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ウチの子 発達障害!?vol.106~110

vol.106「他人からの指摘で少しは変わる」

 学校の勉強は大事だが、人として生きていくためにはもっと大切なことがあると、自分が小学生の頃から感じてきた。それは人と円滑にコミュニケーションを取るということだ。多動傾向にあった息子は、相手とのコミュニケーションにおいても自分の興味ある話に突っ走り、幼い頃は相手の話に興味を持つことが難しかった。
 そこで息子には、事あるごとに聴くことの大切さを伝えてきたつもりだが、高校1年の終わり頃だったか、いつも一緒にいる友人から「お前って、自分の興味のない話は適当に流すよな。」と指摘されたそうだ。息子が私の思った以上に気にしていたので、「人というのは返事を聞いただけでも、ちゃんと聞いてくれているかどうかくらい分かる。」と私からも伝えた。
 あれから約1年。最近はSNS上で知り合ったアニメ好きの人たちと話すことが多いらしく、アニメ以外のあまり興味のない話でも、色々尋ねて教えてもらっているとのこと。経験から、少しずつ思考や行動を変えることができるようになってきたのだ、と嬉しく思った。(2019.12)

vol.107「初めてのアルバイト」

 高2の息子が「お小遣いが欲しい」と言ってきたため、冬休みの間だけのアルバイトを勧めた。冬休みは学校からの宿題もないし、家にいてもゲームをやったり動画を見たりする時間が大半だろうから、ちょうどいいと思ったのだ。
 アルバイトの内容は簡単な軽作業だったが、普段家で手伝いをすることもほとんどない息子、今までも学校で色々とやらかしてきたという経緯があるので、本当に務まるだろうかと心配もあった。
 アルバイトが始まって2~3日様子を見ていたが楽しそうに出かけていき、それなりにやっているようだった。アルバイト期間も終わりにさしかかった頃に様子を聞いてみたところ、バイト先の人から「スピードは遅いけど正確にやっているから助かる」と言ってもらったと話してくれた。これまでは「早いけど雑だ」と言われることが多かった息子。初めて体験した仕事でこのように褒めてもらえたことは本人の自信につながると思い、私もうれしかった。
 今年の夏には就職活動が始まる。息子にはまだ頑張らなければならないことがたくさんあるが、少しずつ歩みを進めてくれることを願っている。
(2020.1)

vol.108「コミュニケーション能力は遊びの中から」

 2月最初の土曜日に、息子は冬休みのアルバイトで得たお金を持って、早速アニメ好きの仲間に会うと出かけて行った。発達の遅れを指摘されて幼稚園の入園を断られ、療育センターでは「療育グループへ入れるほど重度ではない」と言われて完全に行き場を失った当時のことを思い出すと、ここまで成長してくれたことを嬉しく思う。
 あの頃からずっと、学校(社会)生活に何とか適応できるように育てなければと考え、通級指導教室などを利用して頑張ってきたつもりだ。通級について息子は「授業をサボって大好きな電車に乗って他の学校へ遊びに行ける。ラッキー!」くらいにしか思っていなかった。授業を抜けて勉強が遅れるという心配もあったが、私はその辺りには期待していなかったし、息子の息抜きの時間になって良かったと今は思う。
 子どもは遊びの中からコミュニケーションにおいて大切なことを学ぶ。コミュニケーションに心配な点のある息子だったから、通級指導を遊びだと思って通っていたことがプラスになった。息子は、楽天的という素晴らしい強みを持っていると思う。(2020.2)

vol.109「鉄道ファンにも色々ある」

 息子は鉄道が好きで、これまでも周りに鉄道好きの同級生は何人もいた。だが一口に「鉄道ファン」と言っても「撮り鉄」、「乗り鉄」など興味のあることはそれぞれ違う。息子は自分と同じ通勤型電車が好きな子になかなか巡り合えず、多少鉄道の話はできても「じゃあ一緒に撮影に行こう」「電車に乗りに行こう」という仲の友人はいなかった。また息子の高校には鉄道研究部があるが、自分に合いそうな感じがしなかったとかで入部には至らなかった。
 ある日、たまたま放課後の講演会で知り合った一学年上の先輩達と仲良くなり、その後昼休みに毎日のように図書室に集まってアニメの話で盛り上がるようになっていった。会話の中で息子が電車好きだと知ると、一人の先輩が、幼い頃の電車好きの記憶が蘇ったのか急速に電車にハマり、アルバイト帰りに「こんな電車がいた!」と写真が送られてくるようになった。それからは学校の帰りに「今から電車を見に行こう!」と誘ってもらうなど、大好きな電車をネタに楽しいやりとりが続いてきた。
 その先輩達もこの3月に卒業――。これからもゆるく繋がっていてくれたらいいなと思う。(2020.3)

vol.110「休校」

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、息子の高校も休校が続いている。休みになると決まった頃は嬉しそうにしていたが、あちらこちら遊びに行けるわけではないし、長く続くとだんだん不安が増してくる。既に4月も2週間程度、休校が続くことも決まっている。
 3月は製図の補習や、教室に置いたままだった学用品の引き取りなどで少し登校しただけ。終業式の予定だった25日も時差登校で成績表などを配布され、すぐに帰ってきた。このような状況だが、今は仕方がないとも思う。
 学校が休みなのも悪いことばかりではない。紙類がスーパーなどから売り切れてしまい混雑していた時は、大変だろうと食材の買い物に何度か付き合ってくれたし、3食共にする日も多くなりいつも以上に会話もできて、思いのほか楽しい時間を過ごせたと思う。
いよいよ高校生最後の年。不安な状況は続いているが、落ち着いたらまた勉強や資格取得に頑張ってほしい。(2020.4)


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