ココロが行きたいって言うのだもの
目が覚めたのは、いつも起きる時間だった。薄暗い部屋でスマホのまぶしさに目を細めて、曜日も確認する。
5時間眠ることがつづいた週だった。5時間という長さは、眠ることが好きなわたしにとっては足りない。あと2時間くらい追加オプションしたい。
たっぷり眠れた日がないまま週末を迎えたのは、保守的な性格からいうと、めずらしかった。さすがに昨日の夜は眠さが限界突破してしまった。お風呂では、シャンプーもコンディショナーもご丁寧に2回ずつしてしまうくらい、判断力のなくて思わず笑ってしまった。
どうやらそれは眠る前もだったらしい。スキンケアの途中で寝てしまったようで、近くには化粧水のボトルがころがっていた。お布団に潜ってくれただけでもよかったとホッとする。
土曜日なんだからと、お布団の温かさに顔をうずめて、もう一度手放そうとした意識をギリギリのところでつかまえる。お洗濯だけしよう。むくりと起きて、外をみると、うっすらとした白さが景色を覆っていた。
「わぁ。」
思わず出てしまった声。お洗濯ものの詰まったカゴを置いて、タオルを持っていく。パシャパシャとぬるま湯で顔を洗って。ピンとはねた前髪をドライヤーの熱でうまいことアレンジする。
「まだ眠りたいよ。身体の中から声がする。
このままお布団の中に戻ろうよ。お洗濯待ちながら、二度寝するんでしょ?」
響いてくる声を聞きながら、頭はもう着ていく服を考えている。寒いからホッカイロは2つだなっと寒さ対策までばっちり。洗濯は明日でもいいかなって思えるのは、月曜日のお休みのおかげでもある。
「疲れているのに、無理するの?良くないんじゃない?」
たしかにそうだ。少しだけ手をとめる。ここぞとばかりに声はたたみかけてくる。
「こんなに寝不足なのに、こんなに寒いんだよ?風邪引いちゃうよ。それに、出かけたところで眠くて何もできないよ?」
ごもっとも。睡眠不足という隙だらけの身体では、対抗できないこともあるかもしれないし、うとうとしていては意味がない。意味がない??
意味あるよ!!
インナーを重ねて、ホッカイロもはる。ふんふん鼻歌歌いそうになりながら、メイクする。若干寝ぼけているけど、どこのメイクもひと通りできた。
「わかった。わかった。あったかくするんだよ。」
まだ眠りたいよっと身体は言うのに、ココロが行けっていう。そんなわけで身体は、ココロのためにもう一日だけ付き合ってくれた。
うとうとしててもいい。
だって、この中を歩きたいんだもの。
外に出て、歩くだけで目標は達成なのだ。
マフラーをくるくるとまいて、コートを羽織る。ニットの帽子をかぶって、ブーツをはく。手袋も忘れずに。少しずつ開くドアから流れ込んでくる冷たさに、思わず身体がきゅっとなる。
わたしは、雪舞う世界へ踏み出した。
***
やっと見られたこの冬はじめての雪。
すごく嬉しかったなぁ。
いつも読んでくださり、ありがとうございます♡