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読書記録

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僕が読んだ本の感想や印象的なフレーズが書いてある記事です。
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#推薦図書

「辻村ワールドすごろく」のすすめ あなたにとって大切な1冊が、きっとここから見つかります

辻村深月さんの作品は、基本的にはそれぞれの作品内で物語が完結する構成になっていますが、作品によっては読む順番が存在するシリーズのようなものがあります。 それは「辻村ワールドすごろく」という名称で、順番通りに読むことで面白さが何十倍にも増す仕掛けになっているんです。 当記事では、「辻村ワールドすごろく」の全作品を読んだ僕が、その全作品についての紹介と感想、そして魅力について書きました。 辻村ワールドすごろくとは?辻村深月さんの作品は、登場人物や世界観がつながっていることが

2023年、僕が本から拾った言葉たち

SNSによる誹謗中傷、相手を配慮しない余計な一言、情報の先取り合戦、論破…… 「ファスト映画」が話題になっているように、「コスパ」「効率化」が重要視されているような令和の世の中。そんな世の中で、言葉がどんどん鋭利になっているのを感じている。また、日々のニュースを通じて政治家による不適切な発言が嫌でも目に付く機会が増えているように感じている。鋭利であるとともに、言葉が軽くてぞんざいに扱われているような気もしている。 僕にとっての読書の楽しみの1つが、様々な言葉に出会えること

#96 2023年11月に読んだ本【読書日記】

こんにちは☺️ 当記事は、僕が11月に読んだ本の中から12冊をまとめたものです。 それぞれの本で、読んだきっかけ、このような方にオススメ、感想、印象的なフレーズを書きました。読む本を迷っている方にとって、参考になっていただけたら幸いです。 1.『正欲』(著:朝井リョウ)📖読んだきっかけ 朝井さんの作品といえばメッセージ性の強さ。本作はそれが色濃く出ているような気がして、以前から気になっていました。また、11月公開の映画の前に読みたいとも思っていました。 📖このような方に

2023年8月に読んだ本【読書日記】

こんにちは☺️ 連日35℃超えの猛暑で体が溶けそうだった8月。 そんな中でも、素敵な作品たちに出会えました。 当記事は、僕が8月に読んだ本15冊をまとめたものです。 各作品を読んだうえで「僕ならばこのような方にオススメしたい!」が書いています。もし当てはまる場合は、読んでみたら大切にしたい1冊になるかもしれません。 1.『世にも奇妙な君物語』(著:朝井リョウ)📖このような方にオススメの本です ・趣向が異なるホラー系の作品を読みたい ・予想外の展開がある作品を読みたい

2023年6月に読んだ本【読書日記】

こんにちは☺️ 当記事は、僕が6月に読んだ本13冊をまとめたものです。 各作品を読んだうえで「僕ならばこのような方にオススメしたい!」が書いています。もし当てはまる場合は、読んでみたら大切にしたい1冊になるかもしれません。 1.『ランチ酒 おかわり日和』(著:原田ひ香)📖このような方にオススメの本です ・『ランチ酒』を読んだことがある ・相手との向き合い方について悩んでいる ・東京の美味しいお店を探している ・お酒が好き 2.『ソロモンの犬』(著:道尾秀介)📖このよう

#68「哀しさ、優しさ、あたたかさ。人間の感情のすべてがここにある」『この夏の星を見る』(著:辻村深月)を読んだ感想【読書日記】

辻村深月さんの『この夏の星を見る』 2023年6月30日に発売された辻村さんの最新長編作品です。 「哀しさ、優しさ、あたたかさ。人間の感情のすべてがここにある」 あらすじに書いてある言葉の通りでした。 今年読んだ本の中で一番印象的な作品になりました。 読んだきっかけきっかけはただ1つ。 「好きな作家さんの最新長編作品だから」 辻村さんの長編作品は印象に残る作品が多く、書店にあったポスターを見ながらワクワクして発売を待っていました。運良く発売日に購入して、すぐに読みま

#63『ロールキャベツ』(著:森沢明夫)を読んだ感想【読書日記】

森沢明夫さんの『ロールキャベツ』 先月に刊行された森沢さんの新刊です。 読んだきっかけ久しぶりにハードカバーの本を読みたいと思いながら書店へ。新刊コーナーを見ながら気になったのが本作でした。 森沢さんの作品は本作で初めて読みましたが、昨年、『プロだけが知っている小説の書き方』を読んでから気になっていた作家さんです。 このような方にオススメの本ですとにかく心温まる作品が読みたい 特にやりたいことがなくて悩んでいる大学生 何か新しいことに挑戦したいが、その新たな一歩が踏み

#61【ネタバレ厳禁】『世界でいちばん透きとおった物語』(著:杉井光)を読んだ感想【読書日記】

杉井光さんの『世界でいちばん透きとおった物語』 ブクログや読書メーターのランキングで上位にランクインしている話題作です(2023年6月時点)。 読んだきっかけTBS「王様のブランチ」のブックコーナーの特集で紹介されていたのを見たのが最初のきっかけです。その影響か、放送から数日間はTwitterで本作の読了ツイートをかなり見かけました。そして、特集でも読了ツイートでも感じたいつもと違う感覚。「何週間後ではなく、今読もう!」と僕の心が動いて書店へ行き手に取りました。 このよ

2023年5月に読んだ本【読書日記】

こんにちは☺️ 2023年5月に読んだ本は13冊。 今回は、2023年5月に僕が読んだ本13冊をまとめました。 今月から「僕ならばこのような方にオススメしたい!」というのを各作品で書きました。もし当てはまる場合は、読んでみたら大切にしたい1冊になるかもしれません。 1.『きのうの影踏み』(著:辻村深月)📖このような方にオススメの本です ・ホラー系の作品が読みたい ・サクッと読める短編集が読みたい ・辻村深月さんの短編集が気になる 2.『カラスは言った』(著:渡辺優)📖

#47『舟を編む』(著:三浦しをん)を読んだ感想【本屋大賞受賞作】

三浦しをんさんの『舟を編む』 2012年(第9回)本屋大賞受賞作です。 僕はもともと言葉に触れるのが好きで、本作のあらすじを見たのがきっかけで手に取りました。読み始めてからタイトルの意味を知り、一気に引き込まれました。 このような方にオススメの本です言葉に触れるのが好き 想いを伝えるのが苦手なほうだ 今取り組んでいる仕事に熱中できない 辞書がどのように作られるのか気になる あらすじ感想登場人物たちの関係性が素敵 言葉に触れるのがさらに好きになった 目の前の仕事

#42『ランチ酒』(著:原田ひ香)を読んだ感想

原田ひ香さんの『ランチ酒』 先日『三人屋』を読んでから、原田さんの食べ物系の小説が読みたい気持ちが強くなったのがきっかけで手に取った1冊です。 あらすじ感想食欲と酒欲がそそられる1冊 メニューが目の前にあるのがイメージできる 「そばにいる」だけでも人は互いに変わっていくのだと思った 次々に登場するメニューに食欲と酒欲がそそられる1冊でした。 丼ぶり、お寿司、ハンバーガーなどに、祥子が必ず注文するのがお酒。ランチで食べるメニューはほとんどがなじみ深いものでも、お酒が加

#41『スター』(著:朝井リョウ)を読んだ感想

朝井リョウさんの『スター』 先月に文庫版が刊行されました。 今の世の中におけるSNSやメディアに関して、モヤモヤとした何かを感じていることは誰しもかあると思います。それが見事に言語化されていました。 あらすじ大学の同じ映画サークルだった立原尚吾と大土井絋。 2人が監督を務めた作品『身体』が、ぴあフィルムフェスティバルでグランプリを受賞します。 慎重派で「細部に神が宿る」を信念にしている尚吾と、感覚派でかっこいいと感じたものをかっこよく撮る絋。 2人は大学卒業後に対照的な道

#39『しろがねの葉』(著:千早茜)を読んだ感想

千早茜さんの『しろがねの葉』 第168回直木賞受賞作です。 直木賞受賞作が発表された今年の1月以降、書店の店頭で見かける方も多いのではないでしょうか? 僕も直木賞をきっかけに読みました。 あらすじ感想運命に抗い続けるウメの生き様は銀のように輝いて見えた 何か1つの言葉では言いきれないような壮大さに満ちていた 戦国末期の石見銀山が舞台の少女ウメによる物語。 ウメは稀代の山師と呼ばれる喜兵衛に拾われて坑道で働き始めます。そこからのウメの生涯が描かれています。 喜兵衛と

#38『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』(著:標野凪)を読んだ感想

標野凪さんの『今宵も喫茶ドードーのキッチンで。』 今月は食べ物・料理系の小説を読みたいと考えている中で、SNSでよく見かけたのがきっかけで手に取った1冊です。 あらすじ感想何かに縛られたり焦ったりする時こそ、自分をいたわろうと思った 何気ない一瞬でも幸せは感じられることを改めて感じた 心が落ち着くメニューやフレーズ、 各話のつながりも素敵 本作の舞台は、店主のそろりさんが営業している「喫茶ドードー」 そこにやってくるのは、目まぐるしく変化する今の時代に対して疲れた人