好きな「エッセイ」は❓

紀行文で、僕の中で最高峰なのが、宮脇俊三の鉄道エッセイである。デビュー作「時刻表二万キロ」からほぼすべての作品を読んだ。全国の鉄道をお酒を飲んで乗りながら、宮脇俊三の文章を読むのは至福の一刻だった。

鉄道マニア、乗り鉄である彼が残した功績は途轍も無く大きい。今の「鉄道ブーム」があるのも彼のおかげである。

紀行文で言えば、沢木耕太郎の「深夜特急」もオススメ。特に、第1巻のマカオ・カジノの件は胸がヒリヒリと熱くなるほど面白い。

映画エッセイでは、和田誠の「お楽しみはこれからだ」(入手は古書のみ)シリーズ。このシリーズから僕はたくさんの映画の知識を得た。読んでいて、和田さんが映画が物凄く好きなのがひしひし伝わって来る。

普通のエッセイで言うと、三谷幸喜のエッセイが挙げられよう。劇作家としての三谷の才能が余す事なく、発揮される。

しかし、三谷幸喜よりエッセイを書くのが巧い人がいる。三谷の元・妻、女優の小林聡美である。小林は、映画「かもめ食堂」に主演しているが、あの映画の雰囲気そのもののエッセイを書く。文章が、「技」を使って書いてある訳では無いので、自然に読め、スーッと読む人の心に入って来る。

日常を書かせたら、天下一品なのが、岸本葉子のエッセイだ。ほんの些細な事を大袈裟にするでも無く、フラットに書いていくのが、彼女の良さである。そこには、どこにも無い「岸本ワールド」がある。地道に、そしてコンスタントに、エッセイを書き続けるプロの書き手。

最後は、翻訳家・岸本佐知子。彼女のエッセイ集は五冊しか出ていないが電車の中で読むのは禁物。思わず、爆笑してしまうから。ファッション誌の対談で彼女は言っている。筒井康隆が大好きだと。岸本佐知子しか描けない世界がそこにある。

小説に疲れたら、エッセイはいかが?

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