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【118:ゴルフクラブシャフト分析データ稼働】

「シャフト」を抜き出した分析が可能に

 今年一月のnote「110:積年の夢がようやく解決!か?」で書いた、国内ゴルフ小売業態におけるシャフト販売動向分析システムがようやく本格稼働の運びとなった。

 このシステムは当社ゴルフ用品小売実売データ「YPSゴルフデータ」のシステムを応用したもの。今更ながら「YPSゴルフデータ」を簡単に説明すると

日本全国のゴルフ用品小売業態(オンラインショッピングサイトを含めた約1,100店舗)のPOSを中心としたゴルフ用品の実売動向を集計したもの

なんだけれど、上述の通りPOSデータがベースになっているので、ゴルフクラブ販売データの「最小分析単位」は「モデル」となる。つまり

テーラーメイド Qi10MAX  DIAMANA BLUE TM50のロフト10.5のSシャフトがある小売店で〇月〇日に〇本売れました

というデータが「最小単位」ですよ、ということ。違う言い方をすると、「POSをベースとしたデータでは、これ以上の"分解"はできませんよ」ということ。当社のデータも2010年以降上述したデータを「最小分析単位」と位置付けていた。しかしながらこの数年で

  • ゴルフクラブスペックの多様化

  • 所謂「特注スペック」「別注スペック」など、メーカーカタログ掲載スペック以外の売上構成比の上昇

が進み、上述した「最小分析単位」では市場のトレンドを定量的に可視化することが難しくなってきていた。当社データを活用してくれているクライアント(メーカー)やデータを提供してくれているパネル店からも

  • シャフト情報だけを「抜き出した」分析ってできない?

  • ヘッド情報だけを「抜き出した」分析ってできない?

というリクエストが多く寄せられるようになってきていて、2016年あたりからその仕組み構築を目指してコツコツとシステム開発に取り組んできたのだけれど、諸々のバグ修正を行いようやく業界関係者の皆様向けにデータを提供できる体制が整った。前回noteで「ようやく解決した!」と宣言してから既に4か月が経過しているけれど、1月以降各メーカーから新製品が発売されたりシャフトメーカーからも新製品が発売されたりで、まるで「いたちごっこ」のようなシステム改修と追加をしていたらあっという間に4か月が経過したという次第。

で、何が分かるのか

という話なんだけど、概ね以下のような点に集約できるのではないかと思う。

  • 従来の「クラブメーカー別シェアや販売動向」、例えば「ドライバー市場におけるテーラーメイドのシェア」が把握に加え、「シャフトメーカー別のシェアや販売動向」、例えば「ドライバー市場におけるフジクラのシェアや販売動向」が把握できるようになる

  • 更にそこから「フジクラシャフトのモデル別販売動向」も深掘りできる

  • データには「ロフト」「番手」「フレックス」の情報やゴルフクラブの商品属性情報(性別、シャフト素材、ヘッド体積、製法、カチャカチャか固定式かなど)も付与されているので、より多面的な分析が可能(例えば「自社商品に装着されているシャフトと競合商品に装着されているシャフトの番手フレックス別販売構成比較、など)になる

  • 将来的には各シャフトスペックに「重量帯区分」「キックポイント区分」情報を付与することにより、更に深い分析解析が可能になる

シューズの「サイズ別分析」も可能に

 ゴルフクラブのシャフトデータ分析システム構築と並行して、ゴルフシューズ市場における「サイズ別販売分析」も進めていて、同じく集計分析が可能な環境が整った。改めて集計データを見てみると「ああ、やっぱりそんな感じになるよね」という結果なのだけれど、データを活用するクライアント(メーカー)からすれば、

  • 自社製品と競合製品とのサイズ別販売比較

  • 市場全体と自社製品のサイズ別販売比較

などを行うことで商品の改善(ラストの改善、ウィズの改善)にお役立て頂ける面もあるのではないかと思う。あとは生産管理の効率化(サイズロスの改善)などにも活用できるのではないかと思う。近いうちにゴルフグローブについてもサイズ別の分析ができるようにしたいと思うのだけど、グローブは思いのほか「(22センチなどの)数値サイズ」ではなく「(S、M、Lなどの)アルファベットサイズ」表記の商品が多く、その標準化にもう少し時間が掛かりそう。

 というように、五島市様を中心とした「ゴルフ資産を活用した地域創生」や「新規ゴルファー創出・育成活動」、更には「大学を中心とした学校との連携によるゴルフ産業への多様な人材提供」などの新規領域も拡大しつつ、私の本分である「ゴルフ産業の持続的な発展に貢献するデータの提供」も並行して強化しておりますので、データに興味のある業界関係者がいらっしゃいましたらお気軽にお問い合わせ下さい。データの集計・分析手法確立についてもお手伝いさせて頂きますよ~。



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