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整える。

我が家で1番大きな鍋。ステンレスの、蒸す用の台座もついてるでかい鍋。そうめんを茹で、蕎麦を茹で、冷凍の肉まんを蒸し、寒くなったらおでんを煮る、鍋。結婚した時にはすでにもう夫の相棒だったその鍋は、結婚してからはわたしの相棒であった。10年間我が家で1番大きな鍋であったはずのその鍋が、とある土曜日に仕事を終えて帰宅したら、鍋ではなくなっていた。突然の戦力外通告をしなければならなくなってしまった。君にはもう、金輪際、食材を投入することはできない.....無念である.....すまない.....本当に、すまない。ああ、わたしはこの冬、おでんをつくるのに食材をセーブしなければならないのか.....なんということだ....ほんとうに、無念だ...おつかれさま、鍋。これからは、第2の鍋生が待っている。たまに活躍できると思うから、特に梅雨時期、よろ...よろし.....

なんでだ?なんでこんなことが起こったんだ!!!!

土曜日、11じから16じまで仕事をして帰宅したわたしは、夫に衝撃的事実を告げられた。

「パンツがすげー生乾き臭でさ、あとシャツとシャツの間に挟まってたパンツもスッゲー臭くて!足の匂いがしたよ!!そんで、酸素系漂白剤入れて煮沸したんだけど、すごいねー酸素系!全然匂いしなくなったよ!!!」

へぇ〜煮沸ねぇ。......え?待って?なにで煮沸した?

「え?鍋よ?あのでかい鍋。」

う...うそだろ....現役の鍋で、パンツの煮沸?布巾とかじゃないんだぜ?いくら洗濯したやつとはいえ、パ、パンツを....鍋で....あいつで....だと?

いや、ちょ、あの、ホーローの、おまるでやってよ!煮沸!!

第一子が産まれてすぐに買ったんですよ。ホーローおまる。おならしたら座らせるのよ、おまるに。そうするとプリッと出してくれんの。赤ちゃんなのに!すごくない!!うちの子うんこの天才じゃない?って毎回姉にメールしてたよね。なんなら写メ送りたかったもんね。第二子なんか、首が座らないうちからやってたからね!うちの子たち、うんこの天才じゃない!?

そう、そんなホーローおまるはもうおまるの機能は卒業し、夫の馬鹿のひとつ覚えみたいな黒Tシャツを煮沸するという役目でなんとか我が家に存在しているのですが(そのうち息子のなにがしかを煮沸するのにも使用される日が来ると思うのだけど)。ちなみに夫は大変体臭がうすーいつまらない男でございまして、ただただちょっとでも生乾きみたいな匂いがするとやいのやいのわいわい言い出すので煮沸に使用したんですけどね。

いや、ホーローおまるはいいのよ。そこはいいのよ。うんこの天才ってなんだよ。問題は、鍋。煮沸、おまるでやってよ、鍋って.....と愕然とするわたしに、夫が返した言葉は

「え?だめ?」

でした。

.........え?いや、だめだろ?お前の陰部臀部を病める時も健やかなる時も覆い尽くしてきたその布を煮炊きした鍋をまたおでん煮るときに使えとでも?お前の陰部臀部を病める時も健やかなる時も覆い尽くしてきたその布に対してそんなにも寛容な気持ちでいられるのはこの世の中にたったひとりお前だけだからな!!!

というわけで、我が家で1番大きな鍋が、調理道具としての鍋生を終えられました。合掌。

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