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遊び心あふれる空間で、伝統的イタリアンに舌鼓。

サラリーマン生活を終え、独立して2年目の秋。ミラノの友達から夕食に招待いただき、お互いの新しい門出を祝ったお店は、88年続く地元の人たちに愛される老舗のトラットリア。しかし・・一歩足を踏み入れると、外観からは想像できないJazzyな雰囲気とエノテカの様相がうまく融合した独特の世界観が目の前に広がりました。

トラットリア・アルラーティ・ダル1936

入り口は"ひっそり"とした老舗トラットリアの佇まいだた・・・

現地集合で待ち合わせたトラットリア・アーラティは、ミラノの中央駅から地下鉄で一度乗り換え、そこから5駅、20分ほどの駅「Ponate」にて待ち合わせ。観光の中心地、ドゥオモとは真逆の方向で、観光客はほとんど見ない。生まれも育ちも地元のミラネーゼが居住する閑静な地区にある。

違和感のないのは、それぞれの調度品に

店内に入って、すぐ目を引くのは大きな水玉模様のダチョウの調度品。その他豚や金色の天使たちに囲まれた個性的な空間ながらそれほど違和感を感じないのは、アーラティの成り立ちが関係しているからかもしれない。

子豚の置物や絵画などが所狭しと飾られていた

アーラティは、レストランではなくトラットリア(家庭的なレストラン)と名乗り、創業時は近くの工場労働者向けに食事を提供していたらしい。1960年頃に2代目のマリオが店を継いでから彼の人脈でお店を少しずつアーティストや音楽家の集う交流の場に変えていったらしく、当時の大物演者が出演することもあったと聞く。

壁の至る所にワインのボトルが置いてある。

今回案内されたのは、1973年にワインセラーとして使用していたところを客席に改装した地下階で、今でもその名残として壁一面には所狭しとワインのボトルが並び、「エノテカ」と呼ぶ常連も多いとか。
ヨーロッパでは湿度や温度が一定に保てるために、こうして地階のスペースをワインセラー代わりにワインの保管場所に使うケースが多い。ただ、最近では気候変動で、地下での保管をやめてワインセラーを導入しているレストランは増えている。

テーブルにつくと、落ち着いた雰囲気に。

イタリアでは、席についてから食べ始める前に小一時間ほどかかる場合が多い。今日のおすすめ料理をメニューやシェフに聞いたりして、「これがおすすめらしい」「今の季節なら、これじゃないか?」「だったらワインは、この辺でどうだ?」など会話しながら、それぞれが何を食べるかを決めていきます。そのコミニケーションのプロセスが、メニュー越しにする会話の時間が好きだったりします。

アフェッタートミスト 「生ハムやサラミの盛り合わせ」

イタリアで楽しみの1つが、この生ハムやサラミの盛り合わせだ。日本で食す同種のものとは全く異なる味。特に「自家製」とついたものを見つけたら、ほぼ毎回注文する。イタリアでは「豚には捨てるところがない」と言われ、部位ごとに合わせた加工方法がある。アーラティのメニューにも自家製」と記載があったので、迷わず注文。大正解である。赤ワインとの相性もよく、思わず「おかわり」と言いそうになる。

前菜の盛り合わせ

野菜も忘れずに、前菜の盛り合わせのような一皿を注文。この日は移動日でもあったので、パスタを頼まず前菜の後はメインを頼んでいるので、前菜の盛り合わせは色々な種類のものを食すことに。サラダのドレッシングの酸味で食欲を上げながら、会話を楽しむ。

ミラノ風パテも美味

前菜盛り合わせとは別に”ミラノ風パテ”も頼んでみた。フィレンツェではよく食するパテもミラノ風となると、ちょっと洗礼された感じ?フレッシュな鶏のレバーを使っているとのことでしたが、臭みが全くなく、塩味も強くなく、とっても食べやすい。一緒に提供された少し硬めの、まだ暖かい小さなバゲットの上にのせて食べるもよし、そこにフレッシュなエキストラバージンオイルをかけるもよし。前菜の味を引き締めてくれます。

Cotoletta alla milanese (ミラノ風カツレツ)

・・そして、メインに選んだのはミラノ風カツレツ! ミラノの郷土料理でアーラティのスペシャリテの1つでもある「オッソブーコ(仔牛の骨付きすね肉の煮込み)」と迷いましたが「今日はうちのコトレッタがおすすめだよ」とのシェフの一言で決めたことに悔いなし!の味でした。
イタリアではコトレッタには2つの流派があり、その違いは肉を叩くか、叩かないか。庶民はの店では、子牛肉を薄く広げて大きく変身させた方が喜ばれると言うことで、トラットリアまでは肉を叩く派が多いらしく、リストランテになってくると、厚い肉のまま中をロゼ色に仕上げる”腕”をアピールするなどのスタイルがあるようです。

今回は、全員シェフ一押しのミラノ風カツレツに舌鼓

実は、奥様は女友達3人で日本にも遊びに来られて、来阪時には一緒に炉端焼きスタイルの居酒屋に招待して、日本の伝統的な雰囲気を楽しんでいただいた関係で、その時のお礼の意味も今回の食事会にはあったようです。
こういった民間の親善大使?のような関係が、もっともっと広がれば世界は平和でいられるはずですよね!

ビスコッティも自家製!

最後にデザートは自家製ビスコッティ(硬いビスケット)をコーヒーやエスプレッソに浸して食べながら、お互いのこれからの夢の話をしたり・・ゆっくりした時間の流れるアーラティ。個性的な空間ですが、照明の具合もあるのか、ワインのほろ酔いも手伝ってか、とっても落ち着いて過ごせました。

イタリアの〆は、やっぱりエスプレッソ!

2年ぶりの再会も、アーラティの不思議空間で食べる伝統的なスタイルのミラノ料理に舌鼓しながら、ご夫婦との会話がはずみ、あっという間の3時間でした。
お互い、年に一度、スイスでの時計見本市『BASEL WORLD』の期間中に、同じ時計ブランドの別ブース内で、それぞれのお客様の対応をする。私は期間中、日本人専用ルームで商談が続くので、彼との会話は18時以降にちょっとしたアペリティーボの歓談の時間だけ。それでもこうしてお互いの”今”を確認できる関係でいてくださるのが、本当にありがたい。
次は何年ごに会えるのか?その時お互いどんな仕事をしてるのか。
またの機会を楽しみにしています。
ごちそうさまでした。  Ciao


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