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アラフィフからのアイドリッシュセブン【18】和泉兄弟② 和泉一織



いきなり私の話で申し訳ない。

昔、
友人に迷惑をかけてしまった。
何気なく発した言葉が私の預かり知らぬところで舌禍となり、友人が悪く言われたことがあったのだ。
私は泣いて謝った。

そして、
あなたが悪いんじゃない。
私がこう言ったんだ、と皆に話したら収まると思う。そう「提案」した。

その言葉は彼女を怒らせた。

解決策を知りたいんじゃない。
考えすぎ。
私が悪い人に思えてしまうから、
もう謝らないで。
私はあなたを責めていない。

何を言われたのか全く分からなかった。
上手く収まる方法を差し出せば、解決すると思ったのだ。でもそれが、人を傷つけることになるとは思わなかった。

その友人とは、のちに許し許されることで
強い絆が出来たのだけれど。

遠い記憶が表に出てきてしまった。
彼のせいだ。和泉一織。

いい子

子育ての話になると、何となく口に出ることがある。
「いい子は危ない」。

でも、いい子に見られたい訳じゃない(既にいい子だから)、
深刻に難しく考えるのをやめろと言われても常に考えているのが当たり前、
人に何か施す時に、その人が効率的に幸せになる方法を思いつく、
常に先を見通して考えるクセがついている、
だけなのだ。

負け慣れしていないから、一瞬で崩れる可能性は確かにある。
でも、むやみに危ないと言われても困る。

皆の幸せを願っている。
この人が幸せならば、幸せは伝播して全体が幸せになる。
そう想える人は素晴らしい。ただ、
残念ながら、人の事ばかり考えて、自分は後回しの人はこう言われてしまう。「不器用」。

親が子どもに願うこと

子どもの親をやっていると毎日考える。
この子を幸せにするにはどうしたらいいか。
人に褒められるような人間になって欲しい。
自分で納得のいく人生が送れるようになって欲しい。

それには怒ってみたらいいのか、褒めてみたらいいのか、甘えさせればいいのか厳しくしたらいいのか…
悩んでいる暇はなく、矢継ぎ早にどれかを選択しないといけない。
どう言う反応が返ってくるかはわからない。
いい影響を与えるかどうかもわからない。
何もせずに手をこまねいているわけにはいかない。

自分がいいと思う方向に子どもには向いてもらいたい。人はそれをコントロールと言いたがるけれども。

「あなたはバカですか」

兄の和泉三月曰く、一織は人を「構い倒す」人間だそうだ。
自分が「かわいい」と思う人間。
彼が構おうとするのは、兄の三月と、グループセンターの七瀬陸と、マネージャーの小鳥遊紡の3人。

容姿は可愛く、自分が介入すればもっと良くなる、という余地のある人間。
ただ、「足りないところ」が見えてしまうから、叱咤しないと気が済まない。
例えば人にものを教えていて、その人が出来ないと腹が立つ、という場面を想像すると何となく腑に落ちる。

彼を見ていると、まるで人の親になったかのように、相手を何かと構い倒している様子に気づく。
励ましたり、提案したり、怒ってみたり。

なんとなく頼りなくて発言も危なかっかしい七瀬陸のことは、「あなたはバカですか」と言いながら構っている。(芸能界に多大な影響を与える人間が、天然なのは割とある話だと思うのだが)

だから、同じように完璧を実践して、弟のことを構い倒して来た九条天には、一織としては入り込める隙がないのだ。似た者同士。

「持つ者」

和泉兄弟①で書いたけれども、アイドリッシュセブンの初期のうちは、三月は持たざる人、一織は持つ人、という描き方がされている。

喧嘩早くてアイドルの特性にはすこし欠ける三月を、一織はずっと心配してきた。
アイドルとしての成功を願ってアドバイスする、
兄が不利になる場面では自分が出ていきたい。

弟は弟らしくしていればいいのに。
何でも出来るんだから自分のことだけ考えていればいいのに
と兄は反発する。

これ、兄弟のことを見ている親としてはめちゃくちゃ複雑だよなあ。
本当は親の仕事だもの。「不器用」は子どもの役割ではない。その心の癖を取り除いてやりたいというのが親心だ。でも親に出来ることは少ない。残念ながら。

親の心子知らず

そんな一織のことを外から気にかけているのが、
IDOLiSH7の四葉環と、TRIGGERの十龍之介。
2人に共通しているのは、「長子」ということだろうか。加えて、親が不完全な家で、弟や妹の「親代わり」の立場だ。

四葉環は一織のクラスメイトなのだが、学校でも1人でいることが多い一織のことをめちゃめちゃ構っている。

環は感性の人だ。
何をすれば幸せになるかは、考えなくても分かっている。
だから、人の幸せだけを考えて、理由をつけて自分の幸せに近付かない一織のことは、素直になればいいのに、と思っている。

十龍之介は調整の人だ。
普段はTRIGGERのやんちゃな2人の真ん中に立って大変そうだが、その分、周りをよく見ている。
彼には、人のことばかり考えている一織は無理をしているように思えてしまう。
気を遣うとそれも伝わってしまうので、なるべくそうならないようにフォローしたいと思っている。話をしたいと言って、一織とマネージャーの2人を食事に呼んだりもしている。1対1でない方が彼に余計な気を遣わせずに済むと思うからだ。

ただ、2人の気持ちが一織に伝わっているかは分からない。
好意に「ありがとうございます」と言うことは出来るかもしれないけれど。

親の心子知らず。

愛されるということ

そんな不器用な和泉一織は、彼自身の人気度を分析で測っているが、彼を見ている人の気持ちをくすぐっていることを、彼は自覚しているだろうか。そんな影響力はないと思っているのだろうか。人は完全でいたい。綺麗な円(一角形)でいたいのだけども、それは難しい。
凸凹の部分を愛するものなのだ。
人は1人では生きられないから。

失敗は誰でもしたくない。でも、失敗しても咎めない仲間がいるということは、多分失敗をしないと分からない。負け慣れていない17歳の和泉一織は、
たとえ負けても愛される自分にこれから気づけるだろうか。もっと素直に頼っていいんだと思えるだろうか。

彼がもっと幸せを感じられれば、友人を傷つけた、不器用を自認する自分も救われる気がするのは、甘えている証拠なんでしょうか。

三月兄ちゃん、これからも悩むかもしれないけど、
弟を頼むよ。


メンバーが消えて言っちゃうの?と物議を醸したMV。でもこれは、愛する人たちのために「再生」する物語。

兄が弟の肩を抱く様子も見てください。



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