【連載コラム:令和の孤独を考える②】「子どもは日々をサバイブしている」

※『市政これでいいの会・西東京 ニュースno.40』に掲載したコラムです。

新年度が始まり、新しい環境で仕事や勉学に励んでいる方や、介護や子育てなど、家族が安心して生活できるようにサポートしている方もいるかと思います。この社会や日常が当たり前のように送れているのはそのようにサポートしてくれている方のおかげで、そしてある場面では貴方もサポートする側に回っています。いつも本当にお疲れ様です。そして、ありがとうございます。

そんな始まりの雰囲気が漂うこの時期は、期待と不安が入り交じって自分が思っている以上に気を張ったり、緊張していることもあります。意識して体や気持ちを緩めることを心がけましょうね。

この時期進学や進級をした子どもたちもいますが、実は私は高校までの学校生活があまり好きではありませんでした。息がしづらかったと言い換えてもよいかもしれません。友だちはいたし、楽しい思い出もたくさんありましたが、私はなかなか本心や本音を伝えることができない子どもでした。

その言えないことの1つには、たとえば私が母子家庭であることや、自分がゲイかもしれないということがありました。自分がある面でマイノリティであることの負い目や、仲間はずれにあわないかという不安や恐怖を子どもながらに感じていました。特に自分のセクシュアリティの悩みについては、当時は自分自身でも受け入れるのに時間がかかったのと、ゲイかもしれないと自覚してからは、いかにそれを周りにばれないように、どんなに親しい友人との間にも薄い膜を張るように関わっていたことを憶えています。そういう意味で私はある種の孤独感を抱えて学生時代を過ごしてきたと言えます。

私の場合は主にセクシュアリティにまつわることの人への言いづらさと、そこから生じた孤独感でしたが、総じて子どもはさまざまな悩みや葛藤、コンプレックスなどを抱えています。けれど、親や周りの大人には相談できない子も多いのが実状です。それはなぜでしょうか。

距離の近い関係だからこそ、相手に嫌われたり失望されたり、怒られたり、何よりも自身の悩みや考えを「そんなものは大したことではない」とか「ただの気のせい」のように否定されることを恐れたり、どうせ言っても分かってくれないだろうとはなから諦めている子どもいます。子どもは大人が思っている以上に、この社会や世間に漂う空気に敏感で、そこからはみ出さないように「みんなと同じ」ふりをします。私も、大人になるまでなんとか生き抜いてきた一人でした。子どもは、大人に比べて行動の制限や使えるお金が少ないなどの制約があります。人知れず置かれた環境でサバイブしている子どもがいるということを是非知ってほしいです。

次号では、そんな子どもたちの孤独感や生きづらさを減らすために、私たち大人に何ができるのかを考えていきたいと思います。

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