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シャイラ先生の「五禅支を育てる」コース7:出離(離欲) その4 講義

(●はシャイラ先生お話や文献のメモ、*は私のコメントです)
*今回は講義のうち一つを読んで、要点をまとめていきます。

手放す事で前に進むーー五禅支についての最終講義

●今回の講義では五禅支について結論的な事を述べたい。
●まずは復習。五禅支は、瞑想修行のプロセスにおいて、マインドフルネスが持続する事によって育つ。サマタ系の修行だけでなく、ヴィパッサナーの修行でも五禅支は出てくる。
●喜びや安らぎは、期待や要求から生まれるのではなく、マインドフルネスの持続を発展させることで、喜びや安らぎが発生する余地をつくるのである。
●五禅支は、気ぞらしが少ない、またはない時に育つ。だから五禅支を育てるためには、五蓋を減らさなければならない。
●五禅支がどう機能しているか知ることは、正しい集中の育成につながる。瞑想指導においては、①とにかく瞑想対象(呼吸)に集中するように指導する場合と、②瞑想対象の背後にある喜びに注意を向けさせる場合がある。私は中間的な方法をとる。つまり中心となるのは瞑想対象(呼吸)に注意を向ける事だが、その周りにあるもの、集中を支えるものがどう機能しているかも感じ取っていく。
●没入absorptionを可能にするためには、瞑想対象は固定されたメンタルな対象fixed mental objectである必要がある。体の感覚のような変化する知覚の観察では、瞬間定(カニカ・サマディ)が起こることはあるが、没入は起こらない。
●サマーディを深めるには、瞑想対象以外にも注意を払う必要がある。なぜなら、マインドに何が起こるかについてマインドフルであり、努力を調整する必要があるからだ。昏沈睡眠が出たら、エネルギーをブーストする。気ぞらしが出たら、注意を呼び戻す。これまで学んできた、マインドフルネスや洞察の実践を活用する事ができる。
●パオ・セヤドーは、まずは禅定を育て、その集中力を用いてヴィパッサナーを行う事を推奨している。先にヴィパッサナーをやってある程度まで進んでしまうと、禅定の確立が困難になることがある。というのも、瞑想対象に無常の特徴をみてしまうからだ。
●私は呼吸に注意をとどめるようにと指導するけれども、実際のところ呼吸とは知覚perceptionである。知覚としての呼吸は固定的でなく、永続せず、安定していない。だから、呼吸に無常を知覚しないように、特定の仕方で気づきawarenessをシフトする必要がある。
●瞑想において五禅支について探求する時は、禅支と状態statesの違いを覚えておいてください。五禅支が存在する事と禅定の没入状態を混同する人がいますが、これは間違いです。没入状態でなくても、五禅支は存在します。
●サマーディと洞察が絡み合っていることを理解する事も重要です。両者は手を取り合って成長するので、集中を育てている時は、マインドフルでもあります。何が起こっているかの理解があり、智慧が存在します。
●パーリ経典には出てこないが解説書に出てくるものとして、近行定(ウパチャーラ・サマーディ、access concentration)というものがあります。没入のための準備が整ったマインドの質とされます。五蓋がなく五禅支が存在する強い集中状態を近行定と呼ぶ傾向があります。
●一部の修行者は、気ぞらしと五蓋がないので没入状態に入ったと思うことがあります。しかし没入状態には感覚プロセスからの撤退も含まれており、知覚の変容状態(an altered state of perception)でもあります。これは近行定とは異なります。
●第一禅定では五禅支がすべて揃っていますが、第二、第三とすすむにつれ一部の禅支を手放していきます。五禅支のスキルと熟練を育てることは、集中の実践の重要な一部だと、私は考えています。私たちは第一には不善の状態を捨て、次に善い五禅支を育て、その後で、育てた禅支を手放していきます。
●このように集中を育てる実践は、継続的な手放しのプロセスなのです。五禅支に執着したり、五禅支を私だ、私のものだと考えたりはしません。そのように手放しを繰り返すことで、心は柔軟になり、集中が育ち、洞察の仕事に適した状態となるのです。

*五蓋が減る→五禅支が育つ→五禅支を放棄する、という修練プロセスの順番があるみたいです。気づきが持続し、五蓋が減ると、五禅支は自然に育つ。育った五禅支に執着せず、修行の過程で手放していかねばならない。
*サマタ瞑想で呼吸をみるとき、変容する知覚をみるのではなく、持続するものとしてみる必要があると。コースの前半でも同様の指摘がありましたが、やはりこの点はテクニカルな、難しいポイントではあります。
*サマタ瞑想においてもマインドフルネスや洞察は重要な役割を果たす事も、実践の中でときどき確認したほうがよさそうです。

*このモジュールでは講義があと2つありますが、一つはスキップして、もう一つは聞いてみたいと思う。コースも残りあと少しです。

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