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それでも僕は「手」を撮りたい。

東京で緊急事態宣言が出てから1ヶ月ちょっと。

minneでは1月末から基本的に在宅ワークになったため、実際には4ヶ月近く、ほとんどの仕事を家の中でこなすようになりました。

ありがたいことに僕が撮影を担当しているwebメディア「minneとものづくりと」は、変わらずたくさんの方に読んでいただけています。嬉しい…。

先日もリモートワークで制作した記事に関して、プレスリリースを出させていただきました。

しかし、リモートワークということは完全に家のみで撮影するわけですから、撮れるものは基本的に「モノ」に限られてくる。
しかもずっと一人で撮影するわけですね。

家に届いた作品を開封し、どのように撮影しようか考えながら、ただひたすら無言で撮影する。
僕は独り言なんてほとんど言わないので、本当にシーンとした状況の中、カメラのシャッター音だけが響きます。

これまでオフィスで行ってきた撮影であれば、ライターさんも一緒に立ち会うことが多いため、作品を見ては「かわいいねぇ」「素敵だねぇ」「これどうやって使うの?」「向きはこっちかね」「もう少し左に移動して!違う!それ右!!!!」なんて、喋りながら撮ることが多いんですね。

でも今はそれができないので、「かわいいぃぃ!!」「これはこっちの向きだな。」「もっと左に寄せるかね?」と一人、心の中で話すしかないのです。共感ができない苦しさと寂しさがツライ…。

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そして何より「人」を全く撮れなくなってしまいました。
これまで色々な作家さんや職人さん、著名人の方など、たくさんの人を撮影させていただきました。

僕は人を撮るのが大好きなのですが、それがなくなってしまったのです。

そして人の中でも僕がこれまでたくさん撮ってきたのが「手」なんですね。

それもそのはず。
「minne」はハンドメイドのマーケットプレイス。
そして「minneとものづくりと」は、ものづくりの価値を届けるメディアです。

全て、手から生み出されるものが関係してきます。
そうすると必然的に「手」を撮ることが多くなるのです。

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作家さんや職人さんの作品を制作する過程、そして作品が生み出される瞬間。

その魔法をかける手の動きに、何度も感動してきました。

「手」を撮ることができるって本当に幸せです。

しかし今はそれが全くといっていいほど、撮影できないのです…。

そしてよくよく考えたら、僕が撮影してきた手は「作る人の手」だけではありません。

モノを撮る際にも必ずといっていいほど「手」を撮ってきました。

オフィスでモノを撮るときはライターさんに「これ持ってください」「ちょっと手、添えてみてくだい」「この指輪、つけてみましょうか」といって、必ず一枚は記事の中に「手」が入るようにしてきました。

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「手」って本当にすごいんです。

写真の中にちょっと入るだけで一気に「人間味」が生まれ、作品(モノ)を身近に感じることができるんですね。

逆に手がないと、作品は際立つけれど、なんだか寂しい印象になることも多いんです。

今は三脚にカメラを立て、なんとか自分の手を写り込ませることしかできません。
しかしこれがなんとも不恰好な手のこと…。

手にも表情があるんですね。初めて知りました。(僕の手はびっくりするほどおブスだったので、毎日必死にハンドクリームを擦り込んでます。

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だから僕は今、無性に「手」が撮りたい。もっと言えば「人」が撮りたい。

変化していくものはたくさんあるけれど、変化できない大事なモノもありそうです。
ものづくりの価値を届けるメディア「minneとものづくりと」には「人」と「手」が必要です。

また早く、たくさんの人を撮れるようになることを祈りながら、僕は今日もひとり、黙々と家の中で撮影を続けます。

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