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アチャール(ピックル)に使用するスパイスの科学的特徴とその意義

こんにちは、アートオブピックルのNeko-chanです。インドの伝統的な保存食「アチャール(ピックル)」は、スパイスの力によってその風味と保存性が形作られています。これらのスパイスは単なる調味料ではなく、抗菌作用や抗酸化作用を持つ天然の保存料としての役割を果たすとともに、酸化しやすい油を安定化させる重要な役割も担っています。本記事では、アチャール(ピックル)で使用される代表的なスパイスの科学的特徴とその意義を深掘りします。



スパイスが果たす酸化防止効果

アチャール(ピックル)に使用されるスパイスは、食品全体の保存性を高めるだけでなく、油の酸化を抑える効果もあります。油は空気や光に触れることで酸化しやすくなりますが、スパイスに含まれる抗酸化物質(フェノール類やフラボノイドなど)がこれを防ぎます。例えば、ターメリックマスタードシードには酸化防止作用があり、アチャール(ピックル)に使用される油(マスタードオイル、ゴマ油など)の品質を保つのに役立ちます。さらに、酢やレモン果汁のような酸性成分もアチャール(ピックル)に加えられることが多く、pHを低下させて微生物の増殖を抑える働きをします。この酸性環境は、スパイスと組み合わさることで保存性をさらに高め、長期間の保存が可能な食品としてアチャール(ピックル)を完成させています。

アチャール(ピックル)の保存性を高める方定式=
(油による空気遮断)+(スパイスによる抗菌・抗酸化作用)+(酢によるPH低下)

アートオブピックルの解釈



代表的なスパイスの科学的特徴と意義

フェヌグリーク(メティ)

フェヌグリークには、サポニンやフラボノイドなどの抗酸化物質が含まれており、食品の酸化を抑制します。また、抗菌作用も報告されています。独特の風味を加え、抗酸化作用により保存期間の延長に寄与します。

マスタードシード

マスタードシードには、シニグリンというグルコシノレートが含まれており、酵素ミロシナーゼの作用で分解され、アリルイソチオシアネートを生成します。この化合物は強い抗菌作用と抗酸化作用を持ち、食品の保存性を高めます。特有の辛味と風味を付与し、抗菌・抗酸化作用により保存性を向上させます。

ターメリック(ウコン)

ターメリックの主要な活性成分であるクルクミンは、強力な抗酸化作用を持ち、食品の酸化を防止します。また、抗菌作用も報告されており、食品の保存性向上に寄与します。

ヒング(アサフェティダ)

ヒングは硫黄化合物を多く含み、雑菌の繁殖を抑える働きがあります。ただし樹脂であり、粉状の製品は小麦粉を含みます。より保存性を高める目的で原型のヒングを利用したり、煙を活用する伝統的な方法でその効果を引き出くこともできます。

クミン

クミンに含まれる主要な活性成分は精油(エッセンシャルオイル)成分であり、その代表がクミナールデヒド(Cuminaldehyde)です。クミナールデヒドは、抗菌作用および抗酸化作用を持つことが研究によって示されています。



まとめ

(大事なのでもう一度方程式を)
アチャール(ピックル)の保存性を高める方定式=
(油による空気遮断)+(スパイスによる抗菌・抗酸化作用)+(酢によるPH低下)

日本でアチャール(ピックル)と呼ばれているけどこの方程式になっていないアチャール(ピックル)っぽい食べものがあります。おかげでスパイス炒め物との違いがわからなくなったりします。そんなときは何日ぐらいもちますか?と聞いてください。

アートオブピックル食品衛生検査結果

アートオブピックルで販売している「豚肉スパイス酢漬け」の調理から3ヶ月間常温で保存したあとの検査結果です。伝統的な作り方による効果で一般生菌は検出閾値以下です。豚肉という動物性食品でも伝統的な方法で保存性を高めていることが証明できています。(インドでは同じ作り方で常温で3年もつと教わりましたが、念のために消費期限は3ヶ月にしています。)

食品衛生検査結果
食品衛生検査結果(詳細)

アートオブピックルについて

アートオブピックルでは、この伝統的な技術を生かしたアチャール(ピックル)をオンラインで提供しています。スパイスの力を実感する一品を、ぜひお試しください!


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