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新型コロナウィルスの影響力。

こんにちは、Ayaです。
今回は私が看護師として経験した内容をもとに、新型コロナウィルス感染症について、を書いてみました。
今だからこそ書いておかないと、と思い立って書きたくなった内容です。
看護師目線ではありますが、看護師以外の医療職の方やそうでない方、様々な人に読んでもらえればと思います。
*あくまで個人的な意見や感想となります。

1.新型コロナウィルス感染症対応病院に勤務する看護師の影響について

(1)普段と違う現場
 新型コロナウィルスは、軽症、中等症、重症といった重症度の分け方をされており、病院によって受け入れられる重症度も異なります。
そして感染経路に関しては、主に飛沫感染と接触感染といわれています。
咳やくしゃみ、大きな声を出した時などに発生する飛沫にウィルスが含まれていて、それを口や鼻から吸い込んだり、もしくはウィルスが付着した箇所を触った手で目や口や鼻に触れた時に感染が生じるというものです。
私たちは、これらの感染経路を理解したうえで、感染対策をとりながら看護やケアに従事しています。

そのために、まずはPPE(個人防護具)が必須となります。
ヘアキャップ、マスク(サージカルマスク、N95)、アイシールド(フェイスシールド)、長袖ガウン、手袋、シューズカバー。
身に着けて率直に感じることは、息苦しい、暑い、動きにくい、話しにくい、聞こえにくい、見えにくい、です。
サージカルマスクとは、いわゆる普段使っている不織布マスクのことです。
N95マスクとは、病原体が体内に侵入するのを防ぐ防護具で、装着している本人は息苦しさを感じる密着度の高いマスクです。
長袖ガウンは、いうなれば割烹着のような長袖エプロンという感じです。汚染しにくく撥水性があるため、通気性はなかなか悪く、着用中は熱がこもりやすいので蒸れを感じやすかったりします。
フェイスシールドやアイシールドは、最近お店やメディアなどでも見かける機会が増えたかと思います。

こんな状態で、普段と同じようなケアや処置を行うのはイレギュラーです。というか、全部を普段と同じように行うことはできません。
ここが、看護師にとって一番の辛いことなのです。
看護の仕事は、療養上の世話、つまり患者さんのケアを行うことです。
症状の観察や苦痛の緩和はもちろん、身の回りの援助や話を聞きながら思いや不安を傾聴するなど、患者さんの側で支える役割を担っています。
しかし、こんな状態ではどうでしょうか。
新型コロナウィルス感染症においては物理的な距離の近さにも気をつけなければならない、N95マスクやフェイスシールドによって普段よりも会話がしづらい状況。
そんな中ではなかなか普段と同じケアや援助、コミュニケーションを図ることがとても難しく、思うように看護ができないことに対しジレンマを感じずにはいられません。

更に追い打ちをかけるのが、そもそものマンパワー不足。
自分で入浴が行えない患者さんに対し、身体を拭いたり、髪を洗ったり、足浴や手浴など清潔ケアを行うのも私たちの役割としてありますが、それが本来行われるべき回数まで実践することができなかったり。
自分の病気に対する不安や思いなど、話を聞いてほしい患者さんもいます。普段であれば、しっかり時間を確保してゆっくり、じっくり話を聞いてあげることも私たちの大切な役割です。しかし、そういった時間すらもままならない状況となってしまったり。
やりたくてもできない。
なぜか?
そもそも現場にいる看護師が足りないからです。
感染拡大が爆発的となり、新型コロナウィルス感染症患者を受け入れる病院がほぼ満床状態になると、このような諦めざるを得ない場面が増えていってしまうのが現状です。
残念ながら、今回の新型コロナウィルス感染症は患者さんの命を奪っていきます。容赦なくです。
患者さんの最期を看取る瞬間は、もっとも辛い瞬間の一つです。
そして、ご家族はもっともっと辛く、悲しい現実に直面しています。
面会もままならない、最期に立ち会うことすらできない。
こんなにも残酷な現状、そう簡単に受け入れられるわけがありません。
しかし、感染拡大地域では患者さんの入院が途絶えることはありません。
私たちは、悲しむ時間すら与えてもらえないのです。

(2)生まれる弊害
 十分な看護ができないジレンマ、マンパワー不足、感染拡大に伴い緊張感と逼迫感の増す日常、悲しむ時間すらない現場。
こんな状況の中で、働き続けていると、何が起こると思いますか?

収まらない感染拡大、止まらない新規の入院患者受け入れ。
最低限のケアしか実施できない毎日。
感染対策としての環境整備、ベッド周囲や床の清掃を日に何度も。
あっという間に重症化してしまう患者さんを目の当たりにする恐怖心。
毎日ギリギリな人数での勤務体制。
職場ではもちろん、日常生活にもかかる制限。
疲労は、身体的なものだけではありません。心だって疲れてしまうんです。
極度に追い込まれたり、負荷がかかり続けると自分ではどうしようもなくなり、その場から離れたいと思うのは正常な反応だと思います。
心身のバランスが一度崩れ始めると、あれよあれよという間にガタガタと壊れてしまい、元に戻るまで時間がかかったり、最悪の場合にはなかなか戻れなくなってしまうこともあります。
これは私の個人的な感想なのですが、新型コロナウィルス感染症患者の対応にあたる看護師の特徴として主に3つのパターンがあると思っています。

①心身ともに限界を迎えてしまい現場を離脱する看護師
②ある一線を越え、看護師としてのやりがいや専門性を考える余裕を失い、感情が希薄になってしまい、ただただ決められた業務に従事する看護師
③看護師としての信念と熱意を維持したまま業務に従事する看護師


①は、もう無理です!という信号が心や身体に出てしまったり、様々な理由で働き続けることを諦めざるを得ない、という場合。
③は、厳しい業況のなかでも、何とか患者さんのために頑張ろう!と、まさに心を燃やし、日々熱意を持ちながら現場で戦っている方々だと思います。
心配なのは、②の方々です。あまりの多忙な現場に、自分の感情や看護師としての信念などは二の次になってしまい、目の前の業務をただこなしていくだけになってしまっている場合があります。この方々が、いよいよこの現場が収束、となった時にどうなってしまうのかがとても気にかかります。
元の看護師としての自分を取り戻せればいいのですが・・・。

2.新型コロナウィルス感染症対応病院に勤務する看護師の在り方

いつもと違う医療現場。
そこは、紛れもなく戦場です。
そして、ある種の災害です。
自身を守る防護具を身にまとい、果敢に攻めてみたり、一歩引いて様子を伺ってみたり。医師や看護師など多職種による繰り返される作戦会議。何としてもこのウィルスに打ち勝つための戦略を企てていく。
そこに、突如降りかかる感染拡大の猛威。食い止める術や手段を使い果たしてしまえば、一気に攻め込んでくる陽性患者。

ここで戦う看護師に求められることは、
一人で頑張って戦い抜くこと、ではありません。
一人の頑張りだけで、どうにかなる状況ではないからです。
しかし、現場はきっと人員として一人の力に頼らざるを得ないので、きっと戦力として求められると思います。
だけど、自分の心や身体を犠牲にしてまで戦い抜いた結果、元の日常生活に戻れない状態になってしまってからでは遅いと思います。
看護師としての人生を、こんなところで途絶えさせてしまうのは勿体ないとしか言いようがありません。
まだまだ、したい看護、やりたい看護があるならなおさらに、です。
無理なら無理、と戦線離脱を決断する勇気も必要です。
そして、離れることを決めた自分を責めないでください。
ましてや、周囲もそれを非難する立場にはありません。
責任感や使命感をもって現場に立ち向かう看護師も、もちろんいます。
本当に素晴らしく思いますし、勇敢な姿です。
今まさに戦場の最前線にいるのは、このような看護師の方々が多いのではないでしょうか。
だけど、すべての看護師にその姿を求めることは違うと思います。
それを求めることとはつまり、看護師なんだから戦うべきだ!、と言っているようなもので、それは違いますよね。
そうではなく、看護師一人の勇気とか使命感とか責任感を駆り立てたりせずに、戦わせてください!という意識のある看護師を現場で活用していくべきではないのかと思います。
つまり、一人の看護師が無理をして必死に戦い続けるのではなく、一人の看護師に負担がかかり過ぎたり、頑張らせてしまうような状況を回避できるような戦略を企てる上層部の計画力、チーム力こそ、新型コロナウィルス感染症と戦う現場には必要不可欠なのではないでしょうか。

コロナ渦になってみて思ったことがあります。
「私は現場で働けます!」という看護師が、人員不足の地域にパッと行き、「今まで戦ってくれてありがとう、交代するからゆっくり休んでね!」、という感じにロールプレイングゲームのような方法が取れればいいのに、と。(手続きや体制など面倒で難しいことは一切何も考えずに、ただただ純粋な個人的な感想です)

3.知ってほしいこと、伝えたいこと

 ここまで、主に看護師目線での内容でした。
これを書いて、何を伝えたいのか?
たしかに、現場での医療従事者への負担や影響を知ってもらうことも必要だとは思います。
緊迫感とか、どれだけ追い込まれているか、どれほど逼迫しているのか。
だけど、大変なのは何も医療従事者だけではなく、みんなそれぞれに大変な思いをしていますよね。
大変って、一概にこれが、あれが、だけでなく色々なんですよね。
だから、大変さを理解し合うのは根本的には難しいのかなと思います。

私が伝えたいのは、入院患者が増え続ければ、重症患者が増え続ければ、医療現場は逼迫するだけでなく、その影響が長引くほど、強まるほどに医療従事者の方が耐えきれなくなり、治療を受ける場がそれだけ減っていく危険性があるということです。
受け入れる病院、治療する医師、看護する看護師、検査をする技師、医療機器を扱う臨床工学技士、薬を扱う薬剤師、事務やクラーク、医療現場は様々な職種が集まり、初めて成立します。
今でもギリギリな状態で戦っている施設もあります。
それは、いつ崩れてしまってもおかしくない状態ともいえます。
医療従事者の負担、として考えて欲しいのではなく、医療体制の崩壊を招くリスク、をどうか考えて欲しいのです。
新型コロナウィルス感染症により、やむを得ず普段の業務を縮小している病院もあります。
普段ならすぐに治療できることが、すぐにはできない。
病気というのは、新型コロナウィルス感染症だけではありません。
手術や抗癌剤治療が必要な方、お薬の調整や適切な治療が必要な方。
そういった、今までなら普通に受けられた医療が受けられない状況になりかねないということを知っておいてもらいたいのです。

4.おわりに

 地方でも、いつ、このような戦場になり得るリスクが高まってきているのが、まさに今だと思います。夏休み、お盆。
実際、地方での感染者も日に日に増加傾向にあります。
報道でもあるように、δ株の猛威が都市部を中心に顕著になっていますね。
今までの感染とは、やや様子が異なり、感染が広がるスピードが早く、ワクチン接種の行き届いていない、若年層への感染が目立っているかと。

なお、報道とありますが、嘘の情報には、くれぐれもお気をつけください。
情報過多の現代において、意識せずとも目から、耳から、どんな場面においても情報は常に入ってくる状況です。
その全てに反応していると、何が本当で、何が嘘なのか見分けがつかなくなってしまい、本当の事実に辿り着けない危険性があります。
情報の発信元や信ぴょう性には十分に注意をし、正しい情報を選ぶ、見抜くことも自分を守る手段のひとつでもあると思います。

もうずっと我慢の連続だし、マスク生活にもうんざりだし、いつまでこんな状況に耐えなきゃいけないの!
誰しもがそういった思いを大なり小なり抱えていると思います。
緊急事態宣言、まん延防止策、時短・休業要請、自粛。
ちょっとくらいなら、いいよね・・・?
そう思いたくなる気持ちも、すごく良く分かります。
だけど、やっぱり、今はまだ我慢が必要みたいです。
今回の新型コロナウィルス感染症の脅威は、人の命を奪うこと、無事に治療を乗り越えたとしても後遺症を残す可能性があること、です。
どういうことをしたら感染するのか。
どうしたら感染は防げるのか。
この2つはすでに明確になっていますので、たまたまに、とか、まさかそうなるとは、とか、偶然に、などの理由は通用しないと思います。
感染が拡大し続ければ、病院での受け入れも困難となり、すぐに治療が受けられない可能性だって出てきます。
感染してしまってからでは、何もかもが遅すぎるのです。
自分の命の危機、周囲の人たちへの影響、その後の生活。
後悔をしたくないのであれば、ぜひ引き続き感染対策を。

内容に関しましては、すべて個人的な意見や感想となりますので、ご了承ください。

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