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講義づくり

私は、看護専門学校の教員を経験したのち、大学の教員になった。
厚生労働省看護研修研究センターの修了生でもあり、看護とは?教育とは?をみっちり叩き込まれた経験を持つ。

看護専門学校の教員のときは、講義・演習・実習指導や学校運営が仕事の柱だった。
そのため、専門学校でその仕事の経験を十分積んでから大学の教員になったので、そこに研究がプラスされても戸惑いは少なかったと思う。

看護基礎教育の現場なので、働く場所は変わったけど、仕事に向き合うスタンスは変わっていない。
ただ、大きく違っていたのは、看護専門学校の時と全く違う人数の学生たち。そのため、講義の方法は変えた。

講義はライブ。まさにライブ。ちょっとだけミュージシャンの気持ちがわかる(笑)

講義の準備の仕方は、人それぞれだと思うけど、私はこんな感じで作っている。

講義時間は1回90分。1回の講義につき、大きな目標があったら、小さい目標が3つくらいあるので、一つの小目標につきおよそ30分の内容を考える。

その30分も、10~15分の塊にする。飽きさせないように伝える内容もかなり絞る。

確か、人間の集中力は15分が限界、という話を聞いたことがあって、大体そのくらいで一つのネタの話をするとちょうどいいんだろうなというのは、講義中の学生のリアクション見ていても実感している。

そして、たくさん教えたとしても、学生の知識として定着しないのもわかっている。この10数年の教員経験の歴史は、いかに教える内容を精選するか、にかかっていたと言っても過言ではない。

いかに興味を持ってもらうか。興味が出てくれば、学生は自分で調べ、疑問を持つようになれば自ら質問をしてくれる。

特に私の専門科目は、「母性看護学」という科目なので、講義前は全く関心が持てなかったという(とりわけ)男子学生も少なくはない・・・が、講義を受けたあとのリアクションが驚くほど良くなるので、それも嬉しいことである。

講義しているときには、学生の様子もよく見て話をしているのだけど、身を乗り出して聴いてくれている男子学生もいるので、関心が持てるような講義づくりは重要だなと思う。

関心がもてる工夫は・・・

①既習学習との関連を示す
全く新しい内容ばかり教えるのではなく、他の科目で習ったことと繋げて話す。関連付けができると、新しい学習内容でもイメージがわきやすくなる。

②学生の声を大事にする
学生のリアクションペーパーに記載されている意見や質問を、次回の講義で必ず取り上げる。自分たちの声が反映されていると分かると、講義を聴くのも真剣になるし、リアクションペーパーも一生懸命書くようになる。講義はライブであり、双方向のやり取りが楽しいので、意見や質問には丁寧に対応する。

③現場のリアルを伝える
実習における先輩たちの様子などを話しつつ、今教えている内容はこのように活用する、と説明すると、非常に定着しやすいようである。
看護学の良いところは、自分が講義した内容を学生たちがダイレクトに実習で生かせること。そして、学生の知識の定着度や理解度を実習指導で確認できること。それをもとに、下級生への講義を改善するのに役立てている。

勿論、現場のリアルを伝える際に個人情報保護を徹底しているのは、言うまでも無い。

講義は、本当に楽しい。何より大事なのは、講義する自分自身が楽しむこと。自分の専門科目を、心の底から愛すること。そして、学生と一緒に学ぼうという姿勢。

教える自分は、 何度やっても決して完ぺきではなく、学生からの声で新しい気づきを得ることも多い。その声を、できるだけ反映させて、次の講義をつくる。

講義は、つくっている段階から、相互作用なのである。

今年度も、全く新しい単元を担当する予定になっているので、学生がどうしたらワクワクしながら講義に参加できるか、考える日々をしばらく過ごそう。




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