他人軸の憧れ

※これは教職の課題の感想じゃないです。

山内マリコさんを知ったのは最近だった。

先日、小説「あのこは貴族」を読んだ。医者の娘のお嬢様と、地方から上京してきた元慶応生の女の人がエリートの男性弁護士を巡って関わりを持つ話。この本の感想はまた機会があれば書くとして、今回は記事のThe Young Women's Handbookという本の感想を書くことにする。

女の子って生きるだけで色々考えなくちゃいけないから大変だ。見た目のことも、勉強のことも、男の子のことも、誰が自分のことをどう思うか神経をフルに使っている。それは当たり前にみんなやってるけど、ほんとはそんな簡単なことじゃない。他人からの評価に喜んだり泣いたりしちゃう毎日。
私だって例外じゃなかった。

現代はSNSが強い力を持っている社会である。投稿をすればいいねがつき、その数が自他に表示される。だからインスタグラマーやTiktokerは自分をよく見せようとして、自分の顔が最大限可愛く見える写真を載せたり、高い買い物をしたり、はたまた学歴や彼氏をアクセサリーのごとく使ったりする。

10代のまだまだ未熟な私がそれを見て憧れの気持ちを抱かないわけがない。自分も仮に投稿したらいいねがたくさんつくような人になりたいと切実に思った。たくさんいいねがつく人ということは、きっと現実世界でもみんなから憧れの眼差しを受けるような人だから。

小さい頃からずっと、私の中には劣等感が心のどこかに常にいた。勉強や運動が得意なわけでもなく、美人でもないし、友達も少ない。部活や習い事では自分より上手な人はたくさんいて惨めな気持ちになったことは多々ある。だから憧れられることに対しての憧れは人一倍強かった。

だからたくさん努力をした。学校の勉強は頑張っても平均点しかとれないのを高校受験、大学受験を死ぬ物狂いで頑張り、それなりの大学に入った。自分の外見はコンプレックスだったからYouTubeを見てメイクの勉強をして、華やかな服を着るようにした。人見知りしやすいけど、そんなんじゃ友達はできないから本来の素を出して友達をたくさん作った。

確かに人に認められた。大学名を言うと優秀だねと言われるし、外見を褒められることも増えたし、友達はまあまあいて寂しい気持ちはない。

でも必死に努力した私よりも、生まれもった力で、簡単に憧れの対象になる人なんてたくさんいた。それも私よりずっとハイスペックだった。そんな人を見つけるのはいつだってSNSだった。

憧れは確かに自分を昇華させる。でもそれにはキリがない。コンプレックスはいつだって自分の底にいる。だけど、今回読んだ本はそんな私を救ってくれるような1冊だった。

「大事なのは、他人が自分をどう思っているかじゃなくて、自分が自分をどう思っているか。自分で自分を『いいね!』と思える、それがなにより最高で、最強です。」

これは本文中の言葉である。結局自分なのだ、と思った。たとえ世界中の全員に愛されても自分が自分のこと好きじゃなきゃ悲しいし、逆に世界中の全員に嫌われてても自分を愛し、自分のことを認められたらハッピーなのだ。

私はずっと、他人軸で生きていた。誰かに憧れられたいから色んなことをたくさん頑張ってきた。少し見栄を張っていたのかもしれない。

でも、この本を読んだらそんな自分のドロドロした見栄も含めて自分のことを愛せそうな気がしてきた。努力のきっかけは他人からの目線だけど、何もできなかった昔の私より今の私は色んなことを経験して、色んなことを知っていて、その上で理想にちょっと近づいているから成長はしているんじゃないかと思う。

それに、この本のchapter11には、20代は女性であることのプレッシャーも強くてまだまだ自意識過剰だったけど年々減少していき、どんどん楽になっていった、と書かれていた。
私はまだ10代である。20代でも自意識過剰な部分があるなら、私はさらに自意識過剰だろう。そうじゃなきゃ、逆に怖い。
だから自意識過剰で承認欲求が強い今をある意味楽しむべきなのかも、とさえ思えてきた。人生楽しんだ者勝ちなのだから。

ここまで私の拙い話を読んでくれてありがとう。山内マリコさんのこの本は女の子全員に読んでほしい1冊である。もしかすると、「私はすうちゃんみたいにこじらせてないから響かないわ」と思う人もいるかもしれない。でも、この本を読む前と読んだ後で心の持ち方はきっと変わっているだろう。せっかくの夏休み、心を豊かにする本を読んでみたらいかがだろうか。

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