#3 高級インスタントコーヒー
今回は高級インスタントコーヒーです。
インスタントコーヒ?と思う方もいらっしゃると思いますが、圧倒的なグローバルブランド勢のシェアが高く、牙城が崩されていない市場です。
そんな中、中国では高級インスタントコーヒーブランドが続々と誕生し、資金調達を完了。海外進出も進めています。
コーヒー産業で長らく最下層に置かれてきたインスタントコーヒーが高級路線に転じることで、にわかに注目株として伸びてきている。
なぜインスタントコーヒーなのか?
人気が集まる理由として、多くの投資家やコーヒー業界関係者は一様に「もともと市場を積極的に開拓しているプレーヤーが少なく、その反面で新たな需要が生まれたからだ」と話しています。
インスタントコーヒーはライフスタイルやシチュエーションを問わずに気軽に飲め、店舗で提供するコーヒーより顧客獲得のハードルも低いというのもポイントになっているかと思います。
何がチャンスなのか?
ちょうど空白になっている価格帯を狙い、toBだけでなく、toCへの戦略も進めているポイントが挙げられます。
ブランド
ここでは3社挙げます。
簡単にまとめてみるとこのような特徴があります。
三頓半(SATURNBIRD COFFEE)
今最も勢いのあるブランドの一つです。
中国市場だけではなく、アメリカ市場にも進出しています。
中国で例年開催されている最大級のネット通販イベント「双11(ダブルイレブン)」では2019年、三頓半咖啡が老舗ネスレを上回り、コーヒーカテゴリで首位に立ち、それ以降、首位を守っている。
隅田川(TASOGARE)
隅田川珈琲の創業者・林浩氏は2000年に日本に留学し、NTTなど日本の大手企業に勤務した後、2008年に起業するために帰国した。隅田川珈琲を設立する前には、コーヒー貿易業界で6年近くの経験があり、日本のUCCやAGFなどのインスタントコーヒーの代理店の資格も取得しています。
さまざまなニーズに応え、幅広いラインナップを揃えています。
永璞(Yongpu)
2020年大きく成長したインスタントコーヒーブランドです。スペシャルティコーヒー豆を100%使用して抽出したオリジナルコーヒーは、コーヒー本来の風味を失うことなく10倍濃縮を実現し、また、フリーズドライやドリップバッグタイプ、コーヒーメーカーなどの関連製品も打ち出しています。
2017年にコーヒー産業の川上に当たる工場に投資、中国初となるコールドブリューの液体コーヒーを開発しました。
しかし製品形態や冷蔵保存の必要性から消費シーンは限られており、そのため、日本からフラッシュパスチャライズ製法技術を導入し、瞬間冷却によりコーヒー原液の「常温化」を実現しました。窒素ガス注入後に無菌パッケージにしたことで、添加剤なしで365日常温保存を可能にしています。
注目ブランド「三頓半」
マーケティング
フェイスブック、Youtubeなどで、お勧めの飲み方がパッケージに印刷されていることを紹介する人も多いです。
三頓半では「どの焙煎レベルも冷たい水、お湯、牛乳で飲めます」という表記もある。
パッケージは番号のみで番号によって焙煎度合いやカフェラテなど味を変えています。
SNS
ブランディングをSNSでも注力しており、自社での投稿だけでなく、UGC(ユーザージェネレイティブコンテンツ)を発生させる仕組み作りを行なっています。
オフライン展開
2021年8月には上海市徐匯区の安福路に初となるオフラインのコンセプトストアをオープン。将来的には、オンライン / オフラインによる会員増強システムの連携を図っていくとしている。
自社ショップ
モール型だけでなく、自社サイトでの展開を強力に進めています。
ASPカート型の代表格とも言えるShopifyを開設し、越境ECを進めています。
このメリットは配達時間の短縮と、利益率向上、ブランディングをコントロールできることが挙げられます。
配達時間の短縮という点で例を挙げると、永璞と隅田川はまだ自社サイトを立ち上げていないため、配送のスピードは第三者プラットフォームによって決まっています。亜米の場合通常注文後3~5日で配達され、Weee!では2日以内ですが、例えば隅田川のサプライサイドからのパントリー配送なら恐らく5日程度かかると言われています。
これらの競合ブランドも今後、Shopifyなどに展開していくと考えられます。
SDGs
環境への取り組みを進めています。
自社商品の回収や再利用など積極的に進めています。
これら一連の戦略がブランディングとなっています。
追加すべきエッセンス
味
弊社中国メンバーや他の在日中国人からヒアリングをしても「味が日本のものよりよくない」という声が多かったです。
あくまで個人の見解なので、定性的ではありますが、日本の食が人気なように、味の改良を加えたプロダクトができればチャンスはあると思います。
IP
キャラクターやブランドを象徴するアイコンを設定することもエッセンスとして加えるべきポイントかと思います。
コンテンツ造成は日本の強みなので、このエッセンスを加えることによって、もう一歩踏み込んだプロダクトになるのではないかと思います。
定期購入
日本ではネスレなどがドリッパー(機械)などフックにサブスクでの販売を行なっています。機械を導入することは一つのハードルになり、利益率を下げることに繋がりますので、シンプルに定期購入後のボリュームディスカウントで購買行動を促すことも戦略に入れ込むべきかと思います。
まとめ
日本ではインスタントコーヒーの新興ブランドは出てきておらず、まだ入り込む余地はあると思います。
こういった海外の事例を参考にして、プロダクト開発、市場参入するのも一つの手かと思います。
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