世界で一番大切な人

夕方、もうすぐ4歳になる3歳児が、絵合わせカードを片付けて「次何して遊ぼっかー」という会話をする合間に、突然クイズを出してきた。

「ねーねー、あのさぁー、せかいでいちばんたいせつなひとってだーれだ?」
「えっ!世界で一番大切な人?」
「うん、そうー!」
「えー、誰だろう…難しいなぁ…」

唐突にすごい難しいクイズを出されて戸惑う。
人って言ってるし、だーれだ?だし、自分の身の回りの…親とかおじいちゃんおばあちゃんとか…友達とかかなぁ…もしくは「自分」とか…?
そんなことあるかいな…
うーん…

「ねぇ、ヒントあげよっか?」
「え、いいの?ヒントほしい!」
「いいよぉー!えっとねー、えと、ちいさくてー、かわいいひと!」
「小さくてかわいい人…?」

まさか!
いや、でも、、、

「えっと…もしかして、赤ちゃん?」
「そう!せいかーい!ぴんぽんぴんぽんー!!」

えぇぇぇぇぇえええええええええ
何その答え!!!!!ふ、深すぎるーーーーーー!!!

「世界で一番大切な人は、赤ちゃんかぁ。そうだよね、赤ちゃんは、みんなで大切に守って育てるんだよね」
「そうなの!あかちゃんはねぇ、みんなでたいせつに、やさしくおせわしてあげるんだよ!」

涙が溢れそうになるのを堪えながら、言葉を紡ぐ。
もう全世界がこの人のような心持ちで暮らしていたら平和だろうなというところまで脳内は飛躍していく。

生まれてまだ5年も経たないこの人の、自分よりも小さい人に向けられた愛の眼差しのあたたかさを感じるとともに、私は、自分が何を問われたのかを考えている。

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