フィギュアスケートの採点にAI導入の可能性〜若き研究者の挑戦〜
スポーツの中でも、白黒はっきりさせる得点競技というのはひときわ盛り上がるものです。
そんな得点競技につきものなのが、”本当に採点は正しいのか?”という問題。
1人のファンとして見ている側からすれば、「どっちなんだ?」というような微妙な判定は多いです。
サッカーの反則判定などしょっちゅう疑惑が持ち上がります。
(※本当に不可解な判定と認められた過去もあります)
そんな中で、最近期待され始めているのがAIによる採点。
すでに体操など、一部の競技では機械による判定が導入されています。
しかし、現実にはまだまだ人の目で判断している競技のほうがずっと多いです。
フィギュアスケートでAIによる判定は可能か?を実験
AI採点未導入の競技の一つがフィギュアスケート。
ジャンプの回転不足など、傍目から見ると微妙な判定が多く、採点に対する議論がしょっちゅう巻き起こっています。
(選手が不満を言うことはほぼなく、あくまでファン同士の話ですが)
そんなフィギュアスケートの採点にAIを導入できるか?という研究をした人がいます。
元フィギュアスケーターで、現在は社会人大学院生の廣澤聖士さんです。
日本のみならず、海外でもほとんど研究されてこなかったフィギュア界へのAIの導入。
いわば先行研究や文献がほとんどない状態です。
そんな中で苦心しながらも実験を繰り返し、一つのたたき台を作った功績は非常に大きいです。
(先行研究のないもので卒論実験をする大変さは理系の研究室出身の方にはよくわかると思います)
今回は主に、回転不足判定へのAI採点導入実験でした。
試行錯誤の末、採点精度58%という成果が出たのです。
AI採点導入への実現性は?
AI採点導入実験という先進的な成果が出たわけですが、
「AI採点導入しよう!」
などと簡単に言える状況でもないようです。
AI採点導入の実現性について、先ほどの記事の補足という形で廣澤さん自身が記事にしてくれています。
先ほどの記事はAI推進派のメディアですので、AIの可能性をどうしても良いほうにとらえた書き方になります。
現状を正確に捉えるためには少し割り引いて考えなければいけません。
廣澤さんによれば、実際のところは58%という精度もそもそも理想的な環境下のデータとはいえず、本当にスタートラインでしかないとのことでした。
理系の研究のイメージでいえば、予備実験の段階。
本当に1人の研究生の実験成果の域を出ないというのが現状でした。
それでもこの小さなAI採点実験の成果がもたらした可能性は大いにあります。
今後のAI採点の可能性を拓く足がかり
科学の歴史を見ても、初期の実験や研究は曖昧であったり、精度が低かったりするのが当たり前。
しかし、その後の時代には他の研究者が先人の研究を踏まえ、改善実験をします。
その後の時代にはもっと科学が進歩し、さらに精度の高い改善実験をして…
この繰り返しで科学は進歩してきたのです。
ですから今回の研究自体は足がかりに過ぎなくても、その後の大きな可能性を拓いたことになります。
すでにいくつかの方面からメディアに取り上げられたり、データを求められたりといった動きは出ているとのこと。
廣澤さん自身もこういった動きを起こすことが目的だったようです。
若き研究者の取り組みは続く
今回取り上げた廣澤さんのように、若い研究者の方がスポーツ界を変えようと動いていることはとても喜ばしいことです。
(私のようなヒヨっ子が”若い研究者”なんて言うのも恐縮ですが…)
少しメッセージにてお話しさせていただきましたが、スケート選手のために競技用具などの質向上をしていきたいという熱い想いを語ってくれました。
私自身もスポーツ業界をもっと善くしたいという想いを実現すべく、こうして発信させていただいています。
こうしてスポーツ界に携わる人々のお話をもっと聞いていきたい。
その想いをもっと伝えていきたい。
改めて自分にできること、やっていきたいことについて考えさせられた日でした。
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