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箱の中の歌

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詩と短歌。 曲をつけて、nanaに投稿もしています。 https://nana-music.com/users/8162920
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#nana_music

春風とショートボブ

 鏡の中 艶めく  紅茶色のショートボブ  見慣れなくて  照れくさくて  舌を出して  笑…

5

ひとしずく

痛みをひとつ ポケットに隠して 何食わぬ顔で 改札を抜ける ホームの向こう 灰色の空 深呼吸…

6

月と黒髪

月の光を 浴びながら 君は 歌う 陽射しの中を 走り出す歌を 歌う 聴こえないくらい ちいさな…

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ナナシ

名前の無い感情 切なさとは違う 悲しみとも違う 喜びとも違う 嬉しさとも違う ときめきとも…

4

八月四日

人は 嘆く 夏の祭りの 無い事を 鳥も 虫も 木々も 風も 空も 夏を 祝う 先週。 散歩の途中…

7

歌いたい歌を歌うよ

もしも 歌えるのは 今日が最後だよって そんな事を言われたら 私は 何を歌うかな? きっと …

10

ナイフと粉砂糖

魂が歪で 何が悪いの? あなたは丹精込めて 私を削るけど 正方形になんか なりたくない 魂がほろ苦くて 何が悪いの? あなたは真心込めて 粉砂糖をまぶすけど コンポートになんか なりたくない 鋭いナイフは 愛だと知ってる 窒息させる粉砂糖も 愛だと知ってる 要らないのが 悲しいくらいに 魂が歪で 何が悪いの? 魂がほろ苦くて 何が悪いの? 正方形になんか ならないから コンポートになんか ならないから

虹色のループ

昨日見た夢は 明日の続きかも 明日見る夢は 来年の続きかも 未来から 今へ 時が 流れてくる …

7

十六夜

    月は欠け    また満ちる 缶ビール片手に 十六夜の月を 見ている ソファの上に 体…

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うちに帰ろう

瞳をとじて 記憶の中の 橋を渡って うちに帰ろう ささやかな庭 狭い玄関 大きな声で 「ただ…

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鼻歌を歌おう

 友人の結婚式での一幕だ。  オカリナ吹きの新婦は、手紙を読んだり、スピーチをする代わり…

10

秋の声

線香花火の残像が 時に淡く 時に濃く 瞼の後ろで 繰り返される 冷たい風の月夜なのに 夏の…

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