見出し画像

#5 間借りビジネス 

元アリババ日本法人の新規事業責任者が考察する海外ビジネスのTipsを紹介します。
今日は日本のSpacemarketなどに代表される間借りビジネスについて考えてみたいと思います。
アメリカを皮切りに始まったこのビジネス。
間借りは世界を救えるのか?
課題にはどんなものがあるのか?
まとめてみたいと思います。

Spacious

会社概要

Spacious Technologies inc.
プレストンぺセックCEO
アメリカで誕生した会社です。
現在はWeWorkに買収されており、事業者としては存在しません。

背景

人口におけるフリーランスの割合が36%(2022年時点)と言われているアメリカでは2010年代後半からWeWorkをはじめとするシェアオフィスビジネスが興隆しています。(現在は厳しい状況ですが)
つまりフリーランスの人口が多く、働く場所を求める層が多く存在します。
彼らがどこで仕事をするかというと、カフェやレストランですが、席数も限られ、本来は食事をする場所のため、コンセントや安定したWi-Fi設備などがあるかは、運任せとなっています。

ビジネスモデル

そこで誕生したのがSpacious。
開店前の利活用していない時間をコワーキングスペースとして活用するマッチングビジネスが基盤となっています。
前述のWeWorkのような自前の場所を持つビジネスモデルは競合が出てきたい際にデザインやリノベーションにこだわり、他との差別化が必要になっていきます。
そうなると、雪だるま式でコストがかさみ、利益率が低くなる傾向が想定されます。
一方、Spaciousは、高級レストランやバーを活用するため、唯一無二となり、それぞれのお店のブランディングやデザインによって差別化を図ることが可能。
以下、ビジネスモデル図解製作委員会様のHPから参照。
非常にわかりやすくまとめられています。

参照:ビジネスモデル図解製作委員会

強み

ハイエンドやコンセプトがしっかりしているレストランなので、働く環境としてユニーク、オプションとして、Wi-Fiやドリンクなども提供できるのはありがたい環境です。
Spaciousがレストランに毎月利用料を支払う形になっており、レストランにとっては、その場所自体のPRや認知拡大、コワーキングの利用者が働いたあとにそのままお客さんになってくれたりもするので、お金ももらえて広告効果もあるという側面では一度で二度美味しい仕組みになっています。
利用者にとっては、毎回違ったレストランに行くこともできて、気分を変えて仕事をすることができる。
月額95ドルで利用できるというところもリーズナブルで良心的で、オフィスを借りるよりは出費を抑えることが可能です。

日本で流行らない理由(仮説)

リスク

店舗を持つオーナーが間貸しをリスクとして、サービス導入に消極的。
リスクを考える日本の経営者にとっては高いハードルの可能性があります。

フリーランス人口が小さい

米国と比較して、フリーランスの人口は約15%前後と言われています。
そもそもユーザーが少ない可能性もあります。

出社文化が根付いている

コロナを経て、仕事のオンライン化は進みましたが、それでもなお、日本は出社文化が根付いています。

大手チェーン店などが仕事環境を整えている

一例ですが、新橋にあるドトールは仕事がしやすい環境整備に特化しており、非常に仕事がしやすいなど、仕事環境を整えているお店が多いなども考えられます。

わたしたちが考える可能性

シンプルにもったいない

街を歩いていると飲食店に出くわすことが多くあります。
チェーン店などは24H営業しているところもありますが、規模が小さくなればなるほど、夜の時間帯のみの営業にとどまっています。
これってもったいないくないですか?笑
営業時間がどれだけ短くても、家賃はしっかり1ヶ月分かかります。
特に東京などの大都市圏になってくると、家賃は非常に高く、遊休時間で何かを生み出すことはメリットだとシンプルに思ってしまいます。

飲食店は困っている

食材費の高騰や人件費の高騰など、様々な要因で、利益率が低い傾向にあります。
利益率の低い飲食店にとって低コストで売上をあげることは重要だと思います。せっかく持っているアセットを最大限に活用する方法はみなさん探しているのではないかと考えています。

認知・広告

様々なプロモーションの方法はあれど、方策は飽和状態です。
通常の広告やプロモーションに消費者も疲弊しています。
コワーキングスペースを活用するユーザーが直接お店とタッチポイントを持つことは本業の飲食に誘客できる可能性があり、顧客の幅が広がる可能性があります。

身近に困っている人が多い

私たちの周りでもこれらの課題に困っている人が多いというのは大きなエビデンスだと考えています。
万人に受けるサービスより、周りの人に強く刺さるサービスが結果として大きな市場をとっていくきっかけだと思います。

まとめ

日本マーケットでは大きな課題(まだ明確には見えていないですが)があり、難しさはあるのかなと予想していますが、可能性のあるビジネスモデルだと思います。



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?