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コミュ障はWiiをやれ!? 科学が証明した、誰とでも仲良くなるためのゲーム選びの2つの条件とは?

こんにちは、メンタリストの清水陽介(@smzyuskmental)です。


最近は、こちらの本を何度も読んでおります。

ジェイン・マクゴニカルさんの、『スーパーベターになろう!』

本を読まれる方は、名前にピンと来たかもしれませんね。何を隠そう、著者のジェイン・マクゴニカルさんは、『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』で有名な、ケリーマクゴニカルさんの双子の妹です。ケリーさん、双子だったんですね。笑

そして今回の『スーパーベター』は、そのジェインさんの著書。で、ジェインさんなんですが、実は10年ほど前に事故で脳震盪(のうしんとう)を起こしてしまったらしいんですよ。しかも、医者からは「もうお前は生きる価値がない」とまで言われたんだそう。医者もひどいこと言いますねぇ。

ところがジェインさん、その事故が起きる10年前から、ゲームの研究をしておりました。で、なによりもジェインさんがすごいのは、”脳震盪との戦いを、ゲームだと考えた”こと。つまり、「私の人生は、脳震盪というラスボスを倒すゲームだわ!」みたいにゲーム感覚で考えることによって、本来ツライはずの人生を、むしろ素晴らしいものに変えちゃったわけです。

で、本書では、ジェインさんのように人生をゲーム感覚で楽しむ方法だったり、ゲームが人生に与える影響だったりが書いているわけなのですが、その中でも、「ゲームって、実は最強のコミュニケーションツールなんじゃない?」ってところが面白かったのでメモ。

今回も超実践的です。


Section①

一緒にゲームをプレイすると、2人はシンクロする

まず、多くの人から「時間の無駄!」と思われがちなゲームですが、実は、ゲームは共感能力を高め、一緒にゲームをした人とものすごい速度で仲良くなれるっていうことが分かっています。ちなみに、ここで言うゲームは、スマホアプリや、テレビゲームなどを指します。ツムツムだったりマインクラフトみたいなイメージです。

これはヘルシンキ大学の研究チームの研究。この研究では、『ヘッジウォーズ』というアプリを使って、部屋で2人で一緒にゲームをプレイしてもらいます。(ヘッジウォーズは、”ちょい難しい版アングリーバード”的な感じのゲームらしいです。)。そして、ゲームをした後の2人の心理状態をチェック。つまり、ひとが2人で一緒にゲームをした場合、心理状態がどう変化するのかを調査したわけです。

するとその結果がおもしろくて、

・ゲームを始めて数分後、ゲームをプレイする2人の動きがシンクロした!

(2人が同じタイミングで同じ表情をしたり、笑ったり、眉をひそめたりするようになり、呼吸パターンもシンクロした!!)

ということがわかっております。つまり、2人で一緒にゲームをすることで、2人のココロとカラダが同じ状態になったというわけです。これ、結構すごいですよね。「楽しい!」「テンション上がる!」みたいな感情が同じになるのは分かりますが、同じゲームをするだけで、呼吸パターンや脳波まで同じになってしまうというのは驚きですね。

また、「それって、協力プレイをした時だけじゃないの?」っていう話もあります。つまり、「マリオカートや格闘ゲームのように、相手が敵になるゲームだと、話が違うんじゃない?」っていう疑問ですが、この研究ではその点もしっかりと調べていて、

・協力プレイでも、対戦プレイでも、同じようにシンクロ現象が確認された!

という結果が出ております。要するに、一緒にゲームをする相手が、敵だろうが味方だろうが、ゲームをする2人のココロとカラダは、ほぼ完璧にシンクロするっていうわけです。

ということでまとめると、誰かと一緒にゲームをすることで、開始からほんの数分間で、その2人がシンクロするようになる、という感じですね。



Section②

人はモノマネすることで心を読む

で、「じゃあ、シンクロするとなにがいいの?」って話ですが、人はシンクロすればするほどその相手を好きになり、その人に対して優しくなるってことがわかっております。つまり、人は誰かとシンクロすると、その人を仲間だと考えるようになり、その結果、好意を抱くようになるということです。同じゲームをすると、その人を「自分と似た人だ!」って思うわけですね。

そして、「なんでシンクロするだけで仲間だと思うのか」って話になりますが、これは、人が他人の気持ちを察するときのメカニズムが関係しています。

みなさんも想像してみて欲しいのですが、誰かとコミュニケーションをとる時って、その相手が何を考えているかを考えながら接しますよね。つまり、「この人はいま退屈な雰囲気だな」とか「この人はいま楽しそうだ」、「この人は僕のことが好きみたいだ」みたいな感じに、相手の気持ちを察しながら会話すると思います。

で、その時にどうやって気持ちを理解するのかって話ですが、人は”相手の気持ちを自分の中で再現する”ことによって、相手の気持ちを理解しようとします。例えば、目の前の相手が眉をひそめて”ムッ”としたとして、自分もそれと同じように、ムッとした表情を作ってみます。そうすると、「あ、これは怒ってるわ」と分かりますよね。

つまり、人は相手の表情やポーズなどを”モノマネ”することで、相手の気持ちを正確に把握することが出来るわけです。相手の気持ちが分からない時に、相手のモノマネをしてみると、相手が何を考えているかが分かることがありますが、それも同じ理屈であります。要するに、相手とシンクロすると、相手の気持ちが分かるようになるよって話です。

そしてさらに、科学者いわく、

”人は相手の気持ちを理解できると、円滑な交流ができるようになり、その人のことをもっと好きになる。”

とのこと。つまり、相手のことを分かっている安心感が、好意に繋がるわけです。逆で考えると分かりますが、目の前の相手がずっとお面を被ってたらなんだか怖いですよね(笑)。これはなんでかっていうと、お面で表情が見えないことによって、相手の気持ちが理解できない。その結果、安心感が得られず、なかなか好きになれないってわけです。

ですので、学校でマスクをずっとつけている人がいますが(というか僕もそうですが)、これはあまりよくなかったってことですね(笑)。マスクで表情が見えないから、相手は共感しにくいわけです。人は何を考えているかが分かりやすい人のことを好きになります。


Section③

親子が仲良くなるためにはゲームが最強なんじゃね説

ということはですよ。ここまでをまとめると、”一緒にゲームをする”という行為には、以下のようなメカニズムが働くことが分かります。


①一緒にゲームをすることで、2人のココロとカラダがシンクロ!
       ↓
②シンクロすることで、相手の気持ちが分かるようになる。
       ↓
③相手への理解が深まって、その人のことを好きになる。


という感じ。つまり、ゲームを通じて相手とシンクロすることによって、相手との仲が深められる、というわけです。

実際に、ゲームでシンクロすることで、親子の仲が深まることが分かっています。これはブリガム・ヤング大学の研究で、親子で一緒にテレビゲームをさせるとどうなるのかを調べたもの。そこで分かったのは


普段から親子で一緒にテレビゲームをプレイすると、

・親子の連帯感が向上した!
・自閉症の子供の協調性が高まり、家族との交流が改善した!
・自閉症の子供は一緒にプレイした友人や家族に対し、自信を持ってコミュニケーションをとるようになった
・より多くの褒め言葉や、ハイタッチなど、ポジティブな言動が増えた


という感じ。つまり、マリオカートやスマブラのようなテレビゲームは、親子関係を改善するための、最高のコミュニケーションツールだったわけです。

というわけなので、子供に「Wii U買ってほしい!!」と言われたお父さんは、喜んで買ってあげましょう(笑)。そして、一緒にプレイさせてもらいましょう。ゲームを通じて親子がシンクロすることで、仲が深まります。


また、ゲームの効果は親子関係だけに留まりません。最近の研究によると、ゲームを一緒にプレイすると、たとえそれが見知らぬ人であろうとその相手を好きになり、さらに「この人、自分と似てる!」と感じるようになり、なんだったら、世界中のあらゆる人のことをもっと好きになるってことが分かっています。(最後おもろいですね。笑)

これはシンガポールにある、南洋理工大学で行われた研究。なんでも、シンガポールでは若者と老人の交流がまったく無いらしく、そのせいでお互いを良く思っていないらしいんですね。で、この問題を改善すべく、学者は「ゲームで若者と老人のミゾを埋められないか?」と立ち上がったそう。

この研究では、大学生と老人で2人1組になってもらい、週に30分間、一緒に『Wiiスポーツのボーリング』をしてもらいます。そして、これを6週間続けてもらったそう。するとその結果が凄まじく、


・一緒にプレイした老人と若者は、お互いを”友達”だと考えるようになった!!

・お互いの世代と交流する恐怖感が大幅に減った!

・それどころか、お互いが、相手の世代”全体”を大好きになった!


という感じ。

どうですか?素晴らしくないですか?

つまり、ゲームを通じて、年齢という大きな壁を超えた友達が作れるだけでなく、「老人って意外と楽しいじゃん!」「若者も捨てたもんじゃないのぉ」と、ゲームのシンクロによってお互いの世代への偏見すら無くしてしまったわけです。ゲームをするだけでこれだけ考え方が変わるわけですから、大したもんですよね。子供には、もっと積極的にゲームを買ってあげてもいいんじゃないかって思います。


というわけで、Wiiスポーツを始めとする数々のゲームは、お互いの仲を深めるための最強のコミュニケーションツールだったわけです。



 Section④

ゲームで仲を深めるための2つの条件

ただ一応、ゲームならなんでもいいってわけでもなく、仲良くなるためには条件があります。それが、”深いシンクロ”と”均等化”の2つであります。ゲームを通じて仲を深めるためには、この2つを満たすゲームを探しましょう。


一つ目の”深いシンクロ”ですが、没入感があるゲームほど相手との距離が縮まることがわかっています。つまり、何かに没頭している状態をフロー状態と言いますが、このフロー状態に入りやすいゲームほど、シンクロ度合いが深くなり、2人の親密感を高めてめくれます。

(ちなみに、フローを知らない方のために簡単に説明しておくと、友達とゲームをしてて「え!?ゲームしてたらもうこんな時間!?」みたいな時ってありますよね。これがフローです。”ゾーン”と言ったりもしますね。)

これは、先ほどの老人と若者のWiiスポーツの実験の続き。この実験では、Wiiスポーツ以外の対照群として、一緒に会話をするグループ、一緒にテレビを見るグループ、一緒に芸術に取り組むグループを用意して、同じく6週間過ごしてもらいました。ところが、その結果、

・これらのグループでは、相手の世代への偏見は”一切消えなかった”

らしいんですな。つまり、ゲームはプレイ中にフローに入ることでお互いに深いシンクロをが起こり、相手との距離が縮まりますよね。ところが、それ以外の簡単な作業の場合、深いシンクロが起きないので、お互いの仲は深まらないというわけです。まぁ確かに、もし一緒にテレビを見て仲良くなるんだったら、その辺のおじちゃんとすでに仲良くなってるはずですからね(笑)。

というわけなんで、誰かと仲良くなりたいなら、なるべく集中が必要で、没入してしまうようなゲームをするといいです。ツムツムなんか良さそうですよね。あとはこういうのも良さそう。

同調行動と言って、同じ動きをすることで、シンクロ度が増し増しであります。

余談ですが、懇親会や新年会って一発芸をやる風潮がありますよね。個人的には、あれをやるくらいだったら、みんながシンクロするようなゲームを取り入れた方がいいんじゃないですかねって思ったりします。その方が”懇親”できますからね。


そしてもう一つの条件は、”均等化”。つまり、お互いが同じルールで、同じ条件のもと、同じ土俵に立てるゲームっていうのが大事です。南洋理工大学の研究チームいわく、

ゲームの”均等化という性質が、社会的緊張や不安を取っ払い、お互いが繋がることを容易にする

とのこと。要するに、お互いが平等で、有利不利がないゲームであることが大事なわけです。確かに想像すると分かりますよね。オセロの相手がもし世界チャンピオンだったら、ボコボコにされてつまらないですからね。笑

相手とゲームをするときは、”平等”を心がけましょう。自分の得意なゲームを持ち込んでも、楽しいのは自分だけです。



まとめ


というわけで、【実は、”Wiiスポーツ”こそが、最強のコミュニケーションツールだった!? 100を超える論文が証明した、”ゲームの科学”#1 】でした。

簡単にまとめると、

①一緒にゲームをする2人は、ココロとカラダがシンクロする
       ↓
②シンクロすることで、相手の気持ちが分かるようになる。
       ↓
③相手への理解が深まって、その人のことを好きになる。親子関係が著しく改善し、年齢の壁すらも超えて仲良くなれる。
       ↓
④ゲームの条件は、”深いシンクロ”と”均等化”。みんなが楽しめるゲームを、本気で楽しもう。

という感じでした。

毎度言っておりますが、”知ってる”で終わらせずに、ぜひ実生活で”使って”みてくださいな。学校のクラスやサークル、親子や友達、会社でのチーム。いろんな場所で仲を深めるために応用できます。ゲームで人生を楽しみましょう。

長くなりましたが、最後までお読み頂き、ありがとうございました。


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