠くて聴こえてきて、また眠りにつく。


あたらしい季節をむかえる準備、できてる?

そんなメッセージに、画面をみながら大きくうなずいた。選んだものが、スイカっぽいオーナメントだったからだろうか。これからくる暑い季節にむけての言葉。

ただ、連日の季節はずれの夏日。まだ暑さになれていない身体はぐったりだった。先日、ひっぱりだした扇風機は、なんどもいったりきたりしている。ある意味、あたらしい季節にむけての準備はしているのかもしれない。

洋服も、日傘も。天気予報どおりなのだとしたら、まだ続く暑さにむけて。朝いちばんにだしてきたのだから。

お休みエンドロールという、毎週末訪れているサイトがある。プラネタリウムのような星空の中でうつりゆく、きらびやかなオーナメント。その中からひとつ選んでおすと、メッセージがでてくる。そんなサイトだ。

もう一回選ぼうかなっと、スマホをてにとろうとして、ふと手をとめる。今日の予定の通知がきていた。

なんだっけ?

思いあたることがないまま、確認する。表示されたことをみて、声をだした。




まだぼんやりする頭で時計をみる。2時間ほどたっていた。いつのまにか寝てしまっていたようだ。

シーツを洗濯すること!冷たいの!

そんな予定をすっかり忘れていた。あれから、急いで洗濯機をまわした。

お昼前には外にほして、ごはんを食べてひと休み。休んだら、本や雑誌の整理をしようと思っていたのに。窓からのひらひらっとはためく影をみていたら、眠くなってしまったんだ。

かわいたかな。

窓をあけると、むわっとした空気がはいってきて、すぐに肌が汗ばんでくる。シーツをさわるともうすっかり乾いていた。さすがは、夏日。
炎天下にさらされて熱のあるクリップをはずして、まだ暑さののこる青さを空気といっしょに部屋のなかへ。

ふいにかすめた洗濯洗剤とはちがう、なつかしい香りに、目を細めた。あの夏の日もこうしていたのかな。

今夜は、いい夢がみれそう。

いたずらの太陽とエンドロールがくれたあのころの懐かしさに笑みがこぼれた。


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