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ほのぼの小話#10

「やまねこさん」

ネズミくん、いつにもまして
キョロキョロしながら歩いています。
やまねこさんの足跡を見つけてから
ビクビクしているのです。

自分よりも大きくて
強くて
獲物を狙ったときの視線の鋭さ
考えただけでもガクガク、ブルブル。

「ネズミくんや」
「な、なんでしょう?」
「疲れてないかい?」
「…。」
ネズミくんが疲れている様子が
おじぃさんには見ていられませんでした。

「なぁ、ネズミくん」
おじぃさんは、ふと、思い付いたように
話し出しました。

「たしかに、やまねこさんからしたら、ネズミくんは小さくて、戦ったらかなわないだろう。」
「でもな、ネズミくんにも、強いところがあるぞ。」

ネズミくんは、ようやくおじぃさんの話に耳を傾けました。
「おいらの強いところ?」
ネズミくんは、キョトンとしています。

おじぃさんは笑いながら続けました。

「そうじゃよ、強いところじゃ!!」

「おじぃさん、何をおっしゃいますか、自分で強いと思ったことなんて、一度もないですから…。」
ネズミくんがうつ向いています。

おじぃさん、大きな声で言いました。

「それはな、強い心じゃよ!!!」

ネズミくん、またまたキョトンとしています。

「誰にも、1つや2つ、いや、もっとかもしれん。弱いところ、あるんじゃよ。」
「どんなに強そうに見えても、元気に笑っていたとしても、あるんじゃ。」

「ただ、強い心をもっているやつは、その弱さを自分でよーく知っとるんじゃ。自分のこと、見つめることができるんじゃよ。」
「わかるかぃ?」

ネズミくん頭を悩ませています。

「ワッハッハ~」
「ネズミくんにはむずかしかったかのぅ。」
「だから、わしは、怖がることないぞと、そう、言いたいわけじゃよ。」

「やまねこさん、会ってみたいのぅ」

「やまねこさん…、はい、おじぃさんがいれば、大丈夫な気がしてきました!」
ネズミくん、少し自信を取り戻して、前を向いて歩き出しました。

また、一歩、前へ。

二人の旅は、まだまだ続くのであります。


つづく






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