見出し画像

「1971年うまれのぼんやり音楽体験」 第2回 トンプソン・ツインズ

中学生になって音楽を意識的に聴くようになった1985年頃、おそらく一番最初に好きになった洋楽のバンドが、トンプソン・ツインズだった。きっかけは多くの音楽ファン同様に、「マクセル カセットテープ UDシリーズ」のCMだった気がする。今回も「そんな気がする」というぼんやり加減で申し訳ない。なにしろ、40年近く前のことなんだから仕方がない。ニューウェーブとかシンセポップとか、今ではさも当たり前のように書いたりするのだが、当時はそんなジャンルというか用語はまったくわかっていなかった。ただ、とても親しみやすい曲調と明るくカラフルで楽しいイメージのビジュアルは、なんとなく暗いイメージのあった日本の歌謡曲とはまったく違う刺激的なものだった。

CMをきっかけに彼らを知った僕は、「King For A Day」のシングルを買った。7インチではなく、12インチシングルだった。この「12インチシングル」というのがポイントで、LPレコードと同じサイズで尚且つちょっと長尺でシングル曲を収録しているというところに、なんともいえないマニアックな気持ちをくすぐられた。ミポリンや浅香唯のレコードを買っているクラスメイトよりも「自分は音楽を知っている。しかも洋楽だし」という謎の優越感。たぶん、それは自分にとって初めての西洋文化への目覚め。「12インチを回してみれば、文明開化の音がする」ということだったのかもしれない。

「King For A Day」のテーマは、簡単に言えば「愛と平和」。〈もし僕が一日だけ王様になれるなら すべてを君に捧げるよ〉というラブソングの体だが、曲の終盤に〈Love is all, love is all〉と繰り返すコーラスは、ビートルズの「All You Need Is Love」を思わせると同時に、同年に発表されて世界的な話題となった「ウィ・アー・ザ・ワールド」にもリンクしていたんだと、後付けながらそう思う。その後、アルバム『フューチュアー・デイズ』を買ってみると、なんとビートルズの「レヴォリューション」のカバーが収録されていた。こちらについても、そのときは元のビートルズの曲は知らなかったので、後々改めてオリジナルを聴くことになるのだが、こういう感じで自分の中でいろんな音楽がつながって行ったんだなあ、と今頃気が付いた。トンプソン・ツインズ、今聴いても最高だ。懐かしいマクセルのカセットテープも含めて、大好き。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?