おおきな自然のなかで、ちいさなココロがふくらんでく。
バスに揺られながら、夜の街並みをながめる。そっと窓から外をみれば、空がどこまでも続いている。車のゆれが心地よく、車内のあちこちで寝息がきこえる。
日曜日のはずなのに、何日も旅行にでかけた後のような感覚。1日がこんなにもながくぎゅーっとつまっているように感じたのは久しぶりだ。
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「湖にいってみない?」
友人にそう誘われたのは、まだ暑くなる前のこと。
自然がすきな友だちは、ひとりで山奥にいってしまうほど自然が大好きだ。1時間くらい余裕で歩けちゃう人からのアウトドアなお誘い。体力に自信のないわたしはビクビクしていたのだけと。湖散策ならできるかも二つ返事で了承した。
高速バスで片道2時間半。山のふもとの何個かある湖のなかでいちばんアクセスしやすくて、お店が多いところにした。ふたりして、暑さによわいから秋のはじまりにしようって約束した。
ただ。約束の日が近づいてくると、だんだん不安になってしまった。
どうやら、天気は雨らしいこと。山は少しずつ寒くなっているらしいこと。はじめていく場所に不安のほうのドキドキは増していった。
約束の日の1週間前。
リュックに必要なものをつめていると、ため息がでてしまった。これはよくないなぁっと、転がっていたスマホを手にとった。
お休みの日にだけ受けとれる特別なメッセージサイト、その名も、お休みエンドロール。
どこのだれがつくっているのか全く謎なのに、もらうメッセージには力強さがあると言われている。このサイトなら、すこしは気分がよくなるかもしれない。
そう、その予感は正しかったんだ。
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湖散策当日の朝。
良い目覚めを感じながら、高速バス乗り場にむかう。心配していた雨は出発前のほんのひとふりだけで、心地よい晴天にめぐまれた。友だちの晴れパワーが効いたみたい。
行きたかった名物料理のお店は、待たずにすんなりと入れて。行きたかったお店にもトントントンといけた。
余裕をもって計画をたててもらったおかげでじっくりお土産もみれた。たくさんのお土産をかかえながら、昼間にみた景色を思いだす。
湖畔のすぐそばのテラス席でおいしいケーキとお茶でひと休み。湖をぼーっとみたりしていたら、雲におおわれていた大きな山が姿をあらわしてくれて、ふたりではしゃいだ。あのひとときのこと。
湖からくるひんやりと心地よい風と太陽からのあたたかさ。空の青、山の濃い青、みどりの木々、どれもすごく大きかったこと。
いまなら、あのメッセージの意味がわかる。
いつもより視界が広くなれば、ココロだって広くなるよ。
いつもより何倍もひろい視界。どこまでも空と山にかこまれて、自分のちいささを知ってしまうと、どうしてか頼りなさよりも守られているような安心感になる。
気持ちいいなぁっていったら、友だちがニヤリとした。ねっ、ハマっちゃうでしょって言いながら。
けど、本当だ。毎日をすごしていると忘れてしまうから。またこんなふうに遠出をしてみよう。
こんどはどこへいこうか。
そんなワクワクで胸が高鳴っていた。
いつも読んでくださり、ありがとうございます♡