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【114:ゴルマジ】

昨日の関東ゴルフ練習場連盟理事会にて、リクルート様が10年前から手掛けている「ゴルマジ!」リニューアルに関する説明が行われた。

 このサービス、簡単に言うと

  • 20歳の若者が対象ですよ(これまでのフォーマット。今後は年齢層拡大)

  • 対象者は加盟しているゴルフ場、練習場が無料で利用できますよ(こちらも新フォーマットは若干変更)

  • ゴルフ道具を持っていなくてもレンタルクラブが利用できますよ

という内容。端的に言えば「5年後10年後のゴルファー創出にリクルートさんがお金を出してくれる」という、ゴルフ産業にとってはこの上なく有難い座組と言える。詳しくは下記URLをご参照ください。

https://majibu.jp/golmaji/pc/

 しかしながら昨日のリクルートさんの説明によると、サービス導入施設及び利用者数は先細りだったそうで、社内上層部からは「やめた方が良いんじゃないか?」という声もあったとか。それを担当の方々の熱意とこれまでの実施から上がった加盟施設の様々な意見をベースに改訂して今回のリニューアルにこぎつけた、というのが昨日の説明の趣旨(それと、改めて練習場連盟加盟の皆様におかれましてはゴルマジへの参画をお願いします、という提案が行われた)。

 このサービスが立ち上がった時から間接的に関わってきたのだけれど、この話を聞いた時

天下のリクルートさんがゴルフ産業の将来のために投資てくれるなんて、何て素晴らしいんだ!

とシンプルに感じたことを今でも覚えている。当時もゴルフ産業は右肩下がりの市場環境が続いていて「ゴルフ産業活性化を!」という御旗を掲げながらも実態としては足元の仕事を捌くのに精一杯で(明日の米櫃を確保するのに精一杯で)、5年後10年後の持続的な産業発展を実現するための投資(種蒔き)にまでリソースを割く体力も思考性も持ち合わすことが出来ていなかったのが実情。そんな閉塞感強い環境におけるリクルートさんの提案は「雨乞いしていたら神様が現れて雨を降らせる約束をしてくれた」ようなものに感じた。

この施策って、例えて言うと

店主も高齢、常連客も高齢者中心で減少が続いていて新しい顧客獲得もままならない飲食店に対してリクルートさんが「若いお客様を増やすため、20歳の若者にはタダで飯食わせてやって下さい。お客集めは私達の経費で負担しますよ

っていうようなもの。この提案に対し

有難う!5年後10年後のために一緒にやっていきましょう

と受け止めるのか、それとも

常連客がお金払って食いに来てくれているのに、何で若造に俺の料理をタダで食わせてやんなきゃなんねえんだ!おとといきやがれ!

と受け止めるのか、ということだと思う。

更にその施策を導入した店の常連客の視点に立脚すれば、

おお、何だか最近若いお客さんが増えて活気が出てきて嬉しいなぁ。俺も若者に何か一品奢っちゃおうかな

と思ってくれるか、それとも

最近知らない客が増えてきて何だか居心地が悪いなあ。あの席は俺がいつも座ってる席じゃねえか!そもそも何でアイツら金払ってねえんだ!

と思うか、ということ。

 つまり、導入する施設と利用する顧客双方の「度量」「フトコロの広さ」「寛容さ」のようなものが問われる施策、ということなのだと思う。違う表現をするならば「多様性を受け入れて将来に向けた投資を本気で行うか」、それとも「排他的環境の中で違うやり方を模索するのか(または今のまま続けて自分の代で店を畳むのか)」ということなのではないか。

 自分がどちらを望むのかは言うまでもないことではあるけれど、若者を受け入れるだけではなくそれらゴルフに触れてくれた若者を「グッドゴルファー」「良き大人」として育成することのできる「度量」溢れる産業であり続けて欲しいと思うのであります。

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