運営費交付金に依存する国立大学

1.運営費交付金に依存することはなぜダメなのか

これまで日本では、「運営費交付金に依存する国立大学はけしからん!」と言われてきました。
運営費交付金に依存することはなぜダメなのでしょうか?

代表的な4人の論客の主張を見ていきましょう。

パソナグループの竹中平蔵会長は2009年にこのように述べていました

“ハーバード、プリンストン、スタンフォード、ケンブリッジといった世界トップ10に入る大学の中に国立はありません。国立ということは政府から運営費交付金、つまり補助金を受けています。補助金を受けている企業が世界一になるはずはありません。大学も同じなのです。
(竹中平蔵、PRESIDENT 2009年4月13日号)

運営費交付金に依存していると世界一になれない、ということのようです。

同様の主張を経団連の根本勝則理事もしています。
2017年、未来投資会議の構造改革徹底推進会合での発言です。

“運営費交付金という国費が重要なことはわかりますけれども、これに完全に依存するようなことがなく、産業界等からの資金を獲得していくという強い意志と行動を示していただきたい、期待したいと考えております。それこそが国際競争力の高い経営を実施する法人なのだろうと考えているところでございます。そういう法人であればこそ産業界として は魅力を感じ、投資をしていくということであろうと考えます。”
(根本勝則、2017年4月28日未来投資会議 構造改革徹底推進会合)

運営費交付金に依存しないことで、国際競争力の高い経営を実現できると考えているようです。

このように、「運営費交付金に依存しないこと」と「国際競争力」を結びつける主張は過去にもしばしば見られました。
京都大学の依田高典教授自身のTwitterで以下のように述べています。

“国立大学が運営費交付金に依存している限り世界の強豪大学には伍して戦えないだろう。”
(依田高典、2015年7 月7日Twitter)

運営費交付金に依存していると世界と伍すことができない、ということのようです。

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