海南市に2軒だけ
わたしが子どものころ、NTTが市内の住民の電話番号帳というのをつくっていたと記憶しています。
あいうえお順に世帯主の氏名と住所と電話番号が掲載されてました。
個人情報ダダ漏れの時代やったかもしれんけど、カンボジアに住み始めてみると周りの人は割と何にも考えずに他人の携帯番号なんかを本人の許可なく第三者に教えたりするし、とりあえず今のところそれでとても困った状況になったこともないので、人間のモラルを信じるか否かみたいなことなんかな。
しらんけど。
それはさておき、小学生の博子ちゃんは家にあった電話帳をペラペラめくり、あることに気づいたんです。
海南市内には自分と同じ姓が2軒しか電話帳に載ってない、と。
母に聞くと親戚ではないんよ、と言われたのも印象に残り、珍しい姓なんかなと思ったことを覚えています。
そして今年、ある方に博子さんの親戚に外国に移民した人っていますか?と聞かれました。
どうやら移民した方がその国で定住して何代か経ち、ルーツが分からなくなっていたようです。ご先祖さまが海南市出身ということだけは分かっていらっしゃったようで、同じ姓だったわたしに問い合わせがあったのです。
うーん、母方の遠縁でブラジル移民の人がいると聞いたことはあるけれど、母方でしかも祖母の親戚なので違う。
そのときにふと思い出したんです。
市内にはうち以外にもう一軒いてはるぞ、ということを。
そのことをお伝えしたら、ビンゴでした。
うちではないもう一軒の方がルーツだったことが確認されたと連絡をいただきました。
自分のことではないけれど、よかった。
今年生まれたいとこの孫たちのさらに子どもの代になったらわたしのことなんて分からなくなって、
そういえばひいおばあちゃんのいとこかなんかでカンボジアに行った人がおるらしいよ
みたいなことを言われるようになるんかな。
それともカンボジアであちこちにいる子どもたちの子孫が
うちのルーツは日本にあるらしい
という誤情報を広めるかもしれない。
そんなふうにして謎のおばさんとして永遠に生きていけたら、ちょっとおもろいかもな。
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