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鳥人間コンテスト2024

今年の「鳥人間コンテスト2024」は、今日・明日と滋賀県彦根市の「松原水泳場」で収録が行われている。

放送は「読売テレビ・日本テレビ系全国ネット 9月4日(水)のよる7時から2時間」である。

今日が「プロペラ部門」、明日が「滑空機部門」。

現在、読売テレビの公式YouTubeで「生配信中」。

1年に一度の放送を御覧の方も多いと思う。

あの「琵琶湖の青い空に優雅に飛ぶ飛行機の美しさ」はなにものにも替え難い。

YouTubeでの「ライブ配信」を観ていると、「ドローン」で飛んでいる飛行機を追いかけて、その向こうに「プラットフォーム」が見える映像が流れる。

1983年、入社した年、僕たち「制作部」の新入社員3人は「AD」として、初めて「鳥人間コンテスト」の会場に向かった。

ドローン
ドローン

あの時のディレクターが生きていれば、「ドローン」の映像を見て、腰を抜かすかも。

当時、「鳥人間コンテスト」の収録はたった1日だった。

その後、「台風」や「琵琶湖の強風」を考えて、今の様に「土日」2日になったのである。

1983年、僕ともう1人の同期ADは、「飛んでいる飛行機の応援団」を探して、カメラの前に連れて来る役目を担っていた。

前日の金曜日に現地入りし、その夜は「VTRテープ」を携えて、先輩ディレクターが「各出場チーム」を取材するのに数時間付き、その後、「松原水泳場」からいちばん近い民宿「双葉荘」で、「様々な打合せ」にドキドキしながら参加して、深夜の2〜3時頃、大広間30人以上で雑魚寝。

これが「大きな全国ネット番組」に携わる事の「重大さ」を入社して初めてヒシヒシと感じていた。

松原水泳場前の民宿「双葉荘」

起床は午前5時。
睡眠は2〜3時間足らず。
それもADだから、仕方が無いとどこか諦めていた。

全員が1時間、寝過ごした年もあった。

何故、朝がそんなに早いかというと、琵琶湖の風は午後になると強くなって来る。

風が強くなると、風向きによっては飛行機が飛ぶのに支障を来たす。

だから、早朝の風が少ない時間帯から飛行機を飛ばすのである。

応援団がいるヨットハーバー
応援団がいるヨットハーバー
応援団がいるヨットハーバー

「応援団」がいるのは「ヨットハーバー」。

白いコンクリートの地面で、太陽光が上から降り注ぎ、下から照り返す。

こんがり焼けた。焼け続けた。

そんな状態の中を僕たちADは早朝から日没まで走り回るのである。

AD

昼ごはんは「弁当」。夏場だから腐らない様に「脂っこいおかずの弁当」だ。

それを5分で食べる。

「フライト」が続いているから、現場を一時も離れられない。

中継車の後ろに、よく「ゴミ置き場」にある様な「大きなプラスティックのバケツ」に「巨大な氷」が浮かんでおり、そこに様々な「缶のドリンク」が大量に入れてあり、僕たちいちばん下っ端ADも「飲み放題」。

それが唯一の「息抜き」であり、「楽しみ」だった。

日没で全てが終わると、「双葉荘」の座敷で「制作スタッフ」の打ち上げ。

僕以外の2人の同期ADは先輩ディレクター、プロデューサーたちにビールを注ぎに行く。

ひょいひょいと。

僕は「超人見知り」で「自意識過剰」だったので、自分の席を一歩も立てなかった事を昨日の様に憶えている。

かと言って、自分の空になったグラスにビールを手酌で注ぐ事も出来なかった。

「打ち上げ」後、僕たちは「火照った身体」を引き摺る様に、新幹線に乗り、「彦根」から「新大阪」へ。

AD

たくさんの「AD必需品」を両手いっぱいに持っているので、タクシーを相乗りして、会社まで帰る。

身体中、強い太陽光を一日浴び続けた結果、火傷を負い、1週間は「肌の皮」が何度も剥け続けた。

昨年の「鳥人間コンテスト」の頃、僕は持病である「双極性障害(昔の「躁うつ病」)」を再発した。

理由は、「地球温暖化」による「超猛暑」の中で、「スタッフたち」が「金土日」の3日間、僕たちが体験した「1983年の鳥人間コンテスト」の「暑さ」と比べようもないくらいの過酷な環境の中で、走り回っている事を「想像」してしまったからである。

もちろん、この時期に「大会」を開催するという事は「暑さ対策」も万全を期して行なっているのだろうが、41年前よりただでさえ気温が異常に上昇している昨今、スタッフが倒れないのだろうか❓と心配しすぎたのだった。

東京でさえ、「耐えられない熱風に身体中が覆い包まれる様な不快極まりない暑さ」を感じているのだから。

東京の自宅で昼寝をしていても、「暑さで人が大勢バタバタ倒れる悪夢」を見た。

「ガバっ」と冷や汗をかいて、布団から起き上がる。

それが「僕の心に過度のストレス」を生み出し、「双極性障害(昔の「躁うつ病」)」を再発したのだ。

「出場するバードマンたち」は一年がかりで、丹念に一生懸命、「機体」を作り、「パイロット」は「チーム」の「期待」を一身に背負って、ギリギリまで「自らの身体」を鍛え上げる。

たがら、簡単に「中止」する訳にはいかないのは重々分かる。

しかしながら、「この暑さ」が毎年続く、或いは気温が上昇していく事を考えると、「大会を中止する勇気」が必要になる場合も、来年以降出て来るかも知れない。

「暑さ」が「命」に関わって来る様になれば。

決して、「テレビ番組制作」で「死者」を出してはいけないと思う。当然の事だが。

そんな「危機感」を持ちつつ、「鳥人間コンテスト2024」の「生配信」を観ている。

「杞憂」である事を祈るばかり。

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