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晴れの日の雨傘

わたしはよく
大型スーパーで缶コーヒーを
箱で買っていた
一箱抱えて
重そうに

カート何かは使わない
両手で落とさないように
レジに並ぶ

その時に
前で会計待ちをしていた
若い女性が

重そうに缶コーヒーの箱を持って
次に並んでいるわたしに気を使ってか

「どうぞ、お先に」と譲ってくれた

わたしはうれしくなり
なんどもなんども
お礼を言いレジを通った

その時の感動ときたら…

ひとに譲ってもらうということが
こんなにも心地いいものか

わたしは別の日
別のスーパーで並んでいる時に

わたしの次の順番のひとに
「お先にどうぞ」
と順番を譲った

そのひともとてもうれしそうだった

ひとと譲り合うことの大切さを
しみじみ感じた


しかし
ある日何時ものように
スーパーの列に並んでいて

気分のいい時に
次に並んでいる中年の女性に
気軽に
「どうぞ、お先に」と
譲ろうとした

すると
その女性は

まるで晴れの日に
雨傘をどうぞと差し出されたかのように
怪訝な表情を浮かべ

「結構です」といい
別のレジの列に並んでしまったのだ

わたしはひどく落ち込み
わたしにとってのやさしさが
誰かにとっては大きなお世話なのだと
痛感した

それ以来
列に並んだ時に
次の人に「どうぞ」と譲らなくなった

しかしとても急いでいるひとやご老人は別だ

なるべく譲ろうと努力はしている

しかしある人にとっては
わたしの好意が余計なおせっかいにしか
過ぎないことを重々承知しながらだが

そうだよな
そうだよな

晴れの日に雨傘手渡されてどうするんだろ?

ふとそんなことを思った
ある日