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いつもをひょいってこえていける、鏡のなかのいつも。


ずーっとそこにあったのに、あたりまえすぎて気にならないことがある。


ずーっと気にならなかったけど、ふと気になる瞬間がやってくることがある。


あれ? たしかにずっーとあったのに。
どうして、今まで気がつかなかったんだろう。
みたいな。


なんだか物語にでてくる、鏡の世界にまよいこんだみたいな。不思議な感覚のとき、いつもから、ひょいととびだせるのかもしれない。

となりの街にある、おじいちゃんとおばあちゃんの家にいくのが楽しみだった。


なかでも、おじいちゃんとふたりでたべる、ちかくのお店のお弁当がすきだった。
ちょっとすてきな和食屋さんのお弁当だ。


地元にかえると必ずたべるくらい、いまでも大好きでなつかしい味。
松茸梅となまえのついたものが数種類。


なんだか違いがよくわからなくて、いつもおじいちゃんと同じものにしていたんだ。
それがいちばんおいしいから。
とり肉とたれがたっぷりのかかったごはん。シンプルなとりめし。


おなかがはちきれんばかりになりながらも、食べていたっけ。
少し前にも食べたけど、やっぱり、おいしい。


幼いころとかわったこともある。
容器がすこし軽くなったこと。
フタについてた紙がなくなったこと。
わたしがお漬けものをたべるようになったことだ。



梅干しとたくあん、それとキュウリ。
その3つが箸休めとして、お弁当にはいっていて。いつも食べられずにいた。


たくあんは平気なときもあったけど。梅干しの酸っぱさとキュウリのピリ辛があんまり得意じゃなかったんだ。


あるとき、理由はわからないのだけど、すごくおいしく感じたときがあって。
とり肉とごはんとお漬け物をいかにバランスよくたべるようになれて。わたし、大人になったなぁなんて、思ってたもんね。



何がきっかけだったんだろう。
お漬けものは、いつもお弁当のなかにはいっていたのに、何がきっかけで食べてみようかなって思ったのかな。


食べなさいとか、誰かに言われていないのにな。
でも、あのとき食べようとおもってくれてありがとうとも思うんだ。


いつも素通りしちゃうけど気になるお店とか。
いつも頼んでいるもの以外のメニューを頼むのとか。
やっぱりハードルが高いなぁって感じることもあるけれど。


いつものお弁当にはいっているおかずの中のひとつとか。
いつも頼んでいるメニューの副菜やデザートをかえるとか。
定番のものの期間限定の味とか。


いつもから、ちょっとはみでてるくらいなら、ハードルはひょいと飛んでいける。
ちょっと気になるなぁの好奇心でうごけそう。


ずーっとそこにあったのに、あたりまえすぎて気にならないことを。
ずーっと気にならなかったけど、ふと気になる瞬間には、もう新しさになっている。

そのくらいのひょいって高さの新しさをたくさん見つけるもの、楽しそう。

いつも読んでくださり、ありがとうございます♡