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嫌いな食べものとの付き合い方

これまで、食事や補食など、栄養素をそれぞれ確保するための基本型をお伝えしました。
ただ、なんでも好き嫌いなく食べられれば良いですが、そうでない人もいるかもしれません。
今回は、アレルギー等ではなく、単純に嫌いな食べものがある場合の付き合い方についてお伝えしたいと思います。

前回までの基本の食事を思い出してください。やはり運動する選手は、身体の働きやパフォーマンス向上を狙うためのトレーニングを日々積んでいて、様々な栄養素をまんべんなく摂ることが求められます。
しかし、どうしても食べられないもの、保護者であれば食べてほしいのにお子様がなかなか食べてくれないといったこともあったりしますよね。
まず、その状況から見つめなおしてみませんか。

人間の行動変容ステージモデルには、下記の段階があります。

無関心期⇒関心期⇒準備期⇒実行期⇒維持期

これは、禁煙を勧めるために用いられるステージモデルですが、これを食事にも活用してみましょう。
好き嫌いがある方は、今どの段階にいますか?

無関心期
好き嫌いがあることに何も感じていない状態です。まずは好き嫌いがあることに対するデメリットを考えてみましょう。
好き嫌いとひとことに言っても何が嫌いかといったものによってそのデメリットも様々です。まったく不調がない、ということならば無理にとは言いませんが、ここではいくつか例をあげてみます。
その1:野菜嫌いの場合・・・不足しやすい栄養素(ビタミン・ミネラル・食物繊維など)⇒それぞれのビタミンやミネラル不足によっては、けがや身体の回復能力の低下に。
その2:魚嫌い⇒不足しやすい栄養素(たんぱく質、良質の脂質やビタミンD)⇒身体づくりやけがに影響。また、脳の働きや血液循環などに影響。

アスリートにとっての大敵は、“けが”ではないでしょうか。実は栄養素の過不足によってこのけがを引き起こす可能性が高くなってしまうのです。日々のトレーニングを効率よく行うためにも、栄養素の過不足があってはいけません。アスリートは食事もトレーニングの一つです。トレーニングも好きなものだけを実施していても、パフォーマンス向上は狙えません。同様に、好きなものだけを食べていても、身体は作られないのです。パフォーマンスに向けた日々のトレーニング効率をあげるためにも、けがをしない身体を作るためにも、嫌いなものも時には食べる必要があるのです。


◆関心期
少しは、好き嫌いがあることに対してのデメリットは理解出来ましたか?デメリットをなくすためには、取り組みが重要です。少しはやってみようかなと思った方は、関心期に突入です。
ここでは、どのようにしたら好き嫌いがなくせるようになるのかを考えてみましょう。

嫌いな食べ物は何でしょうか。まず、何が食べられないか、嫌いな食べ物を思い出し、どうして食べられないのかを考えてみましょう。
例として挙げられるのが、味が嫌い、食感が嫌い、においが嫌い、わからないけど嫌い。。。

例えば味が嫌いと言われる代表格、野菜嫌いの方については、その調理方法などを検討するだけでも、もしかしたら食べられるようになるかもしれません。
その1:下処理
野菜の場合、水に10分程度さらすことで、青臭さなどが抜けたり、下茹ですることで味の主張が弱くなるものがあります。こうした方法を利用することで、野菜独特の苦手と思われる部分が減らすことができます。
その他、みじん切りなどの細かくしたものやすりおろすこともおすすめです。
その2:カレーやハンバーグなどの、味が濃く好きなものに混ぜたり、ドレッシングなどにしてわからないようにする。
まだ、この段階では実際のトライは結構です。何が嫌で、そのためにどんな方法が検討できるかを考えてみましょう。


◆準備期
まずは、どの方法だったら、食べられそうかイメージができたら、準備期へステップアップです。
ここでは、周りで似たような人がいた場合に、どのような方法で克服できたか確認することもよいでしょう。
また、いつ始めるかといったところが重要なポイントです。
ある程度イメージを作った後に、いつだったら試してみることができるのか考えてみましょう。

その1:まず一つ、何を食べ始めるか、検討する。
その2:試合期などの重要なタイミングではなく、始められそうなタイミングを考える。また、本来はあまりあってほしくないですが、けがなどの不調が起きたタイミングで実行する。など。

この場合、食べようという努力や意識はありますので、一度に大量に食べようとしないことが重要です。
たった少しでも食べられることができれば、それはそれで克服の一歩ですので、焦らず、少しずつトライしてみましょう。


◆実行期
実際に行動に移し始めたものの、まだ導入初期段階をこの実行期とあらわします。
この段階では、今日は頑張ろうと思う日と、今日はやめておこうといった日があることも事実です。
焦らずに、少しずつで構いません。実行できるときを少しずつ増やしたり、上記記載の対策をそれぞれ試しながら、それぞれ対策レパートリーを増やしつつ、食べられたものと食べられなかったものを選別し、食べられる方法を様々テストしていきましょう。たとえ少量だとしても、食べられた、という事実を作ることが重要です。
また、この時は、食べられることによるメリットをたくさん見出していくこともポイントです。
そういえば最近不調がなくなったような気がする、、、こんなことでも構いません。栄養素の過不足がなくなることは体調面にとって良い効果が表れるはずだと信じて、自分なりの食べられる方法を増やして行きましょう。


◆維持期
嫌いな食べ物にチャレンジし、6か月以上経過した状態をこの維持期といいます。
約半年間、嫌いなものにチャレンジが継続できていれば、これはもうすでに克服してきたといっても良いでしょう。1年間以上嫌いなものを食べることが習慣づいていれば、その頃にはきっと嫌いだったはずの食べ物がなんとも思わず食べられるようになることでしょう。

しかし、食事の効果というものは実際にはそうすぐに表れることではないのも事実です。ですから、継続することがとても重要な意味を持ち、継続することで初めてようやく気付けることもあるのです。
1年継続してみて、そういえば今年はけがをしないで1年間過ごせたな、とか、体調不良になる日があまりなかったな、といったことが感じられたらベストです。
嫌いだったはずのものが、今では継続して食べられている。大きな成長です。これは、一つのウィークポイントが克服できたのだと自信にもしてもらいたい部分です。


いかがでしたか。
アスリートは食べることもトレーニングの一つです。少しずつ、変化をつけながら、トレーニング同様、食事でも確実にステップアップしていきましょう。


と、ここまで書きました斉藤は、実は生クリームが嫌い。生クリームを食べる必要性を感じていないので、無関心期、ですね笑。よく言われる”人生を損している”以外のデメリットは見つからないので、たぶん今後も必要性は感じないかもしれません。最後までお読みいただきありがとうございました!

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