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海外からオファー殺到!海外アーティストを魅了する20歳の日本人デジタル・アーティスト、Sora Aota(K2)にインタビュー

トリッピー・レッドやイアン・ディオール、ヤング・サグなどの海外アーティストから、国内ではLEXやBAD HOPといった時代を象徴するアーティストのアートワーク/デザインを手がけるSora Aota。これまでは〈K2〉という名義で活動してきた彼だが、よりグローバルに活躍すべく、その名を本名に改めた。そんな活動を後押しすべく、ドージャ・キャット『プラネット・ハー』の完全生産限定盤の特典であるオリジナルTシャツのデザインを手がけた彼に、バックグラウンドから海外仕事の裏話までじっくり話を聞いてみた。

interview & text by Koro Sato



――グラフィックを始めたきっかけは?

Sora Aota もともとゲームが大好きで、それ用にiPadも購入していたんですが、いつからかゲームのアイコンやロゴのデザインが気になるようになって、そこからiPadにデザイン用のアプリをインストールしたことがきっかけだったと思います。それからはゲームよりもデザインに興味が向いて、そこにヒップホップを聴き始めるタイミングも重なって、アーティストのイラストを描くようになりました。最初に描き始めたのはトラヴィス・スコットだったと思います。

――ヒップホップにのめり込んだ理由というのは?

Sora Aota もともと兄が好きだった影響は大きいんですが、ラップバトルを観たり、それからどんどん好きなラッパーが増えていきました。イラストを描くことを仕事にしたいと思ってからは、それこそ描き始めたのは海外アーティストでしたけど、さすがにいきなり海外に届くわけはないかなと思い、国内のラッパーを中心にDMを送るプロモーションから始めました。待っているだけじゃ何も始まりませんからね。描いていた作品はSNSにアップしていたので、それを気に入ってくれた国内のアーティストの方から依頼も来るようになって、一番最初に実現した仕事はラッパーの9forさんのアーティストロゴでした。その後にすぐトリッピー・レッドのコンテストで僕の作品が採用されたことがきっかけで、どんどん依頼も増えました。イアン・ディオールもその流れで、そこからはありがたいことにずっと依頼をいただけてますね。

――自身が手がけた作品が世界で流通していることに対する実感というのは?

Sora Aota それが……あんまりないんです。特に海外のアーティストの場合は、やりとりがSNSのみなので、使われていても実感が湧かないというか。「あ、いいアートワークだな。……あ、描いたの俺だ」みたいな感じです(笑)。LEXさんのアートワークを担当させてもらったときも同じ感覚だったんですが、仕事で上京したときに会うことができて、そこで初めて実感が湧いたくらいです。

――現在Aotaさんは福島県相馬市在住ですが、周囲の友人たちから「すげえ仕事してんじゃん!」といったリアクションなどはありますか?

Sora Aota 周りの友達にヒップホップ好きがいなくて、「トリッピーのアートワークを手がけた!」と自慢しても、トリッピー自体を知らないので、そういうのも実感が湧かない要因になっているのかもしれません。ただ、僕のまったく知らないところで「Sora、なんかすごいらしいね」と話題になってるらしい、という話は聞いたことがあるので、もしかしたら相馬市内では知られた存在になっているかもですね(笑)。

――これまで多くの海外アーティストの作品を手がけられてきた中で、苦労した点にはどんなことがありますか?

Sora Aota 一度作品を提出して修正をリクエストされても、受け取った内容を翻訳するので、細かい点が伝わりづらいところですかね。日本だとイメージがより正確に伝わるので修正は少ない。あと、海外の納期の早さは困りますね(笑)。日本は納期が来月、再来月とか余裕をもってオファーしてくれるんですが、海外は「今週」「来週」とか当たり前で、早いものに関しては「明日」とか。時差の関係もあって、明日納期の依頼って、日本時間の早朝とかにDMが届くんです。なので、そこから作業に入るので、結果的に寝れずに作業、ということもありました。

――明日納期、といった作品は実際使用されて、きちんとギャランティも支払われているんですか?

Sora Aota いえ、形になっていない作品のほうが多いです。去年だとショーン・キングストンやチーフ・キーフから依頼があったんですけど、納期を守ったのに結局使われず、違うアートワークでリリースされていました。なので、僕以外にもたくさんの人に依頼していて、短い納期の中で一番よい作品が採用されてる、ってことなんだと思います。ジュースワールドのアートワークの依頼が来たときは、アルバムを含め3つをやることになったんですが、すべて途中の段階で「もう(ほかの作品で)できたから大丈夫」ってDMが届いて。「お願いします」って依頼が届いたら、普通自分の作品が採用されると思うんですけど……なので、僕のアンユーズドの作品でライブラリを作れるくらいの数はできました(笑)。海外の仕事はなかなかキツいですね。

――今回は海外アーティストの依頼とはいえ、ドージャ・キャット『プラネット・ハー』国内盤の特典であるTシャツのデザインなので、未使用・未払いということはないと思いますが(笑)、そもそもドージャにはどんな印象を抱いていましたか?

Sora Aota もともとインスタでチェックしていたんですが、変顔をアップしていて、かっこつけたりかわいく見せたりするんじゃなく、面白いアーティストなのかな、というイメージでした。ただ、実際に曲を聴いたり、MVを観たらかっこいいしかわいいし、そのギャップがいいですよね。「Boss B*tch」やスウィーティーと一緒にやってる「Best Friend」が好きで、今回のアルバムだと「Kiss Me More」も気に入っています。


――Aotaさんが出演されている「ずっと、もっと、つなぐぞ。au」の中で「羽の付いている生き物が好き」と語られていて、描いた蝶々の真ん中に地球を配置していました。今回のドージャのTシャツも『プラネット・ハー』というタイトルに合わせて惑星が描かれていますね。

Sora Aota トラヴィスの『ASTROWORLD』が好きで、ファンアートもそれに寄せて描いていたんですね。意識はしてないんですけど、惑星や宇宙は描いてしまいがち……というか、中学のときも美術の授業で蝶々を描いたりしていたので、もともと両方昔から好きだったのかもしれません。


――Tシャツのデザインでこだわった点というのは?

Sora Aota Tシャツのデザインは初めてだったんですけど、前面の部分を四角く区切られてしまうやり方はもったいないなと思っていたので、既存のデザインに固執せず、ドージャのピンクを基調とした奇抜な色合いを意識して描き上げました。「ドージャ・キャット」のフォントに関しては、かわいい系のほうがいいかなと思い、『プリキュア』作品を参考にしたり。でも、女の子が観るようなアニメは接したことがなかったので、なんだかんだですごく参考になりましたね。

▼Sora Aota書き下ろしTシャツをおしゃれに着こなし👕

Models:
Hoshikuma Minami @hoshikuma_minami
Toto ( @djdaruma )
Miri & Sen @milli_n_sen ( @kmmusic_official @lilleisebutgold )

――最後に今後の展望を教えてください。

Sora Aota
 拠点は変わらず相馬に置きながら、仕事でいろいろな土地には行くかと思います。個展ではないんですが、4月頃にニューヨークでアパレルのポップアップに参加する予定です。作品でいえば、ヒップホップだけに限らず、もともとK-POPが好きだったので、いろんなジャンルの仕事を手がけていければと思っています。また、アートワークを担当するだけじゃなく、何かモノを作ったり、しっかりとアーティストとコラボできる作品を形にしていきたいですね。


Sora Aota (K2)
Instagram:https://www.instagram.com/soraaota/
福島県相馬市出身、2002年生まれ。トリッピー・レッドやイアン・ディオール、ヤング・サグなどの海外アーティストから、国内ではLEXやBAD HOPといった数々のアーティストの
アートワーク/デザインを手がけるデジタル・アーティスト

ドージャ・キャット最新アルバム『プラネット・ハー』完全生産限定盤
19曲入りCD+Sora Aota(K2)書き下ろしによるTシャツとセットで発売中!

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