将棋しか勝たん

正月休みが明ける最後の晩でしたか、この後映画見ます、といった書き終わりで日記を閉じた記憶があります。が。実際には見ていません。abemaの将棋チャンネル、それとNHK正月特番の将棋バラエティを2本、結局それらばかりを時間があれば見ています。私自身はアプリでしか対局しませんので、圧倒的に見る将です。またNumberの将棋特集号は常に携帯し、待ち時間などに読んでいます。暇つぶしならば、将棋が一番楽しい。間違いありません。

詰め将棋は苦手です。目の前に盤があって、駒を動かしながら考えるのであれば多少の面白みを味わえますが、あれを暗算でやるのは無理。であるから、やはり見る将なのです。対局が面白いし棋士のひとりひとりが興味深く、憧れを抱くくらいに好きです。

将棋の棋譜というものが、時々トランスクライブされたジャズ・インプロヴィゼイションに似ていると思うことがあります。将棋は勝ってなんぼ、ですが、ただ勝てば良い物でもありません。棋譜には著作権があり、美しい棋譜、芸術的な棋譜といった呼ばれ方が存在します。それを名勝負と呼びますが、ジャズの名演もそのようなものではないでしょうか。

コードを縫って旋律は紡がれますが、それは音の使い方が正しければ良いというものではありません。ドレミファソラシがコードに合っているという場所で、ドレミファ・レミファソなどと弾いているようでは全く駄目なのです。いかに、その瞬間に唯一無二なる音の構造物を提示できるか、そこには美的な観点から優劣が決します。という後戻りできない勝負を、常に気配と対峙して先を読みながら繰り広げているジャズの本質、またその鑑賞の醍醐味と似たものを将棋の長い長い決戦の時間にも伺うことができ、興奮しながら感嘆しまくっている、というわけです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?