デザイナー目線で見る決算説明資料 #23 (UTグループ)
より良い投資家コミュニケーションの設計を目指す「IRデザイナー」が、ビジュアル・ワーディング・内容、3つの観点で気になった決算説明資料を毎週紹介していきます!
今回は、2020年11月2日〜11月6日に開示された決算説明資料を紹介します!
UTグループ株式会社(証券コード:2146)
製造分野へのエンジニア・設計開発技術者の派遣・請負、建設技術者派遣などを行う、UTグループの決算説明資料です。
UTグループの資料は、基本はロゴの黒と緑を使ってまとめていますが、時々グラフ等でその他の色も使用しています。
いろいろな色を使うとまとまりが出ないのは決算説明資料の常ですが、UTグループの場合は彩度や明度をロゴの緑に合わせているため、ごちゃついた印象になっていません。しかも、上記ページの場合は緑も黄色も赤もフレッシュな野菜や果物の色味。自然の中に見られるカラーパレットを使うと違和感なく目に馴染むと言われているので、それもまとまり感の醸成に一役買っていると思われます。とても色使いが上手だなと思いました!
たくさん色を使いたいときに見習いたい手法です!
フォントはUD新ゴをチョイスしています。個々の文字のわかりやすさを重視した字形をとりいれたユニバーサルデザイン書体なだけあって、非常に読みやすいです!少しポップで、堅苦しくない印象なのも良いです。数字などの欧文フォントの可読性も非常に良く、いいことずくめな印象です。
私も今度はUD新ゴを使ってみたいなあ…。👀
ハイライトは、まず数字を使わず簡潔に3文で記載しており、これを読むだけでどんな四半期だったのか概要をざっくり掴めて良いなと思いました。
ハイライトとなる数字については、文章の下にグラフを掲載していました。この構成は、目論見書カラーページの1ページ目でよく見かける構成ですね!
1スライドに小さく4つのグラフを表示すると、こちらも目論見書カラーページを彷彿とするビジュアルになりますね!きれいに揃っているので、コンテンツ量の多さを全く感じさせません。
グラフの上部には、YonYで増加した項目には青文字、減少した項目には赤文字で成長率を記載していますが、この青と赤、逆に表現されているところも多いですよね!
赤を「赤字」「赤信号」のイメージで減少にするか、「暖色」のイメージで増加にするか。青(もしくは緑)を「黒字」「青信号」のイメージで増加にするか「寒色」のイメージで減少にするか。
私は今まで、青(もしくは緑)を「増加」、赤を「減少」とするほうが多かったですが、どちらの表現も見かけるので、改めて調べてみました。
東証のチッカーや株価ボードにおける表示で、赤い数字が値上がりを、緑の数字が値下がりを表しているのをご存知だろう。だが、海外のほとんどの国では、赤い数字は「値下がり」を表示しているのだ。
日本では、昔から紅白を「おめでたい」場面で使う習慣があったので、株価の値上がりに赤を使うことに違和感がない。だが、海外ではそういった文化がないため、株価ボードでは逆の意味を持つことのだ。株価ボードが真っ赤に染まるのが“めでたい”のは、世界共通ではないのである。
なんと!東証では赤が「増加」ですが、これは日本だけで、海外ではほとんどが赤が「減少」のこと。
そりゃ、世の中にどっちの表現もあるわけだわ、と、まったくすっきりしない結果となりました。😇笑
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120201105416513.pdf
今週の紹介は以上です!
株価チャートを見るとき、いつも「赤と青が証券会社によって違って見づらいな」と思っていたのですが、こんなに根深い問題だったとは知りませんでした。どこかのタイミングで、世界中で表現を統一してほしいものです・・・!🙏
最後まで読んでくれてありがとうございます😆 みなさまからのサポートは、さらに頑張るための自身への燃料としてラーメンに変えさせていただきます!🍜 今後も楽しく読んでもらえたら嬉しいです😆