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国立新美術館「マティス 自由なフォルム」 

【開催場所】国立新美術館
【会期】 2024年2月14日(水)~5月27日(月)
【主催】 国立新美術館、ニース市マティス美術館、読売新聞社、日本テレビ放送網
【特別協賛】 canon
【協賛】 DNP大日本印刷
【協力】 日本航空、日本貨物航空、ヤマト運輸
【後援】 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ、J-WAVE

東京メトロ乃木坂駅構外のサイン

(以下、公式web siteから引用)
「20世紀最大の巨匠の一人アンリ・マティス(1869-1954)。自然に忠実な色彩から解放された大胆な表現が特徴のフォーヴィスムの中心人物としてパリで頭角を現します。後半生の大半を過ごすこととなるニースではアトリエで様々なモデルやオブジェを精力的に描く一方で、マティスは色が塗られた紙をハサミで切り取り、それを紙に貼り付ける技法「切り紙絵」に取り組みます。
本展はフランスのニース市マティス美術館の所蔵作品を中心に、切り紙絵に焦点を当てながら、絵画、彫刻、版画、テキスタイル等の作品や資料、約150点を紹介するものです。なかでも切り紙絵の代表的作例である《ブルー・ヌードⅣ》が出品されるほか、大作《花と果実》は本展のためにフランスでの修復を経て日本初公開される必見の作品です。
本展ではさらに、マティスが最晩年にその建設に取り組んだ、芸術家人生の集大成ともいえるヴァンスのロザリオ礼拝堂にも着目し、建築から室内装飾、祭服に至るまで、マティスの至高の芸術を紹介いたします。」

◎ヴァンスのロザリオ礼拝堂(再現)
ニース近郊のヴァンスにマティスが1947年から4年をかけて製作した礼拝堂。その内部を展示室内に再現し、ステンドグラスから入る光の1日移ろいまでも再現されている。昨年の東京都美術館での「マティス展」では高精細画像でこの礼拝堂内部の様子を大画面で観ることができたが、今回は一部とはいえ再現された室内で体感することができる。かつてマティスの看護師でもあった修道女の願いを叶えて、その晩年を捧げて作った礼拝堂の美しさを実感できて心が震えた。

礼拝堂内部の再現
礼拝堂内部の再現:聖ドミニクス(再現)
礼拝堂内部の再現:ステンドフラスからの光
礼拝堂内部の再現:ステンドフラスからの光

◎切り紙絵
マティスは晩年、2度の手術などを経て、下半身が不自由となり、上半身だけで制作できる切り絵を始めた。ここで、彼は長年のテーマであった、絵画における輪郭線の問題から解放されたのだという。

蜜蜂(1948年:グアッシュで彩色、裁断、貼り合わせた紙/厚紙に糊付け(カンヴァスで裏打ち):ニース市マティス美術館蔵)
白色のカズラ(上祭服)のためのマケット(正面)など(1950~1952年:切り紙絵:ニース市マティス美術館蔵)
花と果実(1952~1953年:切り紙絵:ニース市マティス美術館蔵)
大きなアクロバット(1952年:筆と墨/ベラム紙:オルセー美術館蔵)
顔(1951年:筆と墨/紙:読売新聞社)
ブルー・ヌードⅣ(1952年:グアッシュで彩色、裁断した紙/白色のカンソン社製の紙に貼り付け:オルセー美術館蔵)

★私が最も敬愛する画家・アンリ=マティス。その大規模な展覧会を2年続けて観ることができたのは、本当に幸せなことだと、美術館から帰宅した今、しみじみかみしめている。作品の制作過程を追うような展示もあって、大胆な画面構成や色彩が、緻密な計画と文章で言うところの”推敲”を重ねてできていることにも改めて気づかされた。マティスが残したパレットにも新鮮な気づきがあった。これまでも有名画家のパレットを観たことがあるが、たいてい、油絵の具が重なり合って分厚くなっていた。しかし、マティスのパレットはとても美しく、色と色の間には間隔もあいている。あの色彩は、こういう繊細な道具の使い方から表現されたものだったのだ。
今回の展覧会では、立体作品も数多く出品されている。それらが、2次元の彼の絵画からそのまま飛び出してきたようなフォルムで、愛おしくさえ感じた。
今回大好きなマティスのまた知らなかった面も観ることができ、大満足な展覧会だった。あの色彩と画面構成のセンスは誰も真似することはできないだろう。





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