写生はリアリズム足り得るのか――写生の逆子性について――
① はじめに
俳句という詩形がリアリズムを受容したのは、子規の時代であるというのが定説であろう。西洋から渡ってきたリアリズムは、月並俳諧からの革新を掲げた子規が目を付け、写生という方法を伴って詩形に現出させられた。以後子規の死後も、虚子の巧みな舵取りにより、俳句が写生、あるいはそれに対するアンチテーゼというかたちで主な動きを見せ、虚子以後の多様化の流れにおいても写生/写生でないという対立の意味で表現のベースに広義の写生があったことは多くの人が肯うところだと思われる。
だが、写