保育士志望の中学生から現役保育士への質問。
今週、勤務先に職業体験で中学生が来ました。
(タイトルで保育士と言っていますが、現在の勤務先は公立幼稚園です。)
将来は保育園や幼稚園の先生になりたいと思っている中学二年生。
そのうちの一人が私が担任しているクラスで三日間過ごしました。
初日の朝はガチガチに緊張しているのが伝わってきて、その場にいるのがやっとという感じ。
登園してきた子どもたちも保育室に知らないお姉さん(しかも固まっている)がいるので、シラーッとした妙な雰囲気。
先が思いやられる展開でしたが、子どもたちを集めて職業体験について説明し、中学生に自己紹介をしてもらってからは少しずつほぐれていきました。
「一緒に遊ぼう」
「お姉さん、こっちに来て」
「抱っこして!」
子どもたちのアピールに一生懸命応えてくれていました。
子どもたちは、クラスにお姉さん(中学生)がいるのがとても嬉しかったようで、家に帰って話をした子が多かったそうです。
勤務先の職員体制、年々高齢化が進んでいるので、お姉さんと関わる機会はとっても貴重よね、そりゃ嬉しいよね(笑)。
中学生に「何か聞きたいことはある?」「子どもの対応で困ったことは無かった?」と聞いてみると、1日目、2日目は特になかった様子。
端から見ていると、子どもたちの方がグイグイ行っていたので、大丈夫か?と思う場面があったんですけどね。
帰りの会は、みんなお姉さんの隣に座りたいもんだから、体育座りをしているお姉さんの両隣、両斜め後ろ、真後ろにぴったりくっついて座っていたりして。
かなり笑える画になってました。
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密なのでお姉さんから離れてくださーい。
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って、何度か声を掛けたくらい(笑)。
グイグイ系とはほど遠く、おとなしくて声も小さくて「どこにいる?」と心配になるぐらいの中学生だったんですけどね。
たったの3日間で子どもたちにとっては、かけがえのない存在になっていたんです。
そして、体験が終わる最終日の帰り際、中学生から「質問してもいいですか?」と声を掛けられました。
なかなか興味深いですよ。
1.やりがいを感じるのはどんな時?
「仕事をしていてやりがいを感じるのはどんな時ですか?」
「小さなことでも、子どもの成長が感じられた時。例えば、昨日の朝お母さんと離れるのが嫌で泣いて登園してきた子が、今日は泣かずに登園できたり。1回目は横向きでおそるおそる平均台を渡っていた子が、2回目は前を向いて一歩ずつ歩けたり。それを、お迎えにきたお母さんに伝えて喜び合ったり、感謝されたりした時にやりがいを感じるかな。」
3日間の中で、中学生も目の当たりにしたであろう子どもの姿を例に挙げて伝えました。
2.子どもと接する時に気をつけていることは?
「子どもと接する時に気を付けていることはありますか?」
「常に冷静に平等に子どもを見ること。私の性格的に感情的になることはほとんどないけど、そこは常に意識しているかな。」
3.保育士に向いているのはどんな人?
「保育士に向いているのはどんな人だと思いますか?」
「子どもが好き、っていうのは前提にあるとして。得意なことがあるのは強みになるのかな。例えば、"ピアノが弾ける"とか"走ることが好き"とか。あと、人と関わる仕事だから、人と話すのが好きだったり、助け合ったりするのが苦じゃない人は向いてるのかもしれないね。」
1日目、2日目と、特に聞きたいことはないと言ったわりに、なかなか深い質問をしてくるなーと驚きました。
人は見かけによらない、感心した3つのこと
この中学生、目立つタイプではなかったのだけど、キラリと光る素敵な物をもっていました。
①細かいところに気付く力
雨が降ってきた時に、物干しざおに干してあった洗濯物をサッと取り込んだり、保育室の掃除をお願いしたら引き戸のサッシまで丁寧に掃いていたり、中学生だとなかなかここまで気付かないんじゃないかと思うんです。
ご両親がきちんとしつけをされてきたのだろうなということがうかがえました。
②自分の強み(特技)がある
ピアノが得意だと聞いたので、子どもたちが給食の準備をする間にピアノを弾いてもらいました。
曲はお任せで、2日目は『チューリップ』
子どもたちの準備が終わるまで、転調をしながら繰り返し弾いてくれました。
3日目は、ピアノを目の前にして「ふぅー」っと大きく息をしていたので「昨日と同じでいいよー。」なんて声を掛けたら。
流れるようなメロディーから突如激しい曲調の『千本桜』が始まりました。
思わず、二度見ならぬ三度見しましたよね(笑)。
席に着いた子どもたちも唖然としてピアノとお姉さんを見つめる(笑)。
幼稚園中にピアノの音が響き渡っていたので「誰がピアノ弾いてるの~?」とざわつくざわつく(笑)。
これ、給食の前にちょっと、って感じではなくて、ホールのピアノの前にみんなで正座して聞きたいやつでした。
曲が終わったら当然、拍手喝采。
選曲からもうギャップが大きすぎてやられましたね。
③相手の気持ちを考えて行動する力
たった3日間でしたが、"子どもたちにプレゼントを渡したい"と言って、メッセージ付きの折り紙を全員分用意していました。
そのメッセージも一人ずつに違うことを書いていて、子どもたち一人一人ののことをよく見ていたことがうかがえました。
子どもたちも「ありがとう」と嬉しそうに受け取っていました。
保育実習生(大学、短大生等)を受け入れた時に、最終日に子どもたちにプレゼントをくれることはよくあるんです。
けれど、職業体験の中学生では今までなかったので、子どもたちに何かをしてあげたい、と思って行動する姿が嬉しかったです。
この3日間の職業体験を通して、保育園や幼稚園で働いてみたいという気持ちが強くなったそう。
私が中学生の時は、まだ明確な将来の夢はなかったなー。
今週、私にとっては何気ない日常の3日間だったんですけどね。
中学生にとっては人生を大きく変えるぐらい密度の濃い3日間だったことでしょう。
若ければ若いほど、可能性は無限大!
夢の実現に向けて、一歩ずつ前に進んでほしいと願います。