「singsジブリ」コンサートに行ったら封印してた幼い頃の記憶が溢れ出した
7月17日(海の日・祝日)に東京国際フォーラムホールAで開催された 『sings ジブリ』コンサートに行ってきました。
昨年の同コンサートは、かてぃんさんが出るのは知っていたけど、子供向けのコンサートなのかと思って遠慮してしまい、行かなかったことを後悔しました。なので今回の開催が決まった時は迷わずチケットを申し込みました。
と言いつつ、実は私はトトロ以外のジブリ作品はほとんど観ていない非国民(笑)。
ナウシカ、もののけ姫、千と千尋はコロナの自粛期間中に映画館で特別上映をやってくれたおかげで、人生で初めてちゃんとその3作品は観ることができました。そのほか映画館でリアルタイムで観た作品は、「おもひでぽろぽろ」と「借りぐらしのアリエッティ」だけ。
これまでテレビの金曜ロードショーで他の作品も何度もやっていたと思うのですが、魔女宅以外は観ないまま、もしくは毎度途中で挫折してちゃんと観ていないか…という感じ。
それでも映画で使われる有名な曲は知っているし、作品を知らなくても楽しめる音楽だろうという信頼感のようなものはありました。
少し早めにホールの中に入って着席すると、小鳥のさえずりがBGMで流れていて、外が猛暑だっただけに、耳からもスッと涼しくなるようでした。
少しスタートが押したのは有楽町線が遅れていたせいだったかもしれません。先日も別のコンサートで電車遅延によるスタートの遅れがあったのですが、その少しの融通と心遣いに気持ちが温かくなります。
特に印象に残ったのは、まず最初の曲。
客電が落ちて、幕が上がるとかてぃんさんのピアノソロ「あの夏へ」からスタートしました。
クラシックの演奏の時とはどことなく空気が違い少し柔らかい雰囲気だったせいかもしれないのですが、いつもコンサート序盤で緊張しすぎな私にはそれが功を奏し(?)、最初の1音が鳴った瞬間からぎゅいんと心を掴まれてしまって、いきなり涙が出そうになりました。自分でもびっくりです。笑
そして、あの千と千尋に出てくる水の線路の映像がスクリーンに流れ始めると、かてぃんさんのYouTubeで観ていた映像が目の前に3次元で現れたような感覚になりました。2次元→3次元というこのこと自体にもまた不思議な感動があります。
(こちら、映画全編の音楽をピアノで出来得る限りの様々な趣向を凝らし、1つの作品に仕上げているかてぃん氏渾身の動画。
海を渡る電車のシーンは11’26”〜になりますが、流れがあるので最初から観るのをオススメしたい。)
あと前半で印象的だったのは、菊池亮太さんがご自身でストリングスアレンジまでされたという「『もののけ姫』組曲」、「アシタカとサン」をビシッと熱演された直後、島本須美さんのMCの間にキャラ変(笑)し、ベージュのハットとトレンチコートを纏った銭形のとっつぁんになって再びステージへ戻ってきたところ。しかも、とっつぁんとクラリスが会話してくれるというちょっとした嬉しいサプライズもありました。
そこからの「炎のたからもの」はもうとっつぁんが激渋なピアノを奏でているようにしか見えなくなって(←逞しい想像力)、なんだかツボに入ってしまい、ニヤニヤが止まらなくなりました。笑
とっつぁんにあんなダンディーな色気あるピアノ弾かれたらギャップ萌えも良いとこです。最高でした。
休憩挟んで後半、以前YouTubeに上げてくれたかてぃんさんと菊池さんのコラボ「Madness」で華々しくスタート。
かっこいい以外の何物でもないです。生で聴けたことに感謝。
そして、ついにスペシャルなゲスト、加藤登紀子さんの登場。
艶やかなアルトの歌声は年齢を重ねて、枯れた渋さも増し、私なんかが何かいうのは烏滸がましいですが、歌声に人生そのものが凝縮されているような感じがして、体内に深く染み入ってくるようでした。
MCでお話されていた、この曲を宮崎駿さん同席の元でレコーディングされた時のエピソードもおもしろかったです。ジーナにはむしゃぶりつきたくなるような口元の動き(そのくらい色っぽいもの)が欲しかったそうです。
私は「紅の豚」をまだ観たことがないのですが、そんな表現が宮崎駿さんから出てきたことがちょっと意外で…聖人ではなく、人間らしい異性への憧憬みたいのが垣間見えて嬉しくなりました。このお話を聞いて「やっぱ映画観よう!」って思いました。笑
そして思ったのは、菊池さんもかてぃんさんも歌の伴奏が本当に上手だな…と。歌い手の方々はものすごく気持ち良く歌えるんじゃないかと思うし、好きになっちゃうだろうな…と思います。
登紀子さんが、かてぃんさんのお顔を見て「ダビデに似てる」としきりにおっしゃっていたのがおもしろくてめちゃくちゃ笑いました。ダビデは竪琴の名手でもあったそうで、生まれ変わりかもしれない…というのはまんざら嘘じゃないかもしれないと思いました。(学問もピアノもあれだけすごい能力を持ち合わせてて、人間的にも優しくて豊かな感性を持ってて…っていったい人生何回やってるんだろう…と私も前々から思ってたんですよ。元々の魂年齢が高い気がしてたので、ダビデの頃から何度も転生して、途中でショパン経由して、今、かてぃん…とか思ってひとり納得してます。笑)
ピアノを弾いてる後ろ姿も本当にステキなの、と…(お客さんに向かって)見えなくて残念よね…みたいにおっしゃってて、私はこれまでに行ったコンサートでかてぃんさんを背中側から拝見することが割と多かったので、ものすごい「わかります!」って気持ちでお話を聞いていました。笑
そして、年齢を重ねてもずっと"女"であり続けている登紀子さんのその感性がとてもステキ!と思いました。
そういえばそのかてぃんさんの弾いてる後ろ姿の色気…みたいなところから、私もこの日は少し特別に感じていたことがありました。
気のせいかもしれないけど、ジブリの曲とこの日のような編成は感情を出しやすいのかな…?と少し感じました。彼の演奏からここまでエモーショナルな部分がダイレクトに伝わってきたのは個人的には初めてで、ものすごくキュンときたのです。ジブリの曲が好きだ、というのは知っていたけど、その好き度合いを私は舐めていたかもしれません。。
ちょっと脱線しますが、クラシックの曲を演奏してる時のかてぃんさんはどちらかというとあまり感情をむき出しにするタイプではないと思っていて…。物理的なテクニックに加えて、楽曲をいかに素晴らしく聴かせるかのテクニックもとても優れているので、個人的な感情を表に出さずとも人の心を震わすことができる演奏家だと思うのです。でも私的には、曲によっては時々「なにかが足りない」と感じる時も過去にありました。よく「子宮に響く」みたいな言い方をしますけど、まさに第1チャクラ〜第3チャクラ辺りにグッと来るような演奏って本当にあって(←気持ち悪い言い方してすみません!)、そういうのがあるともっと良いなぁ…と。所作でどうこうするようなものでもなく、とても感覚的なことなのでどうって説明しづらいですが…。ただこの日の演奏からは心の奥の方をほんの少しさらけ出してくれた感覚があって、私はとても嬉しかったのです。。
話を戻して…
あと特筆すべきなのは、島本須美さんと井上あずみさんお二人の醸し出す温かな雰囲気。そして加藤登紀子さんが両親と同世代だったことも関係してたかもしれませんが、女性陣3名の優しい優しいお話の仕方に絆されて(?)、自分が子供の頃に戻ったような…というか、小さい頃夕飯を待ちながらテレビで子供番組を観ていた時のような懐かしい感覚が急に思い出されて、「なんだこれは…」とまた涙が出そうになりました。自分にもそんな"守られてる幸せ"みたいな時間があったんだ…と突然思い出したというか。。
私は小さい頃からずっと早く大人になりたくて、背伸びし続けてきた気がします。だからあの無条件に守られているようなふんわり幸せな雰囲気がずっと苦手で、そういう場から逃げるか視界に入れないようにして生きてきた気がしていて。。それが、今になって、おそらくもう背伸びする必要がなくなったせいだと思うんだけど、なにかの呪縛から解き放たれて初めて人の優しさに触れた時に、ずっと張り詰めてた糸が切れたようなどうしようもない感覚になったんですよね…。
終演後はなんか自分の中に居る小さな頃の自分がわんわん号泣してるような感覚を抱えながら、うっかり今の自分が号泣しないように理性を総動員して堪えながら、電車に揺られて帰りました。
そういう意味で、私は今回このコンサートを堪能できたことで、子供の頃の自分がやっと子供らしさを取り戻せたような、そして何か吹っ切れるものがあったような気がして、とても幸せでした。
そして、なんとなくあまりジブリ作品を観ないまま育ってきてしまった分を取り返すべく、これから少しずつ映画も観て行こうと思います。
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