失われた日々
過ぎて行く日々を
当たり前のように過ぎて行く日々を
忘れないでいられますか?
なみだがあったあの日を
感動があったあの日を
屈辱に耐えた日があったことを
怒りに我を忘れた日々があったことを
わたしはすぐに忘れてしまう
日記にも残らない
些細な
しあわせがあった日のことを
そんな忘れるだけの日々を
いつか誰かが憶えていて
わたしにそんな日もあったと
告げてくれる
わたしは言われて初めて
その日を失っていたことに気づく
いや、失ったのではない
失いかけていたのだ
わたしはにわかに生気が戻ってくるように
様々な過去が衝かれたビリヤードの玉のように
記憶の中で交差していく
府に落ちていく過去
府に落ちていくいま
わたしはそうして日々を取り戻していく
その瞬間わたしは
本当に生きているを感じている