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#7一時的な楽観相場の後には大きな下落が待っている(先週の相場を振り返って)

おはようございます。地元の祇園祭の最終日に行われる鉾の解体作業を灼熱の中見ていたらとなりにいたおばさんに「祇園祭の終わりは夏の始まりよ」と言われ一瞬わけがわからなくなったすなっちゃんです。まだ暑くなるつもりですか?

さて、今回のテーマは「一時的な楽観相場の後には大きい下落が来る可能性が高い」です。

私が大事だと思うチャートデータを用いながら説明していきたいと思います。

それではいきましょう。


まず先週の相場を見た感じ私の個人的な感想としては、市場への期待感が煽られて上がってきているなという印象でした。

誰だって自分のポートフォリオから利益を生みたいので市場に対して楽観的な視点を持っていたい気持ちは非常にわかります。

ただ、このような勝手な楽観視はいい結果は生みません。ファンダメンタル要素が悪化している状況では特に、こういった期待感が煽られている市場では後々大幅な下落が起きます。

経済データを見ればFRBが望む景気後退へ一直線に進んでいるのがわかりますし、インフレも止まらない可能性が高いです。果たしてこのような状況でもまだ市場は楽観的でいられるのでしょうか?

これは2022年の3月ごろの話なのですが、ツイッターで見たとある人のつぶやきで、

「FEDは今のこの経済状況で金利を20%引き上げるという選択肢は絶対にできない。ただもしパウエルが3%上げてきたら?さらに1%上げてくるかもしれない。今市場はそんなこと絶対ありえないと思っているだろう。もしそうなれば市場に大きすぎる影響を与えてしまうからね。それこそボルカーの時のように。」

ボルカーとは第12代FRB議長ですね。1970年代後期から80年代前期にアメリカを襲った高インフレと戦った人です。(身長が201㎝もあります。)

当時このツイートはまあ散々に言われていました。「FEDがそんなことできるわけがない。」と。

ただ結果現状では、さらなる0.75%引き上げが行われようとしています。

この現象はボルカー時代と非常に似ているんです。"The Lords Of Easy Money"という本から引用すると、

最初はだれもボルカーが金利を引き上げるなんて思ってもいなかった。まさかそんなことできるわけないだろうってね。結果ボルカーは金利を引き上げ経済を破綻させ、百万人以上の人を失業に追い込み、高インフレを抑えることに成功したんだよ。

前の記事でも言いましたが、この市場の短期的な上げ相場はリスクを軽減させるために利用するべきです。3月の中旬ごろの起きたような価格の動き方をする場合、リスクマネジメントは必須です。

5月下旬から6/2にかけてナスダックは11%上昇し、そこからわずか11営業日で14.5%下落しました。そしてまだ6/2の高値は超えれていません。この短期的な上昇がリスクを軽減するチャンスだったわけですね。

この「短期的な上げ相場をリスクマネジメントに利用する」というのは2022年の重要な戦略の一つです。

発表される経済データにより資産価格(地価、株価、貴金属など)がどんどん悪化していっています。これを見て市場の投資家は、より景気後退に近づいていると期待して舞い上がっている様子です。

なぜなのか?景気後退が起きると資産価格に短期的に好影響を及ぼすのだろうか?

いいえ、違います。一番の理由は、長期投資家が優良株をめちゃくちゃ安く買えるようになるからです。短期投資家が痛い目を見れば見るほど、長期投資家が市場から利益を生む仕組みです。

つまり今は長期投資家にとって夢のような相場状況であり、短期投資家にとってはまだ向かい風が続くことになりそうです。


52週高値から20%以上下がり、本格的に下げ相場に入ったといわれている今、確認するべくFirst Trust Advisors からデータを引っ張ってきました。これは歴史的に下げ相場が起きた時どれほど長く続いたのか、またどれだけ下がったのかを表す表です。

このデータは2019年に発表されたものですが、十分な参考材料になりえると思います。(上と下の英語は無視していただいて大丈夫です。)

このデータを見ると、下げ相場の平均期間は1.4年(17か月)で、下落平均は-41%となります。

つまりこのデータに基づくと今の下げ相場はすでに底に近いということになります。ただ、ここからさらに下落していく可能性もありますし、すでに底を触っている可能性もあります。こればっかりは誰にもわかりません。


ここからはチャートを用いながら説明していきたいと思います。

アルファベットGOOGL vs Invesco QQQ ETF 

2016年5月からの週足

GOOGLはすでに52週高値からー28.9%下落しています。ただ、このテクノロジー業界全体との比較チャートを見てみると、レジサポエリア(白)付近で週足が終わっていることがわかります。このエリアは2016-2019年まで完璧なレジスタンスとして動き、さらに2021年にはサポートとしても2回働いています。今回が三回目、このエリアが大型銘柄にとっての非常に重要なエリアになってきます。

iShares Expanded Tech ETF (IGV) vs QQQ

2021年10月からの日足

先ほどのGOOGL/QQQチャートが大型銘柄vsテクノロジー業界全体を表していたのに対して、このチャートは小型銘柄vsテクノロジー業界全体を表しています。

このファンドは、テクノロジー関連のグロース株を多く持っているので、金利引き上げにより大打撃を食らいました。

このチャートを見ると、2021年の11月ピークからパフォーマンスはかなり悪いです(ピーク時から-36%)。しかしトレンド転換が起きそうな兆しは見えます。緑線を割らずに、白のレジスタンスエリアを抜けることができればですが。安値を切り上げながら上昇できるかが重要になってきます。

Ark Innovation ETF vs IGV (ARKK/IGV)

2020年12月からの日足

この2つの高リスク同士を比較したチャートを見ると、だいぶひどいトレンドをしていることがわかりますが、こちらもトレンド転換の兆しが見えています。

5,6月のダブルボトム以降安値を切り上げながら上昇しています。まだどちらに動くか予想するには早いかもしれませんが、このチャートを見る限り楽観的に見る人が増えてもおかしくはないと思います。ただ反対に一度下がると急速に下落していくので、注意しましょう。

仮想通貨市場総額(BTC除く)VS ビットコイン BTC

最後に紹介するのはビットコインを除いた仮想通貨市場総額vsビットコインの比較チャートです。このチャートは投資家のリスク度を測る上では、一番適しているんじゃないかと私は思います。

すでにビットコインに投資にするのは株式投資よりもはるかにリスクが高いと広く認識されている中で、このチャートは投資家が仮想通貨に対してリスク/リワードの観点でどう見てるかを測ることができます。

このチャートを見ると、驚くことに過去15か月間なんの進展もありません。1.05-1.56を動いているだけです。つまり過去16か月間で莫大な利益を求めてビットコインに投資した人はほとんど利益を得られていないということです。

直近の6週間では急上昇しましたが、このチャートを見るとまだレンジの真ん中でどっちつかずな状況です。

ここから上にいくのか下にいくのか、まだわかりません。ただこのチャートは上で紹介したチャートより早く市場が向かう方向を教えてくれます。

このチャートが下がると、要注意です。



まとめ

今回は「一時的な楽観相場の後には下落相場が待っている」というテーマについてお話させていただきました。

6月中旬ごろからの5,10,30年債利回りの下落を見ていたので、この市場にはそこまで驚きはありません。市場はさらに下落圧力がかかっていくという見通しは変わっていませんが、少なくとも今の相場が投資家のセンチメントに影響していることは確かです。

今週の後半にはFRBの利上げの発表があります。80%の投資家が0.75%引き上げ、20%が1.00%引き上げと予想しているので、最初の発表にはそこまで市場は反応しないと思います。ただパウエル議長の会見の内容が市場に火をつけると思うので、チェックしておきましょう。

ありがとうございました。

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