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聖夜
君の夜が、なによりも優しいものでありますように。届かない祈りは、浅ましいエゴになってしまうのかな。どうか、君が君自身に向ける矢の先が鋭利なものじゃありませんように。エゴなのは最初から分かってる。君の抱くぬいぐるみの全部が優しい顔をしていますように。僕の祈りは甘美な呪い。君の説く生命を、力の限り抱きしめて。
揺れるライラック、ピクっと動く猫の耳。君から連想する美しいもの、すべて。
君の感じたときめきに、君が触れた後悔に、君の歩んできた道のりに、そっと瞳を閉じて、キスをする。不変の過去は振り返るたびに色づいてくけれど、変わっていく僕らは今を愛することしかできず、その事実が憎たらしくも愛しいよ。今この瞬間も僕らを構成する細胞が死んではまた生まれて、真新しい僕らになって、僕は君のことが好きじゃなくなって。そういう生の歩みのロマンチックさが、僕らを出会わせたのだから。
お誕生日おめでとう。君の生に祝杯を。
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