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流産・死産経験者やご家族をささえる会「ANGEL TRAIN」立ち上げの話

先月、こちらの記事を書きました。
流産・死産経験者の支援の会を立ち上げたお話です。

私は、他にも支援団体の活動を行っており、先週まで佳境を迎えていたため、この「ANGEL TRAIN」の活動開始が少し遅くなってしまいました。
ようやく動き出せそうです。
HP、SNSは、明日公開の予定なので、改めて紹介します。

私が、支援の会を立ち上げたのは、支援する側の助産師であると同時に、自分自身が流産の経験者でもあるからです。

流産・死産経験者の女性に対する支援

妊娠中は、自分のお腹の中でこどもを育みますが、他の人からは赤ちゃんの存在が直接みえません。お腹が大きいと外からでもわかりますが、そのような意味ではなく、赤ちゃんの存在を身体で実感できるのは、母親だけといっても過言ではありません。
(愛着形成を促すために、父親にもお腹に触れるよう話したりもしますが)

母親は、赤ちゃんに対して、早い時期から愛着をもちます。お腹の中にいて、大きくなってきたり、胎動を感じる時期よりも前から、我が子としての実感を抱いております。
しかし、他の方々は、赤ちゃんを直接抱くことは出来ませんし、自分の身体の中にいるわけではないので、母親と比較しても、赤ちゃんの存在について、はるかに実感も持ちにくいと思います。

そのような時期にお腹の中で赤ちゃんを亡くすことは、その悲しみをなかなか他の方にわかってもらいにくいことになります。
流産や死産の場合、戸籍にも残らないので、弔いの場が限られた身内だけになってしまい、他の方々と亡くした赤ちゃんの存在を分かち合うのが難しいという特徴があります。

そのため、悲しみが長期にわたって続くのです。
悲しいときやつらいときに、思う存分泣いたり、誰かに話を聞いてもらうことはとても大事なのですけど、その機会すら十分に無いこともあります。

周りの人に話しても、「早く忘れた方が良い」とか「次がまたあるから」などと言われ、上にこどもがいる場合は、「上の子がいるからまだ良かったね」なども言われ・・・私も随分傷つきましたけど、同じような経験をしている方はたくさんいるのです。

そのため、安心して自分の経験を話す、思う存分泣ける場所があることは、とても大きな意味を持ちます。

パートナー男性への支援

パートナーへの支援も非常に重要です。
一番言ってはならないのは、「妻を支えてあげてください」という言葉です。

赤ちゃんの父親である男性も、非常に悲しんでおります。

そのときに、「奥様はとても辛いので、支えてあげてくださいね」と言われると、男性は、自分の抱いた感情を表に出せなくなります。

「私が辛いとか悲しいとか言っている場合ではないんだ・・・妻を支えなきゃ」と思ってしまうのです。

しかし、感情を表に出さないままでいるのは良くないことでもあります。男性自身のメンタルヘルス上良くないことはおわかり頂けると思いますけど、それ以外にこんな問題もあります。

それは、妻から見て、そんな夫が「平気そう」にみえてしまい、
「私は赤ちゃんを亡くしてこんなに悲しいのに、父親である夫は何故平然としていられるの?!」と怒りの感情さえ湧いてしまうのです。

そのことが、夫婦関係の悪化に繋がることもあります。

そのため、夫婦が揃って感情を共有できることが大事です。

男性は、「男だから泣いてはいけない」など、男性性(男らしさ)に囚われていることも多く、自分の感情を出すことが難しい場合も少なくありません。
男性も安心して感情を出せる場が必要ですよね。

今回、立ち上げた支援の会は、経験者の男性もスタッフにおります。
男性が安心して気持ちを吐露できる場の必要性を痛感しており、仲間になってくださったのです。

自分自身の経験を語ることで、気持ちが落ち着いてきたり、改めてパートナーと向き合うことが出来るようになるかもしれません。

是非とも男性の皆様にも、お越し頂けたらと思っています。

祖父母への支援

赤ちゃんからみて祖父母にあたる方々への支援も重要です。
それは、自分の孫を亡くしているからです。
そして、自分の娘が赤ちゃんの母親である場合は、自分の娘の悲しむ姿を見ているのが辛くてたまらないからです。

それが故、赤ちゃんを亡くした娘に対しての言葉がけが、赤ちゃんではなく、娘に焦点を当ててしまいがちなのです。

そのため、娘である母親は「私は赤ちゃんを亡くしてこんなに悲しいのに、赤ちゃんのことを考えてくれていないんだ・・・」と思ってしまうこともあります。

祖父母との気持ちのすれ違いについては、様々な場面がありますが、共通しているのは、亡くしたこどものことを大事に思ってもらえなかったということです。

私は、このような話を祖父母の皆様に伝える必要があると考えています。

家族看護学研究 第27巻 第1号(2021年)に掲載されている私の論文(Support expected from families by mothers who have miscarried while raising preschoolers)に詳しく書いております。

また、上のこどもがいる場合、上のこどもへの支援も必要であると思います。私の論文では、上の子の存在に励まされた母親の姿を描いておりますが、こどもに関してどのような支援を行うかについてまでは言及されておりません。この点につきましては、また、そのうち・・・で。

本記事をお読みくださりありがとうございました。

支援団体の果たす役割は非常に大きく、当事者の支援のみならず、支援者側の支援も求められていると思っています。特に流産・死産などのケアは、医療職側にとっても辛いので、同じ医療職への支援についても行っていくことを考えています。

すぐに全部は出来ないかもしれませんが、一つずつ確実に、これまで他の支援団体で行ってきた実績を生かしつつ、歩んでいきます。
引き続きよろしくお願いいたします。

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