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#26~2023年の株式市場見通し~

おはようございます。スラムダンクの映画特典が全てぶっ刺さってくるので先日4回目を見に行ったすなっちゃんです。

今回お話しするテーマは「2023年米国株市場の見通し」です。

新年一発目の記事ということでやはり最初は2023年がどんな相場になりそうか前年を振り返りながら予想していきたいと思います。

かなり調べ上げましたので少し長いかもしれませんが最後まで読んでいただけると幸いです。なるべく簡潔に説明していきます。

それではいきましょう。



2022年は、簡単にまとめると金融政策がどれほど株式市場に影響を与えるのかが明確になり、市場がどれほど低金利と十分な流動性に依存していたかがわかった年でした。
2022年の金融引き締め政策が米国市場の歴史の中でも最悪レベルの相場を引き起こし、見事に散っていった投資家も少なくありませんでした。

月額1200億ドルの債券買い入れを初めて2年が経ち、連邦準備銀行(FRB)はFFレートを2022年3月から年末までに4.25%引き上げました。これは1980-1981の金利引き上げのペース以来最速となります。

下のチャートは、FFレートの数値の変化を前年比で表したものになります。


そして金融引き締め政策に反応するように、住宅ローン金利が歴史上はじめて前年比で2倍まで上昇しました。それに伴い、住宅ローンの申し込み数とローンの組み換えをする人の数が歴史的に低い水準まで落ち、中古住宅販売も一年で急激に下落しました。

米20年債券利回りは米国株の平均を下回り、最終的には-32.8%の下落でした。株式と債券を6:4の割合でポートフォリオを組んでいる投資家は年間で-18.3%となり、これは歴史上3番目に悪い結果になります。

消費者信頼感指数も急落し、2020年のパンデミック以来の水準まで下落しました。

住宅建設業者信頼感指数も歴史的な下落を見せ、企業活動も落ち込んでいきました。

アメリカの家計純資産とGDPの割合も2008-2009の時よりも速い速度で低下していきました。

アップル、アマゾン、グーグル、マイクロソフト、フェイスブック、テスラも合計時価総額は2022年で約4兆7000億ドル減少しました。

全米国株の実績PER(直近の決算における純利益の実績値をもとに計算されたPBR)も歴史的な速度で下落しました。

仮想通貨市場も2022年には1兆4000億ドル減少しました。これは2021年11月ピークから2兆2500億ドルの下落になります。

このように、2022年は全体的に最悪な年だったといえるでしょう。

特になにが最悪だったかというと、これほどまでになることを誰も予想できていなかったことです。

2021年12月時点では、市場は2022年の後半からFRBが利上げ(0.75%)を2,3回行うだろうと予想していました。しかし現実は2022年3月から行われ4.25%の利上げとなりました。99%の投資家がしていた予想よりはるかに速い速度と大きい利上げが行われたのです。

私は2022年に入るとき、FEDは金融刺激策から金融引き締め策に緩やかに移行していくだろうと予想していました。どれだけ小さな金融引き締め政策でも資産価格に大きな悪影響を与えるということはわかっていたので、2022年の株式市場は少し悲観的に考えながら、平均より低いリターンになるだろうと思っていました。
そして2022年の投資のカギとなるのはインフレと金融政策への市場の反応になると考えていたのですが、2022年が終わり、この見通しは非常に甘かったということがわかりました。

この結果を踏まえて、私は2023年の株式市場は2022年の金融引き締め政策の影響により去年と同様予期しない結果を残すのではないかと思っています。



FRBが行う政策のルールブックは非常にシンプルで、2つあります。

1. 成長率とインフレを抑えるために、金利を引き上げ金融引き締めを行う

2.成長率とインフレを促進させるために、金利を引き下げ、金融緩和を行う

そして歴史的に見ると、FRBはどちらの政策をとっても長い期間やりすぎて結果的に失敗してしまうことが多いのです。

2021年10月、私はFEDが行う金融引き締め政策が景気拡大を弱めてしまうのではないかと考えていました(メモ引用)。そして2022年前半では2期連続で実質GDP成長率がマイナスになり、高インフレ、地政学的リスク、金融引き締め政策の始まりも相まって金融市場はカオス状態でした。
それから2022年9月、私はFEDが金融引き締め政策をやりすぎているのではないか、政策を失敗したのではないかと少し不安でした(メモ引用)。そしてそのあと連邦公開市場委員会はFFレートを2%引き上げると発表しました。

つまり短くいうと、FEDのゴールがまだ見えていないおかげで私が経済とFEDに抱く不安感はまだ拭いきれていない、ということです。

 このは二つ意味があって、一つは私の不安感が間違っている場合に対しての不安感と、もうひとつはまだ金融政策の結果が不透明なことへの不安感です。

上で挙げた高インフレ、金融引き締め政策、そして投資家の不安感を煽る多くの経済指標から、私は2023年のS&P500は平均以下のリターンになり、パフォーマンスが基準より下回るのではないかと予想します。

私は基本的には楽観的に市場をみたい派なのであまりこういう予想はしたくないのですが、数々のマクロ経済の影響や市場に関連する要因は無視できません。この要因については下で詳しく説明します。

2021年に入るとき、私は米国株に対して非常に強気で平均以上のパフォーマンスを残す年になるだろうと予想していました。これはアメリカの金利がゼロに近い水準でキープしており、今後もそうであると思っていたからです。
S&P500は、ちょうどいい金融刺激策の最中では大きなリターンを生んでおり、年間で+26.9%という結果を残しました。ボラティリティはほとんどなくなり、市場も全体的に上昇し経済が動き始めてからは消費者信頼感も上昇し中央銀行が誘導した市場流動性も十分でした。
しかし楽観視していた2021年は2022年には危険信号に変わり、投資家は一気に保守的になりました。

FRBが緩やかに成長速度を低下させるソフトランディングに成功する可能性ももちろんあります。リターンが予想していたよりもっと大きくなるかもしれません。しかしだからといって過度な金融引き締め政策のリスクを無視することは現状を考えるとお勧めしません。



さて、ここからは私が注目するチャートを使って2023年の見通しをより詳しく説明していきたいと思います。

私が考える金融政策と資産と米国株の関係については2022年の記事のどこかでも説明した記憶がありますが2023年にももう一度説明します。ざっくり分けると3つあり、それは以下の通りです。

  • 1.金融刺激策の期間は米国株とドル建て資産が基準以上のパフォーマンスを残す。そしてこの期間は金利が下がり、FEDのバランスシートは拡大し、M2が上昇する。

  • 2.FRBが資産買い入れを減少させた場合、金融引き締め政策への移行が始まったとされ、注意が必要になる。この期間を判断するにはデリバティブと資産買い入れがどれほど減少したかと金融政策を計ることが必要。

  • 3.金融引き締め対策の期間は米国株とドル建て資産が基準以下のパフォーマンスを残す。この期間は金利が上がり、FEDのバランスシートが縮小し、M2が下がる。

米国株市場は、2023年の大半は3番目に当てはまる年になると思います。

過去最悪レベルの利上げサイクルはもう終わった可能性が高いにしても、2023年に大事なのはFEDのバランスシートです。実はバランスシートの縮小は2022年から始まっており、4月の8兆9650億ドルをピークに縮小し、12月25日時点では8兆5510億ドルと4.5%縮小しました。この数字だけ見ると小さいように思いますが、この下落幅が市場を理解するのに非常に大事なのです。

これらがなぜFEDのバランスシートに注目しなければいけないかを表した2つのチャートです。

FRBが保有する合計資産vs S&P500

白=FEDのバランスシート 青=S&P500

FEDが債券や不動産担保証券などの資産を買う公開市場操作を行うとき、金融システムに高い流動性が発生します。そして他の全ての条件が同じだった場合、流動性は資産価格と相関関係を持つのです。つまり流動性が高いと資産価格は上昇し、反対に流動性が低いと資産価格は下落します。

合計準備金vsハイリスク銘柄(SPHB)vs低ボラティリティ銘柄(SPLV)


赤=合計準備金 青=SPHB/SPLV

準備金とはアメリカで「市中銀行」がFRBに無利息で預け入れる資金のことです。

FEDが債券や不動産担保証券を買い公開市場操作を行うとき、FEDは売り手(銀行)に準備金で支払います。つまり、準備金の増減が金融刺激策と市場流動性と関係性を持ち、資産価格に影響を与えます。A=B、B=Cだった場合A=Cになるということです。細かく言うと、準備金とハイリスク銘柄とローリスク(低ボラティリティ銘柄)がそれぞれ相関関係にあるということになります。

  • 準備金が上昇すれば、ハイリスク資産が基準以上のパフォーマンスを残す(SPHB/SPLV↑)

  • 準備金が減少すれば、ローリスク資産が基準以上のパフォーマンスを残す(SPHB/SPLV↓)

つまりどちらのチャートも、市場流動性は資産のリターンとリスク管理に影響するということに注目したチャートということです。

金融政策の引き締めを行い市場流動性を減少させ経済活動を抑制しインフレを抑えようとする限り、FEDのバランスシートの縮小は2023年も続くと思います。


FRBの利上げはまだ議題として残っており、インフレがFEDのターゲットである2%を維持しない限りは金利は高いままでしょう。

2022年12月、伝説の投資家であるハワード・スタンリー・マークスはこう発言しています。

FEDはFFレートを調整し、実質FFレート(real federal funds rate)を2023内にはプラス圏に誘導させないといけない。実質FFレートは今-2.2%でまだまだプラス圏までには程遠くやらなければいけないことがたくさんある。実質FFレートをプラスにするためにはFFレートを上昇させるか、インフレを抑制するか、もしくは両方が必要なのである。

実質FFレートとは、実効FFレートから過去12カ月間のコアCPIの変化率を引いたものです。

下の画像はFFレート(赤)、CPI(茶)、実質FFレート(青)をグラフ化したチャートになります。

たとえ利上げのペースを減速させようとも、実質金利が高いままだったら金融市場は引き締められ市場流動性も低くなります。高いままであればあるほど、市場流動性も低いままとなるのです。そしてさらに長期間高い実質金利とFEDのバランスシート縮小のダブルコンボは金融システムと経済に大きなプレッシャーを与えることになります。

もし仮に私の予想が完全に外れていてFEDが一度も利上げをせずにバランスシートも拡大したとしても、今の経済状況を理解して、なぜそのような政策をとったのかを考えることは非常に大事です。
歴史的に考えると、FRBが金融刺激策をとるしかなくなった原因となったのは3つあります。一つは景気後退、2つ目は金融危機、3つ目はインフレ不足です。

2000年12月にFEDが金利を引き下げた時はドットコムバブルの崩壊による経済影響と景気後退を抑制するためでした。
2007年に金利を引き下げた時は、サブプライム住宅ローン危機と金融危機を抑制するためでした。
2018年12月にFEDが金利の引き上げを中断したのはインフレ不足への対策と金融引き締め政策を正当化するためでした。
2019年半ばにFEDが利下げを発表したのは現先市場への不安感と短期貸出市場の崩壊からでした。
2020年2月にFEDが利下げを行ったときは、世界的なパンデミックによる景気後退への対策としてアメリカ経済を活発化させようとしたからでした。

インフレが過去数十年の中でも高い位置にある今、インフレ不足を正当化するのは無理があるでしょう。つまり、FRBが金融刺激策をとるためには景気後退か金融危機が起きる必要があります。どちらになっても株式市場にとっては短期的に弱気相場になること間違いなしなのですが、これが2023年に起きるリスクは十分にあります。

私の基本的な予想は、FEDがあと2-3回利上げ(+0.25%ー+1.25%)を行い、バランスシートが縮小していく、です。もしこのシナリオになれば利上げとバランスシートが原因となり市場は弱気相場になり得るでしょう。反対にFEDが景気後退や金融危機に対抗するように利下げを行ったとしても、弱気相場と高いボラティリティは避けられないでしょう。どちらになろうとも、2023年を楽観視するのは少し難しいかなと思います。


マクロ経済の影響について

金融政策について考えることも非常に大事ですが、マクロ経済のインジケーターにも注意が必要です。

全米産業審議会という機関をご存じでしょうか?この機関は米国の民間経済調査機関の一つで米国および世界の経済動向分析、予測などを行います。そしてこの機関は景気先行指数(LEI)というものは毎月発表しているのですが、最新に発表された2022年11月までを表す景気先行指数ではアメリカ経済の弱さと悪化具合がより強調されていました。さらにこの指数はGDP成長率を予測するのにとても有効なツールとして使われてきています。そしてその景気先行指数の最新のグラフでは、GDPの成長率(前年比)はこれから減速しマイナスになっていくことを示しているのです。


それが、下のグラフです。


青=景気先行指数変化率(前年比) 灰色=実質GDP変化率(前年比)

 今まで景気先行指数が前年比で-2.5%以下まで落ちた時は、そのすぐ後に景気後退が起きています。そして今は-4.5%です。つまりこの指数をみると、景気後退がもうすぐ起きる可能性が高いことがわかります。

景気先行指数の変化を6カ月ごとに表したグラフも景気後退のシグナルを出しています。今まで景気後退に入るかも?の要注意シグナルの時はダマシで指数が上昇する場合もあったのですが、完全に景気後退シグナルが出ているときは間違いなく景気後退が起こっています。

それがわかるのが下のグラフです。


青=米景気後退指数(6か月ごとの成長率))黒=景気後退要注意シグナル 赤=景気後退シグナル


さて、次はシカゴの製造業購買担当者景気指数(PMI)と製造業以外の購買担当者景気指数を見てみましょう。

この指数は、50以上だとシカゴのビジネス活動は拡大していて、50以下だと縮小しているということがわかるグラフです。11月の結果は37.2で、アナリスト予想は47でした。1960年代に遡ると、アメリカ経済が景気後退になる瀬戸際だったときはシカゴの購買担当者景気指数は40以下まで落ち込んでいました。

そしてさらに米フィラデルフィア連邦準備銀行が発表したThe coincident Index(各州の経済状況がわかる指標)では、たくさんの州の成長率がマイナスになっていることを示していました。

真ん中の点線が平均線


さらに付け加えると、2022年の後半は長短金利の逆転(長期金利が短期金利を下回る現象)について議論がとても盛り上がっていました。景気後退を表す先行指標的な役割を担っているからです。
私が注目していたのは米10年債と3カ月債です。なぜならこの二つの比較は長短金利の逆転分析の生みの親のような存在であるキャンベル・ハーベイが行っていた分析方法だからです。歴史的に見ると、10年債と3カ月債の逆転現象は景気後退が始まる6-18か月前に発生しており、今まで8回景気後退が起こった時には全てこの逆転現象は発生しています。

10年債と3カ月債の逆転は10月後半に2週連続で起こっており、投資家に景気後退への不安感を煽りました。

下のチャートは10年債/3カ月債の逆転が2週連続で起こった時の株式市場の反応を表したチャートです。


このチャートを見ると、逆転が起こった時は株式市場に悪影響を与えていることがわかります。下の表はこの逆転現象が起こった時一体どれほど下がったのかがわかる表になります。


以上のように、FEDのゴールであるインフレ抑制からは正反対の位置に今いることがわかります。

そして私がもう一つ注目しているのは2年債と実効FFレートの逆転です。この逆転現象はFEDが0.5%利上げしたとき、つまり12月中旬に起こっており、それ以降は逆転は発生していません。
歴史的に考えるとこの二つの逆転現象は10年債と3カ月債の逆転現象より精度は低いですが、それでも非常に重要な指標となり得ます。このシグナルが発生してから12カ月以内には30%の確率で景気後退が起きており、18か月以内には60%の確率で起こっています。つまりこのシグナルが発生したのが2022年12月なので、2023年12月以内に景気後退が起こる確率は30%ということになります。

さて、最後に紹介する私が注目しているマクロ経済の指標は、労働市場です。2022年のアメリカ経済に最も影響した市場の一つですね。

そしてその労働市場で一番見なければいけないのは離職率です。

2022年1月時点では離職率は+4.0%でした。しかし3-6月には3.6%まで落ち込み、7月には3.5%まで下落しました。それからは特に音沙汰はないですが、2022年11月には少し上昇し3.7%になっています。

この数字は非常に大事で、FRBが労働市場を緩和させようとしていることがよくわかります。
FEDがモデルにしているケインズ主義政策から考えると、インフレと国の成長率は良い相関関係を持っていると考えられます。なぜなら成長率の上昇は総需要の上昇によるものだからです。つまり、中等度のインフレは総需要が上昇することにつながるのでFEDにとってはウェルカムなのです。そして総需要を上昇させる(=インフレを上昇させる)のと経済活動を促進させるために、FEDは雇用の最大化(整合的な失業率)を目的に動くようになります。総需要は労働市場の総所得から影響を受けることを考えると、総所得はインフレと良い相関関係を持っていることがわかります。つまり、FRBがインフレ圧力を和らげようとするときは離職率を上昇させ総所得を減少させようとする、ということです。

FRBは2022年、経済圧力に対し回復傾向にあった労働市場とずっと戦っていた印象でした。2022年の離職率は歴史的に見ても低い水準で、10月末時点で1030万件の求人募集があったり、平均時給が11月は前年比で+5.1%(14ヶ月連続で+4.9%以上)と所得も上昇していました。

これらのことから、今の米国労働市場は3つの特徴をあげることができます。

  • 離職率が歴史的に低い水準

  • 熟練労働者の需要が非常に高い

  • 所得の成長率が歴史的に高い

この3つの特徴はインフレが引き起こす特徴であり、FEDがインフレを抑えたいという目標とは正反対です。FEDはこの3つに対応するために、労働市場を緩和させるという意思を市場に示しています。そうすることでインフレ圧力を抑えられるからです。


さらに私は離職率の上昇がもたらす経済的影響についても危惧しています。アメリカ経済が縮小するとき、離職率は12カ月移動平均線より上にいく傾向があります。そして今12カ月移動平均線は3.9%です。今離職率は3.7%なので、もし3.9%を上回れば2023年の経済悪化を示すことになってしまいます。そして不幸なことに、FEDの予想では離職率は2023ー2024内に4.6%まで達するといわれています。しかし私の予想では、2023には少なくとも4.3%までは上昇するのではないか、と思っています。

離職率の加速的な上昇に関して言うと、私が注目している指標がもう一つあります。下のチャートは離職率の変化(前年比)とナスダック総合指数(前年比)を比較したものになります。


青=離職率 緑=ナスダック総合指数

このチャートを見ればわかるように、離職率とナスダック総合指数は全く逆の相関関係を持っており、離職率(前年比)が上昇すればナスダック総合指数(前年比)が下落します。

そこで、このチャートから覚えていてほしいことが二つあります。

  • 離職率(前年比)がナスダック総合指数(前年比)を上にクロスしたとき、経済は後退し、ナスダックは下落する。

  • 離職率(前年比)が0%のラインより上にいくと、経済は後退しナスダックは下落する。

これは歴史的に証明されていることであり、おそらく2023年も当てはまるのではないかと思います。

現在、離職率(前年比)は-11.9%(上昇中)で、ナスダック(前年比)は-33.4%です。金融政策の状況と上の指標を踏まえると、2023年の労働市場は悪化し離職率(前年比)はさらに上昇すると思います。
そして歴史的な観点からみると、そのような経済環境では株式市場は良いパフォーマンスを残していません。すでに2022年は株式市場にとって最悪な年ではありましたが、上のデータを見ると2023年も厳しい年になるような予感がします。


結論

FRBは2020年第一四半期から2022年第一四半期にかけて歴史的な金融刺激策を行いました。2021年のインフレ圧力の上昇から、FEDはインフレは一時的であり簡単に制御できると考えていました。そしてインフレ圧力が2022年初頭にも上昇していた時、FEDは量的緩和政策を続け金融を長く刺激しすぎました。そして後になって気づき、FEDは利上げに踏み切り金融引き締め政策に乗り出しました。そして2022年12月、利上げペースにも関わらず、FFレートは中立金利に到達しました。

FEDは金融を必要な分だけ引き締める政策をとるつもりでいることを認めており、これは小幅な利上げが待っていて量的引き締め政策が2023年も続くことを意味しています。しかし、FEDだけがこのような政策をとるわけではありません。欧州中央銀行、イングランド銀行、日本銀行、カナダ銀行、オーストラリア中央銀行なども金融引き締め政策に乗り出しており、市場から流動性を低下させようとしています。

世界の国債利回りが上昇し世界の中央銀行のバランスシートが縮小することから、2023年は資産価格が下落するのではないかと思います。株、債券、不動産、仮想通貨などにとっては難しい年になると予想しますが、あくまで可能性であり私もこの自分の予想を完全に信用しているわけではありません。世界中の中央銀行の努力による米国資産への悪影響も大きくあると思います。さらにFRBの政策から、ドル建ての資産にとって2023年は少し難しい年になるのではないかと思います。

上で挙げたデータやチャートから、FRBによる間違った政策がもう一度起こる可能性も考えられます。しかし私のリサーチした内容や意見が完全に合っているとも言えません。なのでこの記事に反対する意見やデータをお持ちの方がいたらぜひおっしゃってください。私もこの悲観的な見通しを間違っていると証明していただければ嬉しいですし、今後も何か見通しが変わる新しいデータがあれば随時投稿していきます。

しかしそれまでは、私は2023年に対してはあまり期待しないスタンスでいこうかなと思います。

今回はここまでです。長い文章を読んでいただきありがとうございました。












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